2024.01.24
アンティーク家具
2024.01.24
「祖父母が住んでいた家に屏風があったんだけど、これって売れるの?」
「そもそも屏風って現代でも価値があるんだろうか?」
いろいろな骨董品があるのですが、「屏風」というジャンルについては、最近の住宅で使うことすら珍しい品となっているため、そもそもの知識すらないという人が大半なのではないでしょうか。屏風についての詳しい知識がない人も少なくない昨今ですが、ここでは屏風の買取について解説していきます。この記事を読むことで、屏風の種類や価値基準、高く売るためのコツなどが分かるようになります。お持ちの屏風について売りたいとお考えであれば、ぜひこの記事を読んで参考にしていただければと思います。
目次
まず屏風の定義についてお話ししましょう。屏風とは、部屋の仕切りや飾りに使う調度品のことです。木の枠に小さなふすまのようなものが数枚つなげられていて、折りたたんでしまうことができます。元々は、布団の枕元に立てて冷気を防ぐために使うものでした。時代劇などでその様子を見たことがある方もいるのではないでしょうか。そもそもが風よけ道具なので、昔は屏風のことを「枕屏風」と呼んでいたようです。今日では絵画などを描き、美術品として扱われています。
屏風の歴史は古く、風よけの道具という意味であれば、中国の漢時代にはすでに屏風は存在していたようです。その後、魏、晋、南北朝時代を経て、屏風は王族の贅沢な装飾品へと変化していきました。日本で最も古い屏風は、686年に朝鮮半島の新羅より献上されたものだと言われており、現存するものとしては、8世紀に作られた「鳥毛立女屏風」最古のものとして正倉院に保管されています。
平安時代や鎌倉時代にはわずかしか確認されていなかった屏風ですが、室町時代になると水墨画や極彩色の屏風が多く作られるようになり、この頃に今日の屏風絵の形が整い、近世の金碧障屏画へと発展していきます。
屏風は、中世では外国への贈答品として珍重されたようで、遣明船の頃には必ず金屏風三双を送るのが習わしだったと言われています。近世になると安土桃山時代から江戸時代にかけ、贅を尽くした金地の煌びやかな屏風がたくさん作られました。
元々は枕もとの風よけとして使われた屏風ですが、屏風にはその他にも種類があります。いくつかご紹介しましょう。
一般的に屏風とは、部屋の仕切りなどに使われるものですが、風炉先屏風は茶道具の一種です。茶室で茶道具を保護したり引き立てたりする時に使う、普通の屏風よりずっと小さい2つ折りの屏風のことを指します。道具畳の奥、茶道具の後ろになるように設置します。茶室で使用される屏風とも言えるでしょう。
大勝手屏風は、台所付近で仕切りや目隠しとして使われる屏風のことを指しています。特に大きいサイズのものを大勝手屏風と呼び、それより小さいものを勝手屏風と呼びます。お客様が来られた折に台所の様子が見えないように、台所と通路を隔てるために使われていました。また、昔の台所は土間から外へと繋がっている間取りが多かったため、風よけや多少の防寒としての役割も果たしていたようです。
利久屏風は開いた時に5尺角の大きさになる屏風をいいます。関東ではこれを単に5尺二曲屏風と呼ぶようです。1尺角がおよそ30.3センチですから、その5倍の大きさの屏風になります。しかし、実際には5尺に足りない利久屏風もあります。
利久屏風の用途は、玄関で衝立の代わりに目隠しとして、または勝手屏風の代わりとして使うことが挙げられます。大勝手屏風と同様の用途で使われることがあるくらいなので、利久屏風もまた基本的にはシンプルなものとなっています。一方で非常に華やかに仕立てられて利久屏風も存在し、金箔をふんだんに使われた豪華なものもあるようです。
屏風は種類や用いられた技法、手掛けた作家により買取価格が決まっていきます。有名作家の作品が高値になりやすいのは当然ですが、屏風の場合、作者不明の作品であっても種類により高値がつくこともあります。
ベースとなる木材や金属、陶磁器などの素材に模様を彫っていき、そこに金や銀、色の異なる木材などをはめ込んで仕上げた象嵌細工の屏風などは高額査定となる可能性が高いです。また、漆器の技法である蒔絵仕立ての屏風や、朱色の漆を厚く重ね塗りした上に模様を刻む堆朱のような優れた技法を用いて作られた屏風は、高く評価されるでしょう。金箔を惜しみなく使った金屏風岳も金の価値が影響し、査定額は高くなる傾向にあります。
作者の知名度にかかわらず、このような屏風は高く買取してもらえることが期待できます。
図柄としては華やかであったり、縁起の良いものであったりすれば、需要が高く人気があります。虎や龍、唐獅子、風神・雷神などが描かれたものは縁起ものとみなされ高額査定となる可能性があります。
屏風の場合、シンプルな絵柄のものは高い査定にならない傾向が見られます。もちろん一概に言えることではなく、例外もあります。作家ものや金箔が使われた細工物の屏風は、シンプルであっても高値がつきやすいでしょう。
屏風はさまざまな作家が数々の作品を生み出しており、ものによって買取額は大きく変わります。もし手元にある屏風が以下に挙げた作家の作品にあたると、高価買取を期待できます。特徴をチェックし、手元にある屏風と照らし合わせましょう。
棟方志功は本州最北 青森県に生まれた版画の世界的な巨匠です。国内外で知名度が高く、彼の作品は本物であればどれも高値となるでしょう。棟方志功の屏風仕立ての版画作品には、東北経鬼門譜や二菩薩釈迦十大弟子、御檜図などがあります。
明治から昭和という長い期間に渡り活躍を続けてきた横山大観。その功績が讃えられ、文化勲章などさまざまな賞を受賞しています。
朦朧体というそれまでの日本画とは違う技法を研究し、独特の空気感や光を表現した横山大観。その作風は、伝統的な日本画と洋画の要素が混在しているのが特徴です。
江戸時代に活躍した絵師の円山応挙は、円山派の始祖であり足のない幽霊で有名です。一説によると、足がない幽霊を描きはじめたのは彼が最初と言われています。写生を重視した彼の作品は、その親しみやすさから多くの人々に好まれました。
有名な屏風仕立ての作品には、藤花図や雨竹風竹図屏風、富士三保図屏風などがあります。
長沢芦雪は江戸時代に活躍した絵師であり、円山応挙の弟子でもあります。しかし、弟子でありながら、その作風は異なり独創的でユニークや作品を多数生み出しています。
屏風仕立ての作品も多く「岩上猿・唐子遊図」「楓鹿図屏風」「群猿図屏風」「犬図屏風」などが主要作品として挙げられます。以上からもわかるように、動物をテーマとした屏風図が多く人気です。彼の作品は近年評価が上がっているとも言われており、買取額にも期待が持てるでしょう。
竹久夢二は、抒情的な作風で多くのファンから愛されている大正ロマンを代表する画家です。日本画の技法で描かれた美人画を多く残していることでも知られ、夢二式美人と呼ばれることもあります。竹久夢二は、「大正の浮世絵師」といった名前で呼ばれることもあり、その作品は東京都文京区の竹久夢二美術館や出身地である岡山県の夢二郷土美術館でも観ることができます。現代でも竹久夢二の画集や童話は高い人気を誇ります。
美術品でもある屏風を高く売るにはコツがあります。基本となるものをご紹介します。
屏風は新品であれば良いということではありません。古い屏風には骨董品としての価値がつきます。倉庫や物置にしまいこんだままにして手入れを怠るようなことがないようにしましょう。他の骨董品でも同様なことが言えるのですが、特に屏風の場合は木や紙でできている部分が多いだけに状態が簡単に悪くなりやすいと言えます。使わない屏風や美術品として保管する屏風は、日頃から定期的に手入れを行いましょう。年に数回、晴れた日に倉庫や物置から屏風を出して陰干しします。屏風を乾燥させることでカビやシミの発生を抑制し、価値が下がるのを防ぎます。カビやシミを見つけても自分で修繕すると価値を大きく下げやすいため、そのままにして早めに売りましょう。
購入時に屏風の入っていた箱は、セットにして査定に出しましょう。本物の落款が入った屏風の箱があると、買取価格アップの可能性があります。ただし人気作家の作品ほど偽物が出回っており、箱の落款が偽物の場合もあります。屏風も扱う買取専門店にはプロの鑑定士が在籍するため、屏風と落款入りの箱を一緒に売りに出し、査定してもらいましょう。
鑑定書は屏風が本物であると証明するものです。忘れずに屏風に添えて査定に出しましょう。人気作品であれば本物は高価取引の対象となります。箱の落款と同じく鑑定書も偽物が出回っていますが、買取専門店の査定であれば真贋がわかります。手元に鑑定書がある場合は屏風と共に査定してもらいましょう。
屏風は風通しが良く湿気の少ない場所で保管すると、良い状態を保ちやすくなります。湿気はカビや汚れの原因になるため、できれば桐箱に入れて保管しましょう。難しい場合は丈夫なダンボール箱へ入れて収納します。また、桐箱など重さのある箱へ収納した場合、倒れてしまう恐れがあります。安定して保管できる風通しの良い場所を選びましょう。
この記事では屏風の種類や価値基準、高く売るためのコツなどについて解説しました。屏風の価値を確かに評価し、より高く買い取ってもらうために、まずはプロの鑑定士が在籍する買取専門店で査定してもらいましょう。専門店では屏風の真贋や正しい価値に基づいて買取価格を査定してくれます。大切な屏風が納得できる価格で取引できることを心より祈っております。