2024.01.24
食器
2024.01.24
漆器は、自然から生まれた木と漆を使い、他の器にはない漆器ならではの良さがあります。
また漆器は長く使い続けると深い色に変化するだけでなく、磨き抜かれたツヤのある質感に変わり 使い込んだ漆器は何とも言えない趣があり、大切に使われてきた様子が伝わってきます。
目次
漆器は木地を彫る専門の職人さんが、長い伝統と高い技術によって製作し日本の「伝統工芸品」として知られています。
また、伝統工芸品は その土地土地のお殿様に仕えながら進化した歴史があることからも、地域文化の精神性や特徴も加味され「日本独自の文化」を表現できる唯一の品物と言えます。
漆器で代表的なものは、青森県の津軽塗や石川県の輪島塗などが有名ですが、そのなかで
「彫」と名の付く漆器・・・つまり木地に彫刻を施して「漆(うるし)」を塗り重ねる工芸品は「鎌倉彫」と、新潟県の「村上木彫堆朱」だけなのです。
観光地としてあまりにも有名な古都・鎌倉・・・歴史ある建造物と四季折々の美しい景色の変化が人の心を引き寄せるこの地には「鎌倉彫」という伝統的工芸品があります。
鎌倉では、、、、、、1192年に源頼朝が鎌倉幕府を開くと都市整備がなされ「宋」時代の中国文化や禅宗文化も取り入れ、建長寺や円覚寺などの禅宗寺院が建立されました。
中国の禅宗が伝わってくると、一緒に多くの彫漆器が輸入され、仏具として珍重されましたが、それらの影響を受け、仏像を作る仏師や神社や寺作りをする宮大工たちが高度な木彫技術を基盤として、舶来した彫漆に影響を受けて考案したものが鎌倉彫のはじまりと考えられています。
鎌倉彫は、カツラやイチョウなどの木を用いて木地を成形し文様を彫り、その上に漆を塗って仕上げた工芸品で、鎌倉市及びその周辺地域で作られたものをいいます。
鎌倉彫は、鎌倉時代に作られた仏具が鎌倉彫の始まりで、茶の湯が興隆した室町時代に茶道具として珍重されるようになり、現在ではお盆、小箱、食器、手鏡に加えて箪笥など様々な日用品が作られています。
鎌倉彫は 日本的な草花の絵柄を中心に力強く大胆に彫刻し、柔らかさとあたたかみを出した漆塗りが特徴です。
鎌倉彫独特の彫りと塗りの技法として刀痕(とうこん)や、乾口(ひぐち)とりが有名です。
「刀痕」とは、草花などの文様以外の部分に刀の彫り跡をわざと残すのが特徴で、独特の深い味わいを与えます。
「乾口」とは、上塗りがまだ乾いていないうちに煤玉(すすだま)やイネ科植物の粉であるマコモなどの粉を蒔き、彫刻の陰影を際立たせるものです。
柄のデザインは、日本的な草花の絵柄を中心に力強く大胆に彫刻されていて、柔らかさとあたたかみのあるのが特徴です。
彫りの高い部分は朱色で、低いところは黒っぽい古色が残って陰影があります。
1979年1月12日に、経済産業省により鎌倉彫は「伝統的工芸品」に指定されました。
伝統的工芸品とは、ふだん使う生活用品のうち、技術・技法が100年以上続く歴史があることを、国から認められたもののことです。
現在「伝統的工芸品」は、決められた審査を通った全国の約230品目の工芸品が指定されています。
鎌倉彫は 国内外の博覧会へ積極的に出品され、その魅力が高評を得たことで近年では需要が拡大しています。
歴史ある伝統工芸品には、栃木県日光の三大工芸品である「日光彫」があります。
日光彫は、江戸時代にまでさかのぼる 日本を代表する伝統的な彫り物です。
三代将軍・徳川家光が当時の日光東照宮を荘厳な社殿に造り変えする際に、全国から宮大工、彫師、漆工、金工、絵師などの名匠たちを集めました。
これらの彫師たちが仕事の余暇に彫った者が「日光彫」の起源と言われています。
その時に鎌倉にいた多数の彫師たちが、この時代に日光に流れていったと言われているので、「鎌倉彫」が日光彫のルーツと言っても過言ではないかもしれません。
日光彫と鎌倉彫の大きな違いは、日光彫が最初から板目を彫って育てた純粋な板目彫りなのに対し、鎌倉彫は もともとは仏像などの立体彫りで、やがて板物彫りに変わってきたという点です。
日光彫は「ひっかき刀」という道具を使う技法が有名で、現在の日光彫りは必ずしも漆塗で仕上げている訳ではないようなので、漆器に分類されている鎌倉彫とは やや違います。
鎌倉彫は、木を彫る人、漆を塗る人、道具を作る人など、多くの専門職人がそれぞれの卓越した技術を奮って作り上げます。
木材は主に北海道産の桂(かつら)が使われ、6か月から1年かけて乾燥させ、製品の用途にあわせて成形していきます。
桂の木は木目が細かく、繊細な彫刻を施すのに適しており、昔から鎌倉彫の素地として好まれています。
製作の工程は材料の木取りからはじまり、形を作るろくろ挽き、文様を付ける絵付け、彫りを入れる立ちこみ、文様部分を浮き上がらせる 際取りと肉付けをする刀痕、木地固め、蒔き下地、中塗り、上塗り、まこも蒔き 、仕上げまで 約12工程を経て製作されます。
皿や器などテーブルウェアを得意とする鎌倉彫ですが、その優れた技術は、ブローチなどファッション・アイテムの分野でも活かされています。
職人の卓越した彫りに幾重にも塗り重ねられた「鎌倉彫」は、とても丈夫で長持ちします。
旧鎌倉市街から発掘された鎌倉時代の物と思われる漆器が、ほぼ完全な状態で出土されました・・・専門家によると、これは漆由来成分の防腐効果と何層にも塗り重ね、作られる漆器の工程が強度を生み長年の間、地中で腐らずに発見されたのだと分析されました
現代美術作家であり、800年の歴史をもつ鎌倉彫の伝統継承者である三橋鎌幽氏は、2000年に父・三橋鎌嶺に師事します。
その後、心の鍛錬と仏師の初心を得るため建長寺で禅を学び、2010年には建長寺・吉田老師より「鎌幽」の号を拝銘しました。
氏は禅の祈り空間に必要な仏具制作や茶道具制作を中心とする一方で、自身の表現とするART作品も世界へ発信しフランスのパリで個展を行うなど国内外で多岐にわたって活動中。
若き職人・三橋鎌幽氏は、800年の歴史を持つ鎌倉彫の伝統を100年後にも残すため、一般の人たちにも「鎌倉彫教室」の講師として鎌倉彫の技術を教えています。
彫刀の彫り跡をわざと残すのは鎌倉彫の特徴ですが、その技法は日用品だけでなく「鎌倉彫箪笥」として、箪笥などの和家具にも反映されています。
和家具というのは、その名の通り和のテイストで作られた家具のことで、箪笥は「和箪笥」と呼ばれる種類の和家具です。
あえて『和』とつけなくても基本的には通じますが、西洋風の洋服ダンスのものまで含まれるため、それらと区別する際は和風箪笥、あるいは民芸箪笥と呼ばれることもあります
箪笥という漢字が用いられる以前の安土桃山時代に、タンスは「担子」と書かれ、主に茶道具や武器などを入れて持ち運ぶことが出来る箱を指していました。
箪笥が登場したのは江戸時代前半と言われており、それまで衣服などを収納する際には、櫃(ひつ)や 行李(こうり)などの収納箱が活用されていました。
しかし、持ち物や衣服が増えたことから、より収納力の高い保管場所が必要となり、抽斗 (ひきだし) 式の箪笥が誕生したのです。
ただし、当時箪笥は高級品という扱いで誰でも所有できるものではありませんでしたが、その後 江戸時代の後半〜明治にかけて、徐々に庶民の間でも普及していきました。
箪笥の数え方ですが、一本 二本でもなく、一台 二台でもなく、従来の箪笥の正しい数え方は一棹(ひとさお)、二棹(ふたさお)と数えるのが正しい数え方です。
箪笥の数え方は江戸時代に由来します・・・昔の箪笥には引っ越しなどで持ち運びする時のために、上辺の両端に金具が取り付けられていました。
その箪笥を移動させる時には、その金具に長い「棹(さお)」を通して箪笥を2人で運んでいたのです。
箪笥そのものではなく、運ぶ時に使われていた道具が箪笥を数える単位として使われていたのでした。
和箪笥は和室にはもちろん、モダンなダイニングやリビングでもおしゃれに取り入れられ、様々な和箪笥を取り入れたコーディネートも可能です。
アンティークな和箪笥は、老舗旅館にも飾られ 和モダンなインテリアにも最適です。
和箪笥売りたい!
鎌倉彫の魅力は何といっても模様の美しさ! 牡丹、菊、唐草、倶利の古典文様から最近ではモダナイズされたデザインの物も多くあります。
お家のリフォームや建替えのとき、古くなった箪笥の整理をしてみてはいかがでしょうか。
伝統的工芸品の「鎌倉彫箪笥」は、高値で買い取りされる可能性もあります。
箪笥の買取を検討する際、比較的大きく重い箪笥は、一人で運ぶのが大変です。
その時は骨董品や箪笥の買取を専門としている業者に相談しましょう。
買取専門業者の中には、自宅まで「無料出張」「査定料無料」「搬出料無料」などの買取サービスを掲げている業者もいます。
また「持ち込み買取」や「宅配買取」という方法もあります。
「持ち込み買取」は 直接店まで運び、その場で査定を行い即現金払いの来店買取です。
「宅配買取」は、店舗へ足を運ばなくても、売りたいものを梱包して買取業者宛に発送し査定・買取してもらうサービスで、買取成立後に査定額が指定の銀行口座に振り込まれます。
ただし、送るものが大きすぎると利用できないことがあるので、箪笥などは出張買取を利用されるのが望ましいです。
買取の際は、信頼できる会社かどうかを確認する!
買取事業を行うには、基本的に「古物商許可証」の取得が必要になります。
骨董品を買取してもらう時は、古物許可番号を確認しておきましょう!
古い家具も意外な人気!
使い込まれた古い家具は、アンティークとしての人気があります!
古い家具だから無理かも、と思わずに「買取」に依頼してみてください。