2024.11.22
作家名
2024.11.22
長場雄(ながば ゆう)は、日本のイラストレーターであり、アーティストです。
個展を開催する以外にも、雑誌であったり、書籍、広告……などなど様々なブランドとのコラボレーションを展開し、領域を問わず幅広く活動を続けています。
「BEAMS」、「UNIQLO」、「ASICS」、「G-SHOCK」と言ったコラボレーションであったり、「マガジンハウス」、「RIMOWA」、「Technics」、「Spotify」、「Universal Music」、「Monocle」など、国内外問わず様々なクライアントにアートを提供しています。
今回は、そんな長場雄のアートを深堀します。
目次
長場雄は、1976年東京に誕生しました。
10歳の時に父親の仕事の関係でトルコに住み、そこでデッサンや模写などを学びました。
帰国後、東京造形大学デザイン学科に入学し、卒業します。
その後、アパレル企業「graniph」におおよそ6年間在籍し、Tシャツのグラフィックデザインを担当しています。
勤務の傍らでは、自身の創作活動にも専念し、その後独立を果たします。
アパレル企業「graniph」での体験はアーティスト長場雄を形作る意味のある体験でした。
長場雄は、東京造形大学デザイン学科を卒業し、まずはgraniphにおいてデザイナーの仕事をスタートさせることになります。
「ファインアート」とは、純粋を掘り下げ、特別役に立たないようなアートのことを言う言葉ですが、それまでの長場雄のアートに対しての向き合い方は、まさに、ファインアートでした。
しかし、graniphでデザイナーとして仕事をしている以上、目指していかなければならないのは、「売れるためのデザイン」です。
それでも「自分自身の好きなデザイン」とは関わっていきたいという思いもあり、長場雄は「売れるもの」と、「自身の好きなもの」との混沌とした狭間にたたずみ、苦闘した経験値こそが現在とても役立っていると語っています。
長場雄は、graniphでデザイナーの仕事をする傍らで、自身の創作活動も意欲的におこなってきました。
彼自身のアートは、極力無駄なものは排除し、シンプル化した画像が特徴的です。
長場雄は、最初のころには、有名人や既存の映画などをモチーフとして、線をできるだけ排除したイラストを創作します。
なんでこのようなアートに到達したのかといえば、そこにはガッツリと奥様の意見が介入していたということです。
長場雄は、奥様に面白くない……と言われれば、アートを作り直しするような姿勢をもっていました。奥様の尻に敷かれるという感じではないのかもしれませんが、長場雄が奥様の意見に耳を傾けるということは、ファインアートからの脱皮ということができます。
やはりアートは、一人で描いて楽しいだけのアートでは意味がないのかもしれません。大事なのは、他者に対して訴えかけることができるアートの創造です。
やがて、長場雄のアートは、奥様だけでなく、世間から認知されるようになり、そのとき独立を決心することになります。
長場雄のアートは、誰もがシンプルでスッキリしているという印象を受けます。
長場雄のミニマル化したアートは、そのフォルムが明確にされ、写実では見えないものが線と線の間からくっきり見えてくるような感じがあります。
また、長場雄のアートが世間に受け入れられるためには、馴染める要素がプラスα必要です。
彼のアートからは、かわいらしいとか、おしゃれとか言った雰囲気が滲み出し、見る者たちを惹きつけています。
長場雄のアートの特徴は、シンプルで、かつおしゃれでかわいいことです。
実際に世間にはいろいろなアーティストの方々がいて、もっと自分自身の世界観を展開しているアーティストであったり、観客に媚びないアーティストもいるのですが。長場雄は、自分はそのようなアーティストのタイプではないと悟ったと言います。
それは、まさに、graniphで学んだ経験によるものです。また、彼が奥様に指摘されて容易に方向性を変えるアーティストであったからかもしれません。
そのような意味で長場雄には、変人アーティストではなく、ごくごく普通のアーティストであるという自覚があります。変人アーティストが多い中、変人アーティストこそがアーティストの素質と評価する人たちもいます。そのような中、普通であり続けることも逆に言えば、アーティストの個性であるのかもしれない……。
そんなにアートにおいて自己を追求する訳でもなく、おしゃれでかわいいものを創造しようという強い意欲によって、長場雄ならではの世間のニーズに叶ったアートが誕生します。
また、長場雄は、アーティストのドナルド・ジャッドから影響を受けたと語っています。ドナルド・ジャッドは、実際に自分で製作しないで、外注し工業製品のようなアートを創造してきました。
彼は、それまで個性をアピールすることだけがアーティストのあり方だと思っていたのですが、このような選択肢もあるんだということに気づき共感したということです。
長場雄は、このまま消費社会に流れてしまっていいものかを考える時期もありました。
本当にしたいアートはもっと別の場所にあるのではないか。
しかし、アートは、人に評価されて、売れるアートであるべきという方向性も否定はできないですし……。
消費社会に埋没しつつも、自身にいったん戻り考え直そう……という姿勢をもつことでアートが変化し、どんどんシンプル化していったということです。
シンプルであることは、相手にわかりやすく伝えることであり、消費社会にマッチした概念です。
自分自身をもっとアートにおいて表現したいと思うし……。
そのとき、長場雄のアートは、過剰なほどシンプル化の方向へと流れていくことになります。
イラストは、本来もっと色を一杯使用しなければならないもの?
いえ、そこにはそんなルールが存在している訳ではありません。
自分自身はもともと色をたくさん使うことに苦手意識ももっていたし、苦手だったらする必要はないと思うし……。それであれば、なしにしてしまおう。
消費社会に傾倒する道を変えることはできないけど、あえて自分の好きなことに絞り込み、余分なものは全部排除してやろう、そんな気持ちの中から、長場雄のシンプルアートが誕生し、モチーフも自分自身が扱いたいと思っているものだけを扱ってきたということです。
そこで誕生したのが、「かえる先生」です。
かえる先生は、長場雄が消費社会に埋没しながらも、唯一の自己を表現することができる逃げ道だったのかもしれません。
しかし、かえる先生は世間からの評価が下火となり、制作を中止する時期があったということです。
それは、長場雄が単に自分のしたいことだけをしてもやはり人からは評価されないことを表す事件であったのかもしれません。
かえる先生は、長場雄がしたい好きなアートの夢を背負い、苦悩し彷徨い続けていたのかもしれません。
一方で長場雄は、夢はそっちのけにして(かえる先生に責任転嫁し)、インスタグラムの情報発信ツールを活用するなど売れるアートに没頭し、いまできることは何かを考えていました。
消費社会に傾倒するアーティストになる決心をするものの、簡単にそのようなアーティストになることができる訳ではありません。また、なることができたとしても、消費社会は、流行に左右される安易な社会であるため、長場雄なんてすぐに飽きられてしまうのではないだろうか……とか、自身の代わりなどどこにでもいるのではないだろうか……と言った不安をいつも抱くことになります。
すぐに、「あのアーティストはあの時代が一番良かったわね……」と言われてしまう時代がきてしまうのかもしれません。
そのために必要なのは、ストックであると考えます。
長場雄の夢を背負い、彷徨い続けているかえる先生も長場雄の大事なストックのひとつですし、かえる先生もいつか再び日の目を浴びるときが来るのかもしれません。
そして、ストックの中には、彼のモチーフのひとつであるスヌーピーがありました。
思いきり自分の好きなアートだけと向き合う姿勢とは卒業している長場雄ですが、それでも、ストックの領域であれば、人に疎外されないでちゃっかり自分自身のアートを楽しむことができる空間を作ることができるのではないか。
まさに、ストックこそが、売れるものと、自分自身の好きなものとの溝をうまくつないでくれる接着剤の役目をもってくれたのです。
その後、ユニクロでは、「ピーナッツ」のコラボ商品が実現し、ヒットしています。
このような感じで長場雄は、ストックのパワーに依存し、自身が納得できる成功路線の道筋を作っていくことになります。
あるとき、長場雄は、「そろそろキャンバス作品に挑戦してみようか」という気持ちになり、初めてキャンバスの作品だけを展示する個展を開催しています。
長場雄は、現在、イラストレーターと名乗っているため、あえてキャンバス作品と向き合う必要はないと考えていたのですが、あるとき、本当のことを言えば自分は心の奥底にキャンバスアートを描きたいという欲求があり、顕在しないように鍵をかけ閉じ込めってしまっていたのではないか……という気持ちをもつようになります。
消費社会にニーズが存在していたとしても、賞味期限があってそこそこ10年程度であるとすれば、そろそろキャンバスと向き合わなければならない時期かなとも考えたと言います。
長場雄がキャンバスと向き合う。それはまさに、自分自身のしたいと思っているアートを描くスタートラインであったのかもしれません。
いまであれば、人から評価されるキャンバスアートを描くことができるのではないか……。
いや、売れないかもしれないけど、今までこれだけ頑張ってきたのだし、そろそろ原点回帰してもいいころなのではないか……。
長場雄はキャンバスと向き合うにあたり、様々なことを考えています。
しかし、そのとき長場雄の抱えていた悩みは、あまりにも売れっ子アーティストとなっていためにキャンバスと向き合う時間がなかったことです。
そこで彼は、休む時間も惜しまずキャンバスアートと向き合うことになります。楽しいことをしているのですから、寝ることなんて二の次で構わないとも考えたかもしれません。
アーティストはやっぱり自分の好きなアートを追求するべき。消費社会に延々と傾倒したアーティストが出した答えです。
いつか結局はここにたどり着くのではないか……。寝る時間がなくたって、長場雄はいまが一番幸せな時を過ごしているのかもしれません。
現在、長場雄のアートを所有していて売却査定して欲しいと思っている方々もいらっしゃることでしょう。
長場雄の版画アートは、主にシルクスクリーンで刷られ、モノトーンでシンプルな線を見事に表現しています。版画でしか表現できない作風も多く、高額売却査定を期待することができます。
長場雄の、名画のオマージュ作品も現在、人気で、意欲的に取引がされています。
Back to The Futureは、そのまま映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」をオマージュした作品です。130,000円で買取された実績があります。
VINCENT & JULESは、映画「パルプ・アクション」のワンシーンを描いたアートです。
こちらは、150,000円という売却査定額でした。
いかがでしょうか。今回は、長場雄のアート、買取情報について解説しました。
長場雄は、現在、書店で見かけないくらい著名なアーティストとして成長し、活躍の場を広げています。
それは、長場雄がどのような媒体にも容易にフィットすることができるシンプルなデザインを創造するアーティストであるからです。
日本で最も活動しているアーティストともいうことができ、今後買取相場も高くなる可能性があります。
現在、長場雄のアートをお持ちであれば、今が売却査定してもらうためのいいタイミングであるかもしれません。