2024.10.23
茶道具
2024.10.23
日本の代表的な伝統文化である「茶道」に「抹茶道」と「煎茶道」があるということをご存知でしょうか。
粉末茶を使用する抹茶道(茶の湯)と違い、煎茶道は葉茶を急須で淹れてお点前をする式作法のことを指しています。
この記事では、煎茶と煎茶道について、その歴史や作法、宗派について解説するとともに、使用する道具の種類やその買取相場などについて解説していきます。
この記事を読めば、煎茶にまつわる正しい知識を得て、煎茶道具の買取について検討することができるようになるでしょう。
そもそも煎茶とはどういったものなのでしょうか。
普段私たちが日常的に飲んでいる日本茶との違いや、抹茶道(茶の湯)との違いはあるのでしょうか。
ここでは煎茶の歴史や抹茶道との違いをご説明するとともに、また煎茶を好んだ著名人についてもご紹介します。
そもそも煎茶道は、江戸時代に中国の僧である隠元禅師が中国から煎茶とその周辺文化を日本に伝えたことから始まっています。その後、高遊外売茶翁によって知識人や文人墨客を中心に文人煎茶趣味が広がり、現在でも私たちの生活に密接にかかわっているのが煎茶なのです。隠元禅師は煎茶とともに西瓜やテーブルなど、さまざまな文化を日本に伝え広めた人物でもあります。煎茶道の代表的な団体である一般社団法人全日本煎茶道連盟は、隠元禅師が開山した黄檗山萬福寺にちなみ、黄檗宗の総本山、黄檗山萬福寺に本部を置いています。
同じ「茶道」とはいえ、「煎茶道」と「抹茶道」とは成り立ちや歴史、精神性が若干異なっていますが「一期一会」「茶禅一味」といった根本的な思想は同じです。
煎茶道、抹茶道ともに、茶道は生活に根ざした文化であり、日本文化の集大成であるといわれています。実際に茶道を習ってみることで様々な文化や歴史との結びつきを感じることができ、教養を身につけることができるのではないでしょうか。
「茶道」という枠内では大きな違いがないように思われるかもしれませんが、実は「煎茶道」と「抹茶道」ではその成り立ちからすでに異なっています。
中国宋代に用いられていた抹茶法が日本に伝わり、千利休が安土桃山時代に完成させたものが日本の抹茶道であり、茶の湯と称される茶道です。
抹茶道である茶の湯は、主に武家社会に浸透していくわけですが、これに対して煎茶道は、江戸時代中期以降に流行した、文人墨客と呼ばれる当時の文化人達の間に流行し浸透していった茶道です。
当時は茶道の形骸化が進みつつある時代でした。これに異議を唱えた知識人達が形にとらわれない茶道として見出したのが煎茶道です。そのため、煎茶道は茶室や道具に必要以上のこだわりを持ちません。自由な精神や風流を重んじ、文人墨客達が自然の中で嗜んだ煎茶道の精神は、茶の湯のような堅苦しいものではなく、より日常的な茶道として親しまれています。
岡倉天心が著した「茶の本」の中では、団茶、抹茶、煎茶のそれぞれの製法や時代背景を含め、その流れについて古典派、浪漫派、自然派と示しています。そして日本人にとっての茶の道は生きる技を磨くものだと紹介されています。広く世に知られている煎茶を好んだ著名人として3名をご紹介しましょう。
江戸時代の読本作者であり、怪異小説「雨月物語」の作者でもある上田秋成は、文人であると同時に茶人でもありました。上田秋成は煎茶書である「清風瑣言」を著し煎茶道の普及に貢献しました。
江戸時代中期の俳人である与謝蕪村は、松尾芭蕉、小林一茶とともに「江戸時代の三大俳人」といわれる著名人です。文人画、俳画の確立に貢献した与謝蕪村もまた、煎茶を好んだといわれています。
近代文人画の巨匠といわれている富岡鉄斎もまた、煎茶文化に造詣が深いことで有名です。茶の湯の世界にも精通し、千利休をはじめとする茶人の肖像、著述、茶室などを考証して、根底に流れる精神を理解することに努めたといわれています。
抹茶道、茶の湯で使用する道具と煎茶で使用する道具は異なっています。
しかし、茶道といえば抹茶道、というイメージが私たちにはあるため、煎茶道に使用する道具にどのようなものがあるか、あまりイメージが持てないのではないでしょうか。
ここでは煎茶の道具にどのようなものがあるのかをご紹介するとともに、煎茶道具の買取について解説していきます。
そもそも煎茶道には多くの流派があり、煎茶道の団体である全日本煎茶道連盟に加盟している流派だけでも40近くいます。
同じ使用方法の煎茶道具でも流派によって呼称の違いがあったり、同じ名前でも全く違う煎茶道具を指す場合もあったりするほか、ときにはその流派では使用されない道具もありますので、ここでは煎茶道で一般的に使用されているものを紹介していきます。
煎茶道の急須は、家庭で使用する急須よりも小さいものになっています。だいたいは手の平サイズのものを用いることになります。
急須と同様、小ぶりの茶碗を使用します。色絵や染付などが施されているものが一般的です。
抹茶道では使用されないもののひとつが茶托です。煎茶道では茶椀の下に敷く受け皿として使用します。
煎茶道では多く玉露を使用しますが、玉露を楽しむ際に、お湯の温度を適温にするために使用されるのが湯冷ましです。淹れる温度が大切だといわれるお茶ならではの道具です。
煎茶道で使用する茶葉を保管するための道具です。他の煎茶道具よりも格上の扱いをされています。
お湯を沸かすために使用する煎茶道具です。直接火にかけて使用するので破損し易く、古くて良いものがあまり残っていない貴重な道具になります。
水をつぎ足すために用いられる道具で、抹茶道と煎茶道では使用方法に僅かな違いが存在します。
煎茶道具は種類が多いのですが、相場でみると急須、茶碗、茶托には数千円から数万円の査定がつくのが一般的です。煎茶道具の中で特に大切とされる茶入については、これらよりもう少し査定が上がり、中には数十万円の値段がつくものもあります。また、香炉も高めに査定されている場合が多くみうけられます。
煎茶道具で特に高額で取引されるものの特徴としては次のようなものが挙げられます。
もしご自身が所有している煎茶道具を手放すことを検討するなら、これらの特徴に該当する品かどうかをチェックしてみてはいかがでしょうか。
抹茶道である茶の湯の道具とは違い、煎茶道具は茶の湯の道具ほど一般的に知られていないものが多くあります。そんな煎茶道具をきちんと査定し、高価取引してもらうにはどうすればいいのかを解説していきます。
骨董品全般を扱っているお店でももちろん煎茶道具を査定し売却することはできます。しかし煎茶道具の場合、茶の湯で使用する道具よりも一般的ではないため、ちゃんとした査定ができるお店かどうかが分かりにくいのが気になるところです。
煎茶道具は普通の骨董品業者よりもさらに専門性の高い、茶道具を特に専門的に扱っている業者で査定をしてもらいましょう。骨董品業者よりも信頼できる査定がもらえる可能性があります。
煎茶道具は茶の湯の道具と比べて一般的ではありません。私たちが日常的に使う急須や茶托などが、煎茶道の正式な道具であることを理解していないと「立派な箱に入った茶托だなあ」「この急須、なんだか小さくて使いにくそうだなあ」など、その道具の価値を正確に測ることができないまま、なんとなく売りに出して、査定結果に疑問を感じることもなく、価値ある品を手放してしまうおそれだってあるのです。煎茶道に使用される煎茶道具の種類を最低限でいいので把握し、理解しておくことが大切です。
骨董品、美術品のなかでも特に茶道具は鑑定が難しいものといわれています。まして抹茶道ほど一般的ではない煎茶の道具については、専門の鑑定士がそのお店にいるかどうかだけで査定にかなりの差額が発生することは容易に予測できます。
骨董品、美術品全般にいえることですが、特に煎茶道具については、必ず複数の専門知識のある業者から相見積もりをとることをおすすめします。
専門鑑定士が査定したのであれば、査定に出した品がどういう価値を持っているものなのか、どの部分を重視し査定しているかなどもきちんと伝えてくれます。納得できれば売却の手続きに入りましょう。もちろん査定のみであってもほとんどの業者が無料で査定してくれます。
この記事では、煎茶と煎茶道について、その歴史や作法、宗派について解説するとともに、使用する道具の種類や買取相場、高く売るコツについて解説しました。
記事を読むことで、煎茶道と抹茶道の違いを歴史的側面からも、作法や道具の違いからも、理解していただけたのではないでしょうか。
また、特に抹茶道ほどなじみのない煎茶道で使用する道具にどのようなものがあり、どのように査定されているのか、より高値で取引してもらうにはどのような点に気をつける必要があるかについてもご理解いただけたことでしょう。
茶道具専門の査定スタッフがいるかどうかで査定金額が大幅に変わる可能性があるのが煎茶道具です。所有されている煎茶道具の買取をご検討されているのであれば、査定から実績のある弊社にお声がけいただければ幸いです。まずはお気軽にお問合せください。皆様にとって価値ある取引となるよう、話し合いを進めてまいります。