2024.01.24
刀剣
2024.01.24
骨董品、美術品の中で一番取り扱いに悩むものが刀ではないでしょうか。
そもそも刀剣は現代社会で日常的に目にするものではありません。銃砲刀剣類所持等取締法によって、正当な手続きをした人でなければ所有することもできないものとなっているものです。
この記事では、所有している刀を売るときに確認するべきポイント、どのようなところでなら刀を売ることができるのかについてお伝えします。また、刀を高く売るコツについてもお伝えします。
是非ご一読ください。
目次
所有されている刀を手放すことを検討するときに、確認しなければならないポイントが3つあります。刀はきちんとした手続きを踏まないと売ることもできませんし、そもそも所有していることでさえ違法行為となってしまう品物です。売ることができる刀なのかどうか、ご自身でちゃんとチェックしてみましょう。
まずは「銃砲刀剣類登録証」の有無を確認してください。銃砲刀剣類登録証は、美術品として価値がある刀剣を所持するために必要な書類です。銃砲刀剣類所持等取締法によって、登録証と日本刀は一緒に保管することが義務付けられています。
登録証がある場合、相続などで日本刀を譲り受けたら、相続を受けた日から20日以内に「所有者変更手続」を必ず行いましょう。
この登録証がない刀剣は日本刀とは認められないので、売却することができません。そもそも、銃砲刀剣類登録証を備え付けずに日本刀を所持するのは銃刀法違反となります。すみやかに最寄りの警察署の生活安全課に連絡をして、指示を仰いでください。
その後、教育委員会の登録審査会により、美術品として適しているかどうかを審査され、登録が可能と認められれば登録証が交付されます。
代々受け継がれてきたり、譲り受けたりした刀の場合は、この登録証がないケースも考えられます。このような場合には再交付や新規発行手続きを行って、登録証を取得してください。
模造刀とはその名のとおり、日本刀を模して作られた刀です。姿かたちは似ていても、価値は本物とは大きな差があります。中には刀身が切れないように造られているものや、柄がプラスチックでできているものもあります。
模造刀は日本刀ではないので、買い取れないという業者も少なくありません。「日本刀」としてではなく「インテリア」として買取ってくれるケースもあるのですが、日本刀の買取価格と比べると格段に安価です。
ただし、専門の職人が制作を行っている居合道などに用いられる高品質な模造刀は、一部のお店でしか手に入らないため、希少価値を認めてもらえることがあります。その他、織田信長や豊臣秀吉、沖田総司などが愛用していた刀に似せて作られた模造刀や、歴史ドラマや映画にちなんで限定発売された模造刀などは、プレミア商品としての価値がプラスされることもあるので、入手経路などを確認しておくのもいいでしょう。
登録証とともに、鑑定書の有無もチェックしましょう。国内でも信頼性が高い「公益財団法人日本美術刀剣保存協会」が発行した鑑定書があれば、刀剣の価値の裏付けができます。これには刀剣のランクも記載されるため、売却の際の参考にすることが可能です。刀剣のランクは、価値の高い順に4段階に分けられます。ランクが高ければ高いほど、好条件での買取が期待できます。特に重要文化財級の日本刀は驚くほどの高価売却が期待できます。
また、日本刀は作者や流派により細かく分類され、価値が大きく異なります。特に知られている刀工としては「吉光」「正宗」「義弘」が挙げられます。この3人の刀工と彼らによって作られた刀は「天下三作」と呼ばれ、世に名高い刀が記録されている享保名物帳では別格として扱われていました。また、刀のできは、切れ味の良さや刀工の格付けで評価されます。切れ味の評価は「業物(わざもの)」と呼ばれ、切れ味の高い順に4段階に分けられます。また刀工の格付けは「位列(いれつ)」と呼ばれ、評価の高い順に5段階に分けられます。ほかにも刀の出来栄えを評価する基準はありますが、これらに該当している場合は高い評価がつけられ、査定価格も高くなります。
骨董品と比べて売却の準備段階から手続きが必要な刀ですが、実際に売却するにはどこで買い取ってもらえるのでしょうか。刀がどこで売れるのかについてお伝えします。
刀剣を美術品のひとつとして専門に取り扱っているお店であれば、好条件での買取が期待できます。刀を持ち込んで査定してもらった上で売却します。専門店であれば日本刀に関する深い知識をもつ鑑定士がいるので、所有されている刀の価値を正確に判断して査定してくれるでしょう。
しかし、どうしても刀剣はマニアックな分野の美術品なので、近くに専門店があるとは限りません。また、そのお店が買取に対応できるとも限りません。まずは、近くの刀剣専門店を調べ、買取に対応しているかどうかを確認しましょう。
一番確実なのは刀剣買取だけを専門に行っている業者です。日本刀の取引に精通しているので、刀そのものの価値や市況、買取相場など、さまざまな要因を考慮した上で正確に査定して買取価格を決めてくれます。所有されている刀に価値があると認められれば、高価売却も期待できるでしょう。
骨董品買取業者や遺品整理業者も日本刀を買い取ってくれます。しかし、ネットオークションと同様、相手が日本刀のプロでない可能性が高く、価値に見合った価格で買い取ってもらえないケースも考えられます。刀そのものの価値をきちんと査定せず「刀は一律でこの値段」などと、安い値段をつけられるケースもあるようです。
近年、個人間で物を売買できるネットオークションも普及しています。もちろん、刀もネットオークションで取引することが可能です。お店に持ち込むことなく、自宅で手軽に取引ができるのがメリットと言えます。しかし、相手が刀についての専門知識を持っているとは限らないため、刀剣専門店と比較すると、正しく刀の価値が査定されたうえでの買取額が提示されているかは非常に疑わしいものがあります。画像の撮り方や説明がわかりにくいと、刀の価値に見合わない、安い価格で売却せざるを得なくなるというケースも考えられます。
それに加えて、ネットオークションでは対個人で、顔が見えない取引となるため、トラブルが発生する危険性も少なからずあることを忘れずに検討する必要があります。
代々受け継がれてきた刀や、思い入れのある刀なら、手放すにしてもできるだけ高く売りたいと思うものです。刀を高く売るコツについて、ここでは3つのポイントにわけてお伝えします。
日本刀の刀身は鉄でできているため、手入れをせずに放置しておくとどんどん錆びてしまいます。「思い立ったが吉日」ではありませんが、錆びる前になるべく早く売却されることをおすすめします。
日本刀には定期的なお手入れが欠かせません。きちんとお手入れをしないと、刀身が錆びてしまうのです。まずは保管方法に気をつけ、刀を横にした状態で保管します。刀を立てかけておくと、刃についている油分が下に流れて溜まってしまいます。刀身についている油を切らさないようにしましょう。刀身に塗る油としては丁子油(ちょうじゆ・ちょうじあぶら)などがあります。古い油を拭き取り、新しい油を塗ることで錆びを防ぐことが可能です。春と秋の年2回程度はお手入れをしましょう。また、刀身は拵(こしらえ)ではなく、白鞘(しらさや)に入れて保管しましょう。拵は表面に漆が塗ってあるので気密性が高く、刀身が錆びやすくなります。刀身が錆びてしまうと価値がなくなってしまい、修復するのにも莫大な費用がかかる可能性があります。万が一、刀身が錆びてしまったら必ず研師(とぎし)に相談し、状態を良く見てもらったうえで、錆びとりをお願いしましょう。日本刀は形だけでなく、刃の表面にある紋様も重要視されます。素人が錆びとりや研磨をしてしまうと紋様がなくなり、価値が大きく落ちてしまいますのでご注意ください。
付属品が揃っていれば高価買取も期待できます。付属品もチェックして、もしあれば刀といっしょに売却しましょう。付属品である刀剣の折紙は、昔の鑑定書にあたります。その他の付属品としては、箱や拵(こしらえ)と呼ばれる外装部分で、鞘(さや)、柄(つか)、鍔(つば)などが挙げられます。また、三所物(みところもの)と呼ばれる小柄(こづか)、笄(こうがい)、目貫(めぬき)が、同一の意匠でそろっていると評価が高くなります。
拵は本来は実用的なものですが、一方で装飾面でも美しく華やかであることが求められていたものでもあります。戦国時代に入る頃には、装飾品、つまりお洒落なアクセサリーとしても扱われるようになった刀は江戸時代以降、さらに装飾品としての価値を高めていきます。次第に豪華で華美なものへと変化していった結果、拵の価値は高まり、装飾に欠かすことのできないものとなっていったのです。付属品にも価値があると評価されるのもよくわかります。
もちろん、骨董品買取業者や遺品整理業者、あるいはネットオークションで刀を売ることは可能ですが、相手が専門家でない場合はどうしても刀の価値を正確に判断できず、安値でしか買い取ってもらえないケースも考えられます。価値に見合った価格で刀を売却したいのであれば、専門家に依頼することをおすすめします。
この記事では刀を売るために準備段階で必要なポイントをお伝えしました。登録証、鑑定書、付属品の有無が刀を売るための準備として必要なのですが、特に登録証は刀の所持と売却には絶対必要ということがおわかりいただけたのではないかと思います。刀に魅力を感じ、大切にされているのであれば、刀の査定に実績のある弊社にお声がけいただければ幸いです。まずはお気軽にお問合せください。皆様にとって価値ある取引となるよう、話し合いを進めてまいります。