2024.10.23
茶道具
2024.10.23
茶道では楽茶碗(楽焼)を楽しむことも多いでしょう。中には「楽茶碗をたくさん持っていて、少し買い取ってもらいたい」「蔵に眠っている楽茶碗がいろいろある」という人がいます。
しかし、いざ売るとなるとどこに買い取ってもらえばいいのかわからなかったり、どの位で買い取ってもらえるのかが心配だったりすることがあります。
楽茶碗(楽焼)の特徴や魅力と売却したい時の買取価格や業者選びについて紹介しますので、参考にしてください。
目次
「楽茶碗」とは何かですが、茶道具や炭道具などで使われる器です。「炭道具」とは、茶道で亭主が客の前で炉や風炉に炭を組み入れる際の「炭点前」に用いる道具一式のことを言います。茶道具、炭道具には次のようなものがあります。
・茶道具・・・・・・茶碗、茶器、水指、花入、香合、蓋置、建水
・炭道具・・・・・・灰器、火入、香炉など
茶道で用いられる、抹茶を入れる楽茶碗には、作り方の特徴があります。轆轤を使わずに、手とヘラだけで「手づくね」で作られることが大きな特徴です。
また、750度~1200度の低火度で焼き、焼き締めせずに焼いた軟質施釉陶器となります。そのため、焼き上がりに柔らかな雰囲気があるのも特徴です。
楽茶碗には、主に次のようなものがあります。
・楽焼
楽茶碗を生み出した「樂(田中)家」の歴代当主が造った作品や同じような手法で作った陶磁器のことを言います。
楽焼の一種には次のような茶碗があります。
・弥兵衛焼(楽焼の一種、のちに玉水焼となる)
・大樋焼(金沢の楽焼の一種)
楽茶碗の歴史と特徴、そして魅力について紹介しますので、参考にしてください。楽茶碗は、千利休が造ったと言われていますので、その歴史についても知っておくといいでしょう。
楽茶碗は、京都の「樂家」によって、抹茶を飲むために造られた手づくねの茶碗です。茶の湯専用、抹茶専用の茶碗は樂茶碗以前にはありませんでしたので、千利休(1522~1591)が茶の湯で使うために専門に造らせた茶碗が「楽茶碗」です。
利休は狭い茶室を「洞窟」とし、楽茶碗(楽焼)の茶碗は「泥」とたとえて、人の手や技巧があまり加わらない「茶道」を考えて作ったと言われています。
楽茶碗は、轆轤を使わず手づくねのため、ゆがみや厚みがあるのが特徴で、そこに風情や日本のわびさびを感じるものです。
そして、専門の職人に命じて楽茶碗だけでなく、千利休は茶の湯用の茶道具をいろいろ生み出していき、それが今に伝わる茶道具となっています。
楽茶碗の歴史をたどった場合、千利休の意を受けて造り始めた初代「長次郎」から、「樂家」は400年に渡って楽茶碗を造る専門の職人となっています。現在まで、伝統を守る歴代の楽茶碗の家元がいますので紹介します。
・「初代 長次郎」(戦国~安土桃山時代)
・「2代 常慶」(戦国~江戸初期)
・「3代 道入」(江戸時代)
・「4代 一入」(江戸時代)
・「5代 宗入」(江戸時代)
・「6代 左入」(江戸時代)
・「7代 長入」(江戸時代)
・「8代 得入」(江戸時代)
・「9代 了入」(江戸時代)
・「10代 旦入」(江戸時代)
・「11代 慶入」(江戸後期〜明治初期)
・「12代 弘入」(江戸後期〜明治初期)
・「13代 惺入」(明治~昭和)
・「14代 覚入」(大正~昭和)
・「15代 直入」(昭和~)
・「16代 吉左衛門」(昭和~)
初代の長次郎の楽茶碗には「赤楽」「黒楽」の2種類があります。
それより前の時代にも、黒い茶碗はあったのですが、天目の茶碗のため、マットな感じの黒い楽茶碗が造られたのはこの頃が初めてです。「黒楽」は、千利休が抹茶の緑色がきれいに鮮明に見えるように造らせたとも言われている茶碗です。
「黒樂」の作り方としては、加茂川黒石から作られた釉薬をかけて1000度程度で焼いたものです。釉薬が溶けたところで窯から出して急冷すると黒く仕上がるのが特徴となっています。
また、もう一つの「赤楽」は、透明の釉薬をかけて800度と低めの温度で焼き上げます。赤色ではありませんが、赤みがかったような色に焼けるのが特徴です。この「赤楽」の技法の方が「黒楽」よりも早くできた技法となっています。
また、「黒楽」「赤楽」は、国の重要文化財となっていて、とても評価が高いものがあります。
・楽焼黒茶碗〈大黒〉(重要文化財)
・楽焼黒茶碗〈東陽坊〉(重要文化財)
・赤楽茶碗〈無一物〉(重要文化財 頴川美術館蔵)
そして、楽茶碗の形としては、ふっくらと丸い腰から口縁に向かって手づくねでまっすぐ立ち上げ口縁が内にわずかにすぼまるタイプと、腰を張ったように造られているタイプが特徴的な形です。
初代の作品などが国宝・重要文化財に指定されています。どんな作品なのかを詳しく知っておくのもいいでしょう。初代の作品は、当時多く造られていたと言われていたため、現在も残っているのが多くあります。
例えば、国宝・重要文化財に指定されている「黒楽茶碗(俊寛)〈長次郎作〉」は、安土・桃山時代に作られたものです。
手づくねで造られているため、腰が張ったように造られた、少し低い形の軟質陶胎半筒形の茶碗です。わずかに真ん中が絞った感じに造られていて、高台脇にかけて面取りをしたような造りになっています。
艶のない黒釉の魅力がしっとりした雰囲気の楽茶碗となっていて魅力があります。黒釉ですが、柔らかみのがある味わい深い楽茶碗です。現在、東京日本橋室町の「三井記念美術館」に所蔵されている貴重な茶碗です。
そのほか、同じく安土桃山時代の「赤楽茶碗(太郎坊)〈長次郎作〉」「黒楽茶碗(ムキ栗)〈長次郎作〉」や江戸時代に造られた「黒楽茶碗(時雨) 光悦作」「黒楽茶碗(青山)〈道入作〉」「赤楽茶碗(鵺)〈道入作〉」も国宝・重要文化財となっていて、どれも価値が高いものです。
楽茶碗(楽焼)の買取価格は次のような相場となっていますので、参考にしてください。江戸時代などの古い楽茶碗は高額買取となるものが多く、昭和の楽茶碗はそれと比べるとそれほど高くない傾向です。
・「楽得入、黒茶碗」 90万円
・「楽了入、旦入黒茶碗・赤茶碗」 60万円
・「楽了入、検校写赤茶碗」 58万円
・「楽吉佐衛門 赤茶碗」 36万円
・「楽吉佐衛門 黒楽茶碗」 33万円
・「楽旦入、黒玉之絵茶碗」 28万円
・「中村道年 数印黒茶碗」 15万円
楽茶碗を高額で買い取ってもらう業者を選びたい場合は、楽茶碗の買取実績のある業者に依頼するのがおすすめです。骨董品店も古い器を多く扱っていておすすめです。
買取取扱品目の中の「陶磁器」の中に「楽焼買取」がある場合や「茶道具買取」がある場合などがありますので、買取実績を見てみるといいでしょう。
次に高く楽茶碗を売却するポイントについても紹介します。共箱を揃えることや鑑定士、査定士がいる所に依頼することが大切なポイントです。
楽茶碗を高く売却するには、共箱の存在が大切です。共箱もきちんと揃えて買取依頼することがおすすめです。
木製の共箱には、作家の名前や作品の名称や種類などが書かれています。
また、この共箱という文化は日本独特のもののようです。日本で売買する際には共箱が重要ですが、西洋絵画などをオークションで売る場合などはあまり共箱は関係ありません。
日本の古いもの、歴史のあるもの、特に古い茶道具などを売却する際には、有名な茶人、大名、宗匠などの箱書き付ならば高額買取が期待できます。その当時の箱があれば、価値や評価が上がりますので、大切に保管しておいてください。器や茶道具のこれまでの伝来を示すものとして、大きく価格に影響してきますので、大事にしておくことが大切です。
ただ、共箱があっても、素人がみると達筆のため名前や書付などが読めなくて、誰の作品かよくわからないこともあります。知識がない人や経験がない人が見ると価値がわからないことが多いでしょう。
鑑定士や査定士がいる買取専門業者に依頼して、きちんと査定してもらうのがいい方法です。
最後に、楽茶碗を高額に買い取ってもらうための方法をまとめますと、次のようなポイントが挙げられます。
・共箱をきちんと揃えておくこと
・器にも詳しく、楽茶碗の茶道具にも詳しい鑑定士・査定士がいるところに査定を依頼すること
これらのポイントを大事に売却することで、高額買取も期待できるでしょう。買取業者選びからいろいろ考えて行うようにしてください。最近では、出張買取や宅配買取もありますので、例え遠方の業者であっても、高額で買い取ってくれるような専門知識のある業者に依頼する方がおすすめです。
ホームページなどからチェックして、実績や買取方法などを確認することが可能ですので、いろいろ探してみるといいでしょう。
楽茶碗が買取可能かどうかについて紹介しました。茶道具としての楽茶碗の魅力や高額買取可能な楽茶碗についてよく知っておくことが大切です。
楽茶碗は江戸時代のものなどは高く売れる可能性が多くなります。骨董品や美術品、工芸品として高く売れる可能性があるでしょう。
また、共箱があれば、高く売れ、陶磁器や茶道具の買取実績がある専門業者や骨董品店などを選ぶことで高く売れるようになっておすすめです。
専門業者でないと、楽茶碗の特徴や価値に気づかずに高く売れないことも多いため、例え遠くても実績のある業者に依頼するのがいい方法です。
買取依頼、買取業者選びに悩んでいる場合には、実績のある弊社にお気軽にお問い合わせ下さい。弊社に依頼して頂くと高額買取が可能となりますので、他の業者で納得いただけなかった場合にもご検討頂ければと思います。