2024.05.23
作家名
2024.05.23
今大注目の若手芸術家「梅沢和木」はご存じですか?インターネット上の様々な既存キャラクターを取集し再構築、加筆して作品を作り上げるデジタル技術が魅力です。
本記事では、梅沢和木の経歴や作品の特徴、代表作や作品が所蔵されている場所まで詳しく解説します。さらに、作品の査定・買取についてもご紹介します。
梅沢和木の作品が好きな方、少しでも気になる方、作品を集めたいと思っている方はぜひ参考にしてみてください。
目次
1985年2月8日生まれ、 埼玉県出身。絵画教室を営んでいる両親のもとで育ちました。
小さなころから絵が得意で、中学時代にはアニメが好きなこともあり「漫画家」を目指していた時期もありました。
少年時代は野球に精を出していましたが、試合に出る機会は少なく、ベンチでクラスメイトや後輩を苦々しい思いで見ていたといいます。
そのような満たされない生活の中で「今のうちに得意なことを伸ばさないと未来はない」との思いから選んだのが「美術」の世界でした。
高校は埼玉県内の美術科に入学しました。そこで「油絵」「陶芸」「彫刻」「日本画」の基礎を学びます。
「武蔵野美術大学」に入学し「造形学部映像学科」を専攻しました。大学ではモノクロのイラストを主に制作していました。
「オタクはカッコ悪い」というイメージから中学生高校生の頃に好きだった「アニメ」とは距離を取っていました。しかし、ネット上にある好きなキャラクターを画面上に並べ、パソコンの壁紙を自作して遊ぶなど今の作風に近いことを趣味として行っていました。
ある時「涼宮ハルヒの憂鬱」というアニメの映像を見て、「自分の心を踊らせるものがある」と感動しました。そしてインターネットにアップされたアニメや「ニコニコ動画」「Twitter」にも感銘を受けました。その後、大学での美術的な表現の仕方と、自分の好きなオタクカルチャーの溝を埋めたいと思うようになりました。そこで考え出されたのが、イラストと画像のコラージュです。
そして大学の卒業制作では、現在のような作風の作品を作り上げたのです。
武蔵野美術大学造形学部映像学科を2008年に卒業し、現在CASHIに所属しています。ポストポッパーズ、カオス*ラウンジの元メンバーでもあります。
現在まで数多くの展覧会に作品が出展されています。
2021年に開催された個展「画像・アラウンドスケープ・粒子(Image,Aroundscape,Particle)」ではタイトルの単語それぞれが梅沢和木作品を象徴する単語になっています。
作品の素材となる「画像」、画像の「周辺にある風景」(around×scapeの造語)、デジタルの画像におけるピクセル「粒子」です。
今までにない立体的な凹凸だけで描くような試みもあり、デジタル技術なのか作家自身で描いたのか判断が難しい作品、デジタル技術と現実が入り混じる表現は、梅沢和木の真骨頂を見ることができる個展でした。
2023年7月現在最新の個展は、2023年7月6日から7月30日までNADiff Galleryで開催される「Beyond the Windows」です。現代美術の中でもデジタル技術を使ったキャラクター表現を考察し、ディスプレイの中に存在するアニメやゲームのキャラクターを用いて表現された新作の個展です。
また2010年よりコラボレーションしているファッションブランド「chloma」とのコラボレーションTシャツもリリースされます。出展作品がプリントされています。
梅沢和木をインターネットで検索すると出てくるのが「梅ラボ」という単語です。これは、本人のニックネームでもあり、公式サイトのニックネームにもなっています。
由来は、名前の「梅沢」とlaboratory(実験室・研究所・制作室)です。漢字とカタカナを混ぜれば印象強くなり、ネット検索でわかりやすくひっかかりやすいという考えからつけたそうです。当時は写真をやろうと思っていたそうで、「ラボ」という言葉もちょうどいいと考えていたそうですよ。
梅沢和木は自身で「人とのコミュニケーションが苦手な性格」と言っています。しかし絵画教室を営んでいた両親の元で、子供の頃から「真っ白な画用紙に一から絵を書き上げる」という根気強さを持っていました。
そして自分の部屋は秘密基地のような空間で、ごちゃごちゃと色々なものがある状態が好きなのだそうです。梅沢和木いわく、整えようとすると恥ずかしくて片付けないといけないものが出てくるのが嫌で、見せたいとのことです。このような梅沢和木の性格は、作品と通ずるものがあるように思います。
2021年
「画像の粒子 -Twelve Style-Particle of Image -Twelve Style-」
梅沢和木は、デジタル画像を拡大することで見えてくる画像の粒子「ピクセル」に現実を感じるといいます。
この作品は、様々なデジタル表現の残骸を集めたカオスな色彩の集まりをプリントする際インクの粒子を噴射し定着させ、それを何層にも積み重ねます。それにより繊細な凹凸を作り出します。
デジタル世界でのピクセルという単位に、よりリアリティを感じる梅沢和木は、そこにフォーカスを当てました。この作品が展示された展覧会のタイトルにも「粒子」と、キーワードとして取り入れました。
※2021年開催された個展「画像・アラウンドスケープ・粒子」
これまでに築いてきたモチーフが、1つの画面に閉じ込められたこの作品のデジタルとは?リアルとは?と問われているような感覚を与えてくれます。デジタルとリアルの境界を曖昧にさせるような存在の作品なのです。
作品の素材は、インターネット上にアップされた様々なアニメ、ゲームのキャラクターが中心となっています。さらに、画像やイラスト、自身で撮影した写真など大量の素材を使い、それらをコピー&ペーストし再構築して、デジタルコラージュしています。その後、出力した用紙に自身でペンや絵の具などを使い重ねて加筆し、独自の世界観を創り上げていきます。
デジタルの世界と現実の世界を行き来する感覚を味わうことのできる梅沢和木の作品は、東浩紀や村上隆などから支持され、高い評価を受けています。また、カオス的な画面で表現される作品には、国内外に多くのコレクターも存在しています。
2011年に東日本大震災が起き、しばらくの間ネット上には震災の写真ばかりになった時期がありました。梅沢和木は、震災の瓦礫の写真を作品に組み込んだ作品を発表しました。
常にネットを通して現実を認識し、それがデジタルの中の現実なのだという、梅沢和木作品の特徴として強く現れています。
梅沢和木は「テン世代の申し子」と形容されることもあります。テン世代とは2010年代ということです。梅沢が個展で作品を発表し始めたのも2008年です。まさに梅沢和木がハマったと言っている「ニコニコ動画」や「Twitter」がネット上で人気が高まったのもこの時代です。梅沢和木にとっても、当時のサブカルチャーには深い愛着があり、そのカルチャーを更新していきたいと思っているとインタビューで答えていることもあり、この時代が作品に影響を与えているとも言えるでしょう。
梅沢和木の作品が所蔵されているのは2か所です。
東京都現代美術館(MOT)
〒135-0022 東京都江東区三好4丁目1−1
「森美術館」
東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー
ここまでは作品の詳細について解説しましたが、こちらでは作品の査定、買取、売却について解説します。梅沢和木作品の査定、売却を考えている方はぜひ参考にしてください。
基本的に査定時に高値がつきやすいと言われているのは、現時点で人気が高いアーティストの作品ということです。著名作家の作品でも作家が亡くなってからの方が価値が上がるのではないかと思う方もいるかもしれませんが、それはとても稀なことで少数です。
現時点での人気の高さ、メディア露出などが重要になってきます。
梅沢和木作品は、今現在国内外で人気がありコレクターも多数いるため、この点についてはクリアしていると言えるでしょう。売却を検討している方は、個展開催などニュースやメディア露出のタイミングを見て売却するなどすると満足いく結果が得られるでしょう。
もう一つのポイントは、作品の保存状態です。作品の状態の良し悪しがとても大きく価格に影響します。ひびが入っているものやカビが生えているもの、染み、日焼けや退色、破れも査定価格が下がるポイントとなります。将来売却を検討している方は大切に保管し、査定前には手入れをして良い状態の作品で査定をしてもらうのが良いでしょう。
今回は今もっとも注目されている若手芸術家「梅沢和木」の経歴から性格、作品の特徴や代表作、査定売却のポイントまで詳しく解説しました。
現代人とは切っても切れない関係のデジタルの世界と、今を生きる現実世界を行き来するような世界観は、国内外から支持されこれからもっと人気が高まり価値が上がっていく芸術家と言っていいでしょう。
梅沢和木作品の査定、売却を検討している方はぜひ弊社までお問い合わせ下さい。