2024.01.24
アンティーク家具
2024.01.24
桐たんすは、日本で古くから着物の収納に使われ 職人の方が一つ一つ手作りする伝統工芸品です。
「桐」にはとても優れた通気・調整機能があり、桐自体が呼吸しているかのように内部の湿気を調節してくれるので、湿気がたまりやすい押し入れや クローゼットにぴったりな収納家具といえます。
桐たんすはプラスチック製や安い家具に比べ、和服などの保存に優れている点があります。
目次
一見 木のように感じますが実は木じゃないんです。
桐は、アオギリ科の落葉広葉樹で、初夏に筒状の淡紫色の花を咲かせる「花木」です。
また日本における経済的価値は高く、桐は林業の「特用樹種」の一つとなっています。
桐の原産地は中国とされており、現在では日本各地で植栽されており、福島県の会津桐や岩手県の南部桐などが有名です。
また桐は、神話伝説の霊鳥である鳳凰の止まる木として神聖視されており、家紋や紋章の意匠にも取り入れられてきました。
「桐家紋」は室町幕府でも小判などの貨幣に刻印され、それ以来 室町幕府の他にも皇室や豊臣政権などにも用いられ、日本の十大家紋の一つにも数えられています。
桐は成木までに50年~100年もの期間を必要とする広葉樹の中で、生育のスピードが早く、20~30年でかなりの大木になります。
そして軽い!驚きの軽さ!桐は日本で育つあらゆる木々の中で、最も軽い素材と言えます。
また、良質な桐は木材共振と音響性に優れているので 日本の伝統楽器の「琴」にも使用されています。
琴の胴部分には、桐の木をくりぬいたものに裏板が張られており、弦を弾き、中の空洞部分で音を響かせる構造になっています。
桐にはたくさんの特徴があるので、その特徴を生かして様々な家具として使われています。 桐家具で最も代表的なのは「桐たんす」でその他にも、桐箱や桐椅子などが挙げられます。
桐たんすは、着物の収納・保管に良いとされています。
では、なぜ良いとされているのでしょうか?
それには桐の特徴が生かされています。
桐材の特徴として思い浮かぶのは、素材の軽さや、白く滑らかな木肌、桐材を手に取ったときに、触れている場所にじんわりと感じる温かさがあります。
桐の材質は多孔質で、まるで発泡スチロールのように気泡状の独立した組織が密集してできているため、外気温の影響を受けにくく、保温性・断熱性に優れています。
昔から、桐はごはんの「お櫃」として使われてきたのはそのためで、 床材に用いれば、冬でも冷たく感じません。
それだけでなく、桐の持つ自然の成分から生まれる防虫・抗菌作用なども 桐材ならではの特徴です。
材の組織はチロース構造というミクロの小部屋が無数に広がっており、これが湿度を吸収して桐が湿気をさえぎり、カビの防止になります。
着物の収納・保管では、繊維にカビ菌を生やさないことがとても重要になるので、通気性に優れた桐たんすは、カビ対策という意味で頼りになる存在です。
桐には虫が嫌がるパウロニン、セサミンという成分が含まれており、ノミ、ダニなどの虫がつきにくく抗菌性に優れています。
又この成分は桐自体を腐敗から守り、腐りにくくしているのです。
軽くて軟らかい桐材は腐り易いと考えられがちですが、実は極めて腐りにくい木材です。
それは桐材に、木材腐食菌の増殖を防ぐ多量のタンニン(防腐剤)が含まれるため、桐のたんすは長い間使用可能なのです。
木材に火がつく温度を着火点、炎となって燃え出す温度を発火点といい、桐は他の木材に比べ、着火点、発火点が高いため燃えにくいです。
これは、桐自体の吸湿性が高く、水分を含むことにより膨張し、内部への熱を遮断する為と考えられます。
木材は環境変化に応じて、呼吸をするように伸縮を繰り返していますが、伸縮を繰り返しているうちに、含水率が下がり木材は縮んで行くのが一般的です。
日本風土の特徴として高湿度になる梅雨と、一方冬は乾燥環境となります。
この季節による環境変化は、木材の経年劣化に繋がります。
桐たんすに使用される桐材は、比重が小さく含水率が低いため、伸縮を繰り返しても安定的に状態を保つので他の木材に比べ数十年単位で狂いが少ないのが魅力です。
桐の性質を考えると、桐材がたんすの材料として優れていることが分かりますね!
桐たんすは使用されている木材や形状、加工方法などによって種類分けされており、価値が変わってきます。年代ものの桐たんすは、以下の種類にわけられます。
たんすの表面にくる前板にのみ桐材が使われ、他の部位には杉材など他の木材が使用されており、最も安いタイプの桐たんすです。
前板と側面に桐材を使用している桐たんすで、裏面など他の部位には違う木材が使用
されています。三方桐たんすと前桐たんすが一般的に多く出回っています。
前面と側面、裏面に桐材を使用した桐たんすで、価格も高くなってきます。
四方たんすは作りがしっかりしたものが多く、大切に使用されていれば古くても状態が良いモノが多いといわれています。
全体の仕上げが桐材のみで作られた総桐たんすは、最高級とされ技術の高い職人さんが作っている製品も多くあります。
そのため四方桐たんすや、総桐たんすは富裕層が使用していた家具と考えられています。
昔から婚礼で必要とされる代表的なものは、婚礼家具としての桐たんすと鏡台があります。
江戸時代頃には、女の子が生まれると桐の木を植える風習がありました。
植えた桐が15~25年で成木となることから、その子がお嫁入りする際に伐って、たんすや長持を作り、嫁入り道具として持たせるためでした。
その後 昭和時代かけて桐たんすは婚礼家具の代名詞として定着し、現代では桐を植えることはほとんどないですが、大切な娘を想い今もその風習はわずかながら続いています。
現在では、販売されている桐たんすは「総桐たんす」が一般的になりましたが、作り方によって価値が変わります。
たんすの作り方は職人製と量産型があり、技術の高い桐たんす職人が作った製品は、今でも高級品として扱われています。
桐たんすは機械や海外で作られた製品との見分けがつきにくくなっていますが、職人製は精巧で質が高く、大切に使えば長く使用できるでしょう。
安くて見た目が良ければ量産型でも良いですが、買取価格が高くなるのは職人製の桐たんすです。
桐たんすには多様な「型」がありそれぞれに名称(専門用語)がついています。
桐たんすは「衣装たんす」、「整理たんす」、「洋服たんす」と3種類に分けられます。
「衣装たんす」は、着物や和服を収納する「衣装盆」のついたたんすで、上下に分かれて下に洋服を収納する引き出しがついているのが一般的です。
「整理たんす」は、大小さまざまな引き出しと上部に引き戸が付いたたんすで、基本的に本体は2~3のパーツに分かれる構造のため、引っ越しが多い人や狭い家に向いています。
「洋服たんす」は、扉を開くとハンガーを掛けるパイプが通っており、毛皮のコートやロングコートが多い人にはピッタリです。
着物を収納する「お盆」の角の形にも違いがあり、仕上げの形により価値も違います。
盆の種類には普通盆、先留盆、前くくり盆、つけ丸盆、板盆、亀盆、本丸盆があります。 一般的に使用されているのが普通盆で、うつ木をしているので強度が高いのが特徴です。
高級桐たんすに使用されているのが本丸盆で、徐々に作れる職人が少なくなっており希少価値が高まっています。つけ丸盆、亀盆、板盆は同程度の価値ととらえて良いでしょう。
量産の桐ダンスに注意!
高級なイメージの桐たんすは機械で量産できるようになり、最近では中国など海外から輸入された桐たんすもあり、多くの家庭でも安価で使用できるようになりました。
しかし、中には桐材が十分に使用されておらず、ベニヤ合板など安い材木で作られている桐たんすもあるので注意しましょう。
桐たんすはサイズも大きく幅を取るため、引っ越しなどがきっかけで不要になることもあります。 桐たんすを買取してもらう時、一体いくらになるんでしょう?
不要になってしまった桐たんすを処分するための方法はいくつかありますが、買取業者によって値段のつけ方がさまざまあり状態によっては買い取ってもらえないこともあります。
桐ダンスの売却は、持ち込みや宅配での買取が面倒なので「出張買取」を利用するのがおすすめです!
「桐たんすを買取してほしい」「桐たんすを高く売る方法が知りたい」とお悩みの方、桐たんすを売るのは、実はそう簡単ではありません。
というのも、桐たんすは一般的に高級箪笥と言われていますが、近年ではそれほど需要がないのが実情です。
そのため、ほとんど使用感のない伝統工芸品やブランド品などの桐たんすでない限り、残念ながらゴミとして処分する羽目になる確率がとても高いです。
しかしながら、ネットで桐たんすの買取業者を調べてみると、たくさんの買取業者が簡単に見つかります。
多くの方は、これを信じてよく調べずに手近な買取業者に依頼しがちですが、これが大きな落とし穴! “実際には買取してもらえない可能性大です”
桐たんすを確実に買取してもらいたいなら、骨董・古美術品・現代美術品・工芸品全般の
「買取専門業者」に相談しましょう。
その際は、骨董品査定ができる視覚保持者や、査定員が在中している「買取専門店」を選ぶようにしましょう。
昔の風習をマネて、安易に庭にキリを植えてしまうと大変ですヨ!
たった一夏で1メートル以上の成長をする事もあり、幹元の立ち上がりから切り倒したところで、桐は ひっきりなく生えてきます。
「桐だけにキリが無い!?」 この生命力の強さこそ、桐が軽量で強度を持つ秘密なのかもしれませんね!