2024.01.24
人形
2024.01.24
みなさんは「アンティークドール」をご存知でしょうか?一般的に日本でいわれている「アンティークドール」とは1800年代後期から1900年初期にかけてドイツやフランスで作られた「ビスクドール」のことを言います。
この「ビスク」とはフランス語で二度焼きした磁器のことで、いつまでも変色しない肌の色やその柔らかそうな質感がビスクの特徴となっています。
本記事では、そんなアンティークドールの買取が可能かについてご紹介します。アンティークドールに興味ある方やこれからアンティークドールを集めようと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
数多くある人形の中で最もリアルに、美しく作成されて人々を夢中にさせたのは陶磁器製のアンティークドールかもしれません。
どの時代でも人形を作る目標のひとつとして「いかに人間によく似た人形を作るか」が目標のひとつでした。18世紀ヨーロッパでは中国から伝わった磁気の開発が進み、ドイツのマイセンが生産を始めました。磁器は原産国である中国にちなんで「チャイナ」とも呼ばれ、ヨーロッパ中の王族・貴族を中心に裕福な人々を魅了した素材でした。それまで人間の外観を作るのに苦労していた人形メーカーは、この磁器の発明により絶妙な表情を持つ顔、リアリスティックな外観、それに似合う美しい衣装を持つ人形を作ることができるようになりました。
実は、陶磁器アンティークドールの種類は主に3種類に分類されます。磁器で作られたチャイナドール、パリアンで作られたパリアンドール、そしてビスク焼きで作られたビスクドールの3種類です。
「アンティークドール」と聞くとチャイナドールとビスクドールが同じグループに入り、語られることもありますが、このふたつは製造法、見た目も異なります。
チャイナドールは白い釉薬をかけた磁器で作られており、ビスクドールは素焼きの磁器で作られたものを言います。
ある諸説ではヨーロッパの最も古いチャイナドールは1750年頃に作られたといわれています。
現存するものは1845年頃に大量に作られたもので、チャイナドールは1840年代から1940年代までにドイツで主に作られ、人気のピークを迎えたのは1840年から1890年代といわれています。
当時、人気のあったワックスドールと磁器の人形は人気を争っていました。磁器はワックスと比べ冷たい肌触りで硬い質感が特徴です。磁器製の人形も壊れやすいという欠点はありましたが、優雅で洗練されたその姿は瞬く間にヨーロッパ中で人気となりました。
チャイナドールは高温に強い特殊な粘土と水の混合物から整形され、高温で焼成されており、塗装され光沢のある外観を得るために釉薬で艶を出しています。代表的なチャイナドールは顔と頭、首、肩までが磁器で作られています。人形の本体や手足は藁やおがくずなどが詰められた布や革や木でできており、磁気の方に小さい穴をあけ縫い付けられていました。のちに手足の形成にも磁器が使われ、さらにのちには足先から頭まで全て磁器で作られたチャイナドールも作られるようになりました。チャイナドールの大きさは数センチのものから1m弱までのさまざまなサイズで作られています。当時のファッションに適応するように、やや傾斜がかった肩をしています。古いタイプのものは額の髪の毛は中央で分けられ、耳の周りにカールした髪型が見られるものがありました。
1850年以降にはファッショナブルなヘアスタイルが反映され、かつらを施したものまで登場しました。ドイツで作られたチャイナドールは黒い髪と青い目をしたタイプが多くありましたが、茶色の目やガラスの目を持つものも販売されました。
チャイナドールの製造でよく知られていたのはKPMベルリン、マイセン、ロイヤルコペンハーゲンです。
これらの製品には企業のマークが記されていますが、小さな工房で作られたものはマークが付けられていないものも多く存在します。
ファッションやヘアスタイルの流行が人形作成に大きく反映していることもあり、コレクターはチャイナドールの髪型から年代や製造工場を見分けることが多いのです。
100年を超えてもいまだに顔が綺麗なのはビスクでできているからです。
ここからはアンティークドールを所有している人やこれから所有しようと思っている方に向けて、査定売却のポイントについてご紹介します。
買取市場における一般的な傾向として、人気ブランドのビスクドールほど需要が高く、買取価格も高くなります。買取市場において特に人気が高く、高価買取も期待できるブランドについて紹介していきます。
目次
19世紀中頃フランス・パリ郊外に設立されたブランドです。
フランスのビスクドールを代表する工房で、ビスクドール全盛期を牽引したブランドの一つと言えます。可憐でやや憂いを含んだ表情はジュモーのビスクドールの大きな特徴となっており、ファッショナブルな衣装も人気の要因となっています。アンティークドールの名作を数多く手がけており、現在でも高く評価され価値がつくものが多いようです。
ジュモー同様19世紀中頃にフランス・パリ郊外に設立されたブランドです。フランス最大級のビスクドール工房の一つとして知られています。繊細で精巧な仕上がりの美しいドールは、多くのファンから支持を集めています。ブリュのビスクドールはアンティーク品として高い評価を得ています。
ゴーチェも19世紀中頃、設立された工房の一つです。ゴーチェの特徴は、人形の重要パーツである頭部の製造技術の高さにあります。その技術力は特許を取得するほどで、ジュモーをはじめとするいくつかのブランドに依頼されていたといいます。やわらかな表情と繊細な造り込みが楽しめるゴーチェのビスクドールは現在でも人気が高く市場では活発に取引されています。
上記3つ以外にもビスクドールの人気ブランドはまだまだあります。市場で人気が高いビスクドールブランドには次のようなものもあります。
・アーモンドマルセル・モリムラ・ケマー&ハルビック・ケストナー・スタイナー・Aアロポ
・エデンぺぺ・ドナミュアなどなどです。
これらのブランドの銘が入ったビスクドールなら、高い評価で買取も期待できるかもしれません。
ビスクドールの買取相場はどうでしょうか。上記でご紹介したブランド製品で保存状態が良いものであれば、相場としては約数万円から数十万円になるものが多そうです。
しかし、ジュモーなどのアンティークドールで特に人気の高い人形であれば500万円前後の買取相場も存在しています。ビクスドールは、比較的高く売れると期待できる品物だといえると思います。ただし、ブランドや制作年代、保存状態の良し悪しなどによって買取価格の幅は広くなってしまいます。
そんな、ビスクドールの査定において必ず確認されるポイントがあります。
以下の3つのポイントをご紹介します。
査定においてまず確認されるポイントの一つがブランド名です。
人気が高いブランドであればあるほど高く買取される可能性も上がります。ブランド名を確認するには後頭部から首筋のあたりにブランドが刻印されています。頭部の他にも腰付近にあるスタンプやシール、靴の刻印などにも手がかりがある場合もあります。
例えばですが、「BRU.JNE R7」と刻印があれば「ブリュの作品で7号サイズ・1891~1899年制作」といったような情報が読み取ることができます。
ドール自体の出来栄えはビスクドールの査定において必ず確認されます。
具体的には、ビスクドールの見どころであるフェイス(顔)、ボディ(体本体)、アイ(瞳)、衣装の出来が詳細に検討されます。
フェイスに関しては、表情の繊細さや美しさなどが重要なポイントになります。
ビスクドールのボディは木製のウッドボディ、子山羊の革に詰め物をしたキッドボッディ、おがくずや膠(にかわ)などを混ぜて作られたコンポジションボディなどさまざまな種類があります。
ビスクドールの買取に影響を与える要素にドールのサイズがあります。
一般的に、サイズが大きいほうが高く買取してもらえるようです。
実際には、ブランド名・制作年代や保存状態などさまざまな諸条件を考慮した上で買取価格が算出されます。そのため、サイズだけで買取価格を予想するのは難しいものがありますが、一つの要素として知っておくと参考になると思います。
上記を踏まえた上で、ビスクドールをより高く売るためのポイントを紹介します。
アンティークドールなどの希少価値の高いビスクドールは、ブランドや作家の銘が入った専用の保管箱に収納されていることが多いようです。
偽物も存在するため、保管箱や保証書などの付属品があることにより、その人形が本物であるという証明になります。
また、ビスクドールコレクターにとっては専用の箱も重要なコレクションのひとつとなります。
保管箱や保証書といった付属品が揃っていることでより高く買取してもらえる可能性が十分にありますので、人形本体と一緒に大切に保管しておくことをお勧めします。
付属品がないからといって「高い値段はつかない」というわけではありませんので、諦めずに査定してもらうようにしてみるといいと思います。
いくら価値が高いからとはいえ、人形本体に破損、カビ、虫食いがあるなど保存状態が悪ければ買取価格は下がってしまいます。
反対に言えば、保存状態がいいものであれば高く査定してもらえるということになります。
ビスクドールは湿気によってカビや虫がついたり、直射日光によって変色してしまう場合があります。ビスクドールの保管場所はできるだけ風通しのいい暗い場所で保管するほうがいいと思います。また、保管するときは傷や破損を防ぐために箱に収めておくことをおすすめします。
偽物も存在するビスクドールにおいて購入履歴は次に購入する人の安心につながります。上記の2つに比べるとそれほど高く評価されるわけでもありませんが、査定時のアピールにはなります。
以上、本記事では、アンティークドールのブランドや作品の特徴、作品の売却についてご紹介しました。
これから集めようと考えている方も手放そうと考えている方も気になる方もアンティークドールを査定・売却したい方はぜひお気軽に弊社にお問い合わせくださいませ。