2024.11.22
作家名
2024.11.22
アンフォルメル画家「今井俊満」をご存じでしょうか?
日本を代表するアンフォルメル画家の一人で、日本とパリを拠点に活動していた人物です。戦後の日本美術界に「一大アンフォルメル旋風」を巻き起こした人物で、1950年から1998年までの間に、数多くの賞を受賞しています。
また、晩年まで旺盛な制作活動を続け、時代のサブカルチャーとも盛んに接触しながら、当時では見られないテーマを落とし込み、絵に表現する画家です。
そんな彼が作った作品を買いたい。
持っているが、どうすれば適正な買取りをしてくれる所を見つけられるか不安。
本当にこの価格でいいのかと、考える人は多いはずです。
本記事では、「今井俊満」の経歴や適正な買取りなどをしてくれるところを紹介します。
目次
買取り方法について、説明する前に、アンフォルメル画家の「今井俊満」をどの程度ご存じでしょうか?
彼がどんなことをして、世界でも有名なアンフォルメル画家になったのか、その経歴について説明していきます。
今井俊満は、1928年(昭和3)5月6日に京都府京都市で生まれ、大阪市の船場安土町で過ごしていたようです。
小学校を卒業後、上京し「旧制武蔵高等学校尋常科」、今の中学校に該当する学校の一つに入学して、在学時から本格的に絵を描き始めます。
在学中は、画家の「荻太郎」、洋画家の「梅原龍三郎」と「安井曾太郎」から師事を受けており、1948年(昭和23)10月に第12回新制作派協会展にて、「道」を作成し入賞。
このことから、今井俊満の才能が表舞台に現れ、画家の世界へ進んでいきました。
1951年(昭和26年)の第15回新制作展では「真夜中の結婚」で入選、新作家賞を受けますが、その後も貪欲に学ぶため大学だけでなく、文学や歴史を学び、絵を昇華させるべく、当時高かった海外留学を私費で行い、「ソルボンヌ大学文学部」に留学。
留学先では、「サム・フランシス」や「ミシェル・タピエ」の出会いを通して、「アンフォルメル」という芸術運動に出会い、その自由な表現スタイルと抽象的なアプローチに魅了され、後年まで残るアンフォルメル画家になるきっかけを受けます。
「サム・フランシス」や「ミシェル・タピエ」と共に、アンフォルメル運動に参加し、1956年(昭和31年)に開催された「世界・今日の美術展」では、アンフォルメル作品を出品し、日本に「一大アンフォルメル旋風」を巻き起こす人物の一人となりました。
「主として1950年代に前衛芸術の一動向となった叙情的、表現主義的傾向の抽象芸術およびその運動をさす。」
参照元:アンフォルメル(あんふぉるめる)とは? 意味や使い方 – コトバンク
アンフォルメルとは、1950年代から台頭していった抽象的かつ自由な表現で描かれた作品のことを差します。
アンフォルメル運動により、アンフォルメル作品が世界中に広がるきっかけとなります。
その中心となっていた人物に、今井俊満は勿論、上記で記載した「サム・フランシス」や「ミシェル・タピエ」、日本人で有名な彫刻家の「勅使河原宏」や、洋画家「堂本尚郎」などがアンフォルメル運動に参加し、日本に「アンフォルメル旋風」を巻き起こしました。
この出来事が無ければ、日本の美術界は世界へ置いて行かれていたので、彼らの活躍によって日本の美術界は世界へ遅れずに済んだと言っても過言ではありません。
「現代日本美術展優秀賞受賞」「紺綬褒章受章」「フランスの芸術文化勲章オフィシエ受章」などなどの賞を受賞しましたが、1992年(平成4年)に、急性骨髄性白血病を発症するものの、「レジオン・ド・ヌール勲章シュバリエ受章」「フランス芸術文化勲章コマンドール受章」「文部大臣表彰」に受賞されるなど、より精力的な創作活動を続け、日本の美術界を引っ張っていきます。
その頃から「ヒロシマ」シリーズと言った戦禍を描いた作品や、日本の若者の風俗をテーマにした作品を数多く手掛けるようになり、作風を大きく変えた作品を多く作るようになった様子です。
中でも晩年に近づき、日本で流行していた「コギャル文化」と呼ばれるものに目を向け、今までと違った人物画も手掛けるようになりました。
当時の女子生徒をモチーフにした作品「コギャル」は、記憶に新しいのではないでしょうか?
2000年(平成12年)に末期がんで余命数ヶ月と告知される中、同年12月に行われた東京・銀座のギャラリーGANで「サヨナラ展」を開催し、身を削るような美術に対する思いの強さがわかると言えます。
しかし、約二年後である2002年(平成14年)3月3日に惜しくも亡くなってしまいました。
今井俊満が手掛けた作品は、今でも後進の若手アーティストに多く影響を与えています。
彼の死後も若手の画家やアーティストにその技術や発展に貢献し、現在でもアンフォルメル運動の継承と発展を行っている人物と言えるでしょう。
次にそんな彼が手掛けた作品を、適切な買取りをするところを紹介いたします。
参照元:晩秋
1956~ 57年(昭和31~32年)に今井俊満が手掛けた作品「晩秋」は、彼がアンフォルメル画家として、最初期に作られた作品です。
作者が、心情風景を形にしたアンフォルメルを利用した作品の一つで、同年に作成された「早春」と比べられることが多いです。
激しいタッチから、今井俊満の激情や生命力を感じさせながらも、暗い背景に配置にある赤、黄色、白と言った色彩から感じられる晩秋の静けさが同居した不思議な魅力を持つ絵と言えます。
油彩・カンヴァスを195×114cmで作られた絵は、当時の絵の根底を覆した作品の一つと言えるでしょう。
また、この作品制作の背景には、作成開始の同年に父の死の知らせを受けた作者である今井俊満の心情から作られたと噂があります。
「紅葉賀」
「桜図」
「秋草図」
「風立ちぬ」
「武蔵野」
参照元:今井俊満「花鳥風月」
1983年(昭和58年)頃から、金銀を華やかに表現しているシリーズ作品「花鳥風月」。
伝統絵画を引用した装飾性を使う今までと違った作画方法は、「琳派」の流れをくむ画面構成です。
今井俊満の作品は勿論、当時の日本の絵画とも異なった作品と言えるでしょう。
作者は、「伝統的で古典的な”花鳥風月”を再生したのではなく、そういった伝統芸術の全体に回帰したのだ」と語っており、事実今まで日本人が描いた洋画は、西洋の画家たちの模倣であって日本人らしい洋画を描けていませんでした。
しかし、「花鳥風月」シリーズを通して、ついに洋画を日本独自の美術へと昇華したと言えます。
それに続き、後続に描かれた画家たちの作品にも強く影響を受け、日本独自の洋画が作られていったと言えます。
「コギャル」
参照元:「コギャル」
今井俊満が、晩年に近づき日本で流行していた「コギャル文化」をモチーフに描かれた作品、「コギャル」です。
今までの作風を大きく変え、人物画を多く手掛け始めた際に作られました。
一方で、買取の値段は「花鳥風月」などよりも低く設定されるため、一番手が出しやすく、売却する際はあまり高く買い取ってもらえない作品です。
その他作品
参照元:今井俊満の油絵
今井俊満の作品の中で、一番記憶に残る鑑定結果が表に出ていた作品ではないでしょうか?
2018年8月14日に「なんでも鑑定団」に鑑定された作品で、題名は「今井俊満の油絵」とそのままで本当の題名がわからない作品の一つです。
同時に、鑑定結果がテレビで出た珍しい作品になります。
鑑定士の総評として、フランスと日本を往復し、精力的に活動していた時期である1967年に作られた作品で「絵筆を一切使わず、直接絵具を投げつけたり、たらし込んだり、手で塗りつけながら盛り上げてコントラストをつけたりして、今井らしい迫力ある作品。」と鑑定士は評価していました。
人によって見方が異なり、向かってくる印象を覚える人や、吸い込まれるという感覚を覚える人など様々な表情を持っている作品です。
鑑定結果が、本人評価額の十倍である20,000,000円とかなりの高額な結果でした。
まず大前提として、買取るなら安く、売却するなら高い方が良いと考える人が多いですが、特に美術品は、買取・売却共に適正価格で行うべきです。
しかし、その適性価格での売買が上手くいかないことが多々ありますよね?
例として、買取だけのお店である「株式会社 千報」で販売されている「花鳥風月」シリーズは、最低値で、「秋草図」「風立ちぬ」の単品で165,000円、最大値では、「紅葉賀」「桜図」の単品で209,000円です。
上記の値段が適性価格だと考え、もし自分が売却するなら値段はどれくらい変わるのか?
実際に上記の値段が市場で適正な値段と言えるのかなんて、素人にはわかりません。
そこで、正しく買取・売却だけでなく、査定だけも行えるところに見てもらいましょう。
作品の査定を行う前もそうですが、いつもこまめに乾拭きの布を使ってホコリやゴミを落として置くべきです。
理由としては、その作業をおろそかにするとオンライン査定用の写真を撮って、査定してもらう鑑定士にくすんだ印象を与えてしまい、値段を下げるおそれがあるからです。
また、ホコリなどで作品が傷む可能性もあります。
価値のあるものほど、できるだけ良いコンディションを整えておきましょう。
本記事では、今井俊満の経歴や適正な買取りなどを説明してきました。
今井俊満の作品の多くが、今の美術界や他のアーティストたちからも絶大な人気と影響を受けています。
また、今後も後進のアーティストたちに影響を与える人物として語られるでしょう。
そんな彼の作品を適性価格で買取り、売却・査定することは、後世に残るであろう今井俊満への礼儀として必要なことではないでしょうか?
よく知らずに作品を持っていたが手放そうと考えている方や、興味を持ち集めようと考える方も、本記事が少しでも参考になれたらと存じます。