2024.01.24
古書
2024.01.24
文学全集や美術全集などの全集は、読書好きの方ならコレクションで持っておきたいと思うものですが、いざ手放すことになった時には「この全集って売れるのだろうか」「結構高価な買い物だったんだけど、いくらくらいで売れるのかな」と、悩む人も多いようです。
調べてみると、全集を売ろうと思ったら断られた、というお話もよく聞こえてきます。
この記事では、どういった全集なら売れるのか、逆に扱ってもらえない(もらいにくい)全集はあるのかについてお伝えし、全集をより高く売るコツについても解説していきます。
ぜひご一読ください。
目次
そもそもなぜ全集は買い取ってもらえないのでしょうか。
全集が売りにくい理由をお伝えするとともに、古書店で買取が難しいといわれているものをご紹介します。
全集は絶対売れないわけではなく、値段がつきにくいわけではありません。しかし、そう思われている理由があります。
1990年前後、バブル時代といわれる頃の日本の裕福な家庭のひとつの象徴は「応接間の棚に立派な全集が並んでいる」ことでした。当時、世界一お金持ちといわれていた日本人の欲求を満たすために、多くの出版社が見るからに立派な全集をたくさん出版しました。その全集をセールスマン達がフルコミッションで売り歩き、多くの日本人がそれらの高価な本を購入しました。箱入りのものや革装丁のもの、なかには本の小口を金色にする天金仕様のものなど、高値で売ることを目的に粗製乱造された全集は、バブルが弾けると同時に価値を失い、また家庭の応接間の棚からも排除されるようになっていきました。そして多くの家庭にあった全集がどんどん古書市場に流出し、価値が失われた全集の価値がさらに下がったのです。
このような経緯から「全集は売れない」「値段がつきにくい」と思われている傾向があります。
バブル期に応接間の棚を飾っていた、セールスマン達が売りさばいていたものの代表的な全集が「百科事典」です。特に飛び込み営業のセールスマンが扱っていた、ブリタニカ社の「ブリタニカ国際大百科事典」やダイヤモンド社の「Diamond International Academy(ダイヤモンド・インターナショナル・アカデミー)、平凡社の「世界大百科事典」などは、全集を専門的に扱っている古書店でも買取が難しいものの一覧に挙がっていることが多いです。
古本の買取業者はたくさんありますが、古本を全般的に扱っている業者だと「全集」という扱いというよりは「揃っている古本」として扱われてしまうようです。これではどこに出しても買いたたかれているような印象になってしまうのではないでしょうか。
全集を買い取ってもらうなら、やはり全集を専門的に扱っている古書店で査定をしてもらったほうがよさそうです。
ここでは専門の古書店でも特に「全集」であることに価値があるとみなされるものをご紹介します。
買取しやすい全集としては、個人名がタイトルになっている全集があげられます。たとえば「三島由紀夫全集」「川端康成全集」というような名前の全集のことです。これらの個人全集は買取を断られる事例は少なく、仮にどこかで買取不可といわれたとしても、専門の古書店を丁寧に探していけば、買い取ってくれる業者を見つけることはできそうです。
注意しなければならないこととして、たとえば夏目漱石や太宰治などといった超有名作家の全集は、時として買取不可といわれる場合があります。しかし、最新版や特別な版というのであれば買取可能と判断してもらえることもあるので、絶対無理だと自己判断せず、専門の方に査定してもらうことが大切です。
編集者や出版社が熟考して出版した「シリーズ物」と扱われる全集があります。国語の先生はたいてい持っているといわれる岩波書店の「新日本古典文学大系」をはじめ、大修館書店の「大漢和辞典」、筑摩書房の「日本将棋体系」、講談社の「世界素描体系」、少し変わったところでは戎光祥出版の「ミステリ珍本全集」などがこれにあたります。一部の美術全集などもこれに加えられることがありますが、このようなシリーズ物には一定の需要があり、価値のある全集として扱ってもらえます。
しかしこれらの全集こそ専門性、特異性の高いものになるので、一般的な古書店ではひとくくりに扱われてしまいがちなものともいえるでしょう。
「ちょっと変わった全集だけど、扱ってもらえるのかな」と感じるようなものであれば、絶対に全集専門の古書店に査定に出すべきです。予想もしなかったような価格で取引してもらえる可能性があります。
通常では買取不可扱いとなりそうな「世界文学全集」であったとしても、人気作家の池澤夏樹が編じたものであった場合は買い手がつきやすいので買い取ってもらえる、というようなことがあります。作家が編集している全集には、その作家の価値観や嗜好で作品が取り上げられ、全集になっているものなので、編集した作家のファンが、作家の趣味嗜好を掘り下げたくて買取を希望するなど、単なる「全集」としての価値だけではない付加価値があるものととらえられるのです。全巻そろっていれば、数万から10万円を超える買取価格になる可能性もありますので、よくある文学全集だからきっと売れないと決めつけるには早計ということもありそうです。
売れやすい全集、扱ってもらいにくい全集をご紹介しましたが、そもそもは古書店でもなかなか取り扱いが少ない全集を高く買い取ってもらうコツは何でしょうか。ここでは全集をより高値で取引してもらうためのポイントを6つご紹介します。
どんなに立派な全集であったとしても、年を経るにしたがって価値は下がってしまう傾向が強いです。新版が出版されてしまえば大きく値下がりし、下手したら取り扱いもしてもらえなくなるかもしれません。全集が必要なくなったのならできるだけ早めに査定に出し、納得できる価格であればすぐに手放すのが得策です。
そもそもが古本なので多少の使用感では減額になりませんが、大きな傷みや書き込みがあったり、水濡れによるシミやタバコ臭がついていたりすると減額対象になり、最悪の場合、買取不可能品になってしまうおそれがあります。ほこりは払っていただき、簡単に落ちる汚れは落としたうえで査定に出すのが得策です。本のカバーの汚れなどは、薄めた中性洗剤を霧吹きで吹きかけ、綺麗な布やティッシュで拭き取ると落ちる汚れが多く、このひと手間があるかないかで商品状態の査定ランクが1段上がるかどうかが変わることもあるようです。
全集という、一般的な業者ではあまり取り扱われていないジャンルの古本は、大手の古本屋と全集の取り扱いを得意としている古書店とでは、査定に出した時の金額が大きく変わってきます。全集をできるだけ高価買取してもらいたいと考えるなら、まずは全集専門の古書店に査定を依頼しましょう。
特に文学全集を売る場合は、全集の買取に特化している買取専門店をうまく見つけることができるかどうかで査定金額に大きな差が出ると言っても過言ではありません。複数のお店で相見積もりをとるようにし、納得のいく取引ができるようにしましょう。
文学全集は全巻揃っていないと買取不可扱いになってしまうおそれがあります。全集を手放す折には全巻揃っている状態で査定に出すようにしましょう。当時それぞれの巻に付属でついていた月報などの欠品も減額対象になってしまいますので、失くさないようにしてください。
全集の種類によっては、その本に付属のCDやCD-ROM、別冊付録がついているものがあります。本と付属品を別々に管理していたり、場合によっては付属品だけ捨ててしまったりした場合、査定金額が大きく下がったり、取り扱いできないといわれてしまうことがあります。
付属のCDや付録だけで保管している場合は、必ず全集と一緒にお届けください。付属品のないものは査定できないこともありますし、逆に付属品だけでも取り扱ってもらえない場合がほとんどですので忘れないようにしましょう。
全集を宅配で送る、店頭まで持ち込むといった場合には、本を横置きで梱包するようにして下さい。本と本の間にすき間があいてしまっている時は、新聞紙等の緩衝材ですき間を詰め、本と本が運搬の途中でこすれて傷むことのないようにするといいでしょう。
また、本を縦向きに入れると、背表紙やページ側面が傷んだり、ハードカバー本等だとひどい時にはページが取れてしまったりするおそれがあります。運搬時に大切な本の価値が下がってしまっては誰の得にもなりません。梱包の仕方には特にご注意ください。
この記事では、なぜ全集が古書として買い取ってもらいにくいのか、その理由についてお伝えしました。その中でも特に積極的に買取してもらえる全集と買取不可扱いにされてしまう全集があることを解説するとともに、具体的にどのような全集が買取可能なのか、不可なのかをご紹介させていただきました。高く買い取ってもらうコツとしては、骨董品とは違い、読み終わったら早めに査定に出す方がいいことがご理解いただけたのではないでしょうか。
また、できるだけ付属品含めて全巻揃った状態で、全集を専門的に扱っている業者に査定に出す方が、高価取引してもらえることもお伝えさせていただきました。
もし宅配を利用して査定に出すのであれば、梱包の仕方に気をつけて、配達時に中身に傷がつかないようにしておく必要があることもわかりました。
売却を検討の折には査定から実績のある弊社にお声がけいただければ幸いです。まずはお気軽にお問合せください。皆様にとって価値ある取引となるよう、話し合いを進めてまいります。