2023.12.04

九谷焼の値段は高い?鑑定で驚きの結果に!

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焼き物

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加賀百万石のお膝元で育った陶磁器である「九谷焼」。

華やかな絵柄と特徴ある彩色はいつの世も人の心を惹きつけるものがあります。

すでに九谷焼を所有している方は「この器はどのくらいの価値があるのだろう」と思うこともあるかもしれません。

また、これから九谷焼を手に入れたいと考えている方は「そもそも九谷焼っていくらくらいするのかな」と思われるかもしれません。

九谷焼の価値をお伝えするとともに、その魅力と価値の理由をお伝えします。

九谷焼の値段

華やかで美しい九谷焼ですが、そもそも九谷焼のお値段って高いのでしょうか。

なぜそんなに高額になるのでしょうか。

九谷焼の特色とともに、九谷焼のお値段についてお伝えします。

①          九谷焼の値段は高い

九谷焼の値段は、作成時期や作家によって変わります。

特に新しいものより古いもののほうに高い評価がなされ、骨董コレクターからも人気が集まっています。

江戸時代前期に作られた古九谷は、希少価値もあり、美術的・歴史的価値から最も高価であるといえるでしょう。

もうひとつのポイントになるのが作家です。

歴史的に名を残す名工はもちろんですが、現代でも人間国宝や人気作家の作品の多くが高価格で取引されています。作家もので状態の良いものの例としては、初代徳田八十吉作品では20万〜50万円前後の買取価格となった例もあるようです。

②          なぜ九谷焼は高いのか

豪華絢爛な絵柄と彩色で有名な九谷焼。

国内外を問わず、また時代を越えてもなお、不動の人気を誇っている九谷焼の価格は比較的高価です。

理由のひとつが、ひとつの器が出来上がるまでにかかる手間、工程の多さです。

九谷焼の工程では、素焼きの後に「下絵付け」という工程があります。

「呉須(ごす)」と呼ばれる顔料で絵(線)を描き「施釉」・「本焼き」という工程を経てようやく「上絵付け」と呼ばれる工程に移ります。

ほとんどの九谷焼がこの工程でつくられているわけですから、ひとつひとつの器に膨大な時間と手間がかけられているということが分かります。

もうひとつの理由が、窯元によって個性が全く違うという九谷焼の特徴にあります。

赤を全く使わない「青九谷」が特徴の吉田屋風、赤色の細い線で描いた図中に随所に金彩を施した「赤九谷」が有名な飯田屋風など、それぞれの特徴を生かした器がつくられています。

赤色の素地に人物を描いた木米風(もくべいふう)、西洋文化を取り入れた作風の庄三風(しょうざふう)などもあり、そのひとつひとつが魅力的です。

作風、技法ともに個性豊かな九谷焼は、時代を問わず不動の人気があります。

高価であったとしてもおかしくはない、日本が誇る伝統的な焼き物なのです。

九谷焼にはどんなものがあるの?

ひとくちに「九谷焼」といっても、多くの作風、技法があります。どのようなものがあるのか、その特色をふくめてご紹介します。

①          九谷焼の特色

九谷焼は豪快で闊達な線描きの上に多くの色絵具で描かれる、まるで絵画のような絵柄が持ち味です。

釉薬の上に顔料で絵付けを行い再度焼く上絵付の技法を採用し、九谷五彩と呼ばれる「赤、黄、緑、紫、紺青」の5色を用いて絵付けされるのが特色です。

また、それぞれの窯元で受け継がれてきた多種多彩な技法や画法、表現も魅力のひとつといえるかもしれません。

明治時代以降に広まった産業久谷は、加賀藩の支援を失った窯元の職人たちが、作品の美術的価値を磨き、美術工芸品としての価値を高めていった結果生み出されたものです。

産業九谷は輸出産業にも活路を見出し、赤絵と金彩による色絵付けで欧米向けの作品を作り、世界的にも人気を得るほどになりました。

「JAPAN KUTANI」と称され、世界的ブランドとなった九谷焼は、1975年には経済産業大臣から国の伝統工芸品にも認定されています。

②          九谷焼の歴史にみる種類

歴史的にみると、九谷焼には「古九谷」「九谷」「産業九谷」の3つがあります。それぞれについてお伝えします。

「古九谷」

1655年ごろ、大聖寺藩の初代藩主の前田利治の命により、磁器作りの技術を身につけた後藤才次郎が九谷村で開窯したのが九谷焼のはじまりです。九谷村は鉱山開発の最中に磁器の原料となる陶石が発見されたことがきっかけとなり、陶石の産地となっています。

しかし、この時の窯元は約50年で突然廃窯となります。

この50年という短い間に生み出された九谷焼が「古九谷」です。

期間が短かったがゆえに当然、作品数は少なく、また一番古い時代の九谷焼で現在まで良い状態に保たれている器も少ないことから、入手するには困難かつ非常に高価な器となっています。

緑の色絵の具を印象的に配色する「青手」や、「九谷五彩」と呼ばれる緑・黄・紫・紺青・赤の色絵の具を自在に活用した「色絵」と呼ばれる絵付け技法を生み出した古九谷は、職人や知識人たちの間でも特別なものとして扱われています。

「九谷」

古九谷の閉窯から約100年後の江戸時代後期に、加賀藩城下町の金沢や小松、古九谷発祥の地である九谷や山代などで磁器の生産が再開され、加賀藩に招かれた京都の磁器職人たちが金沢市の春日山で技術指導をしました。これを機に息を吹き返した九谷焼を「再興九谷」と呼び、一般的にいわれている「九谷」となっています。

古九谷再現を目指した吉田屋窯、にじみにくい赤の色絵の具の特性を用いて細かい描き込みを器全体に施す「赤絵細密画」の宮本屋窯、色絵磁器に金彩を焼き付ける金襴手の永楽窯など、加賀各地に窯が作られました。

「産業九谷」

加賀藩の命を受け開かれた「古九谷」、藩の支援を受けながら発展していった九谷焼ですが、明治維新以降、藩から窯元への支援はなくなっていきます。

九谷焼の作家たちは、自らの生活のためにも名を上げようと一層技術を極め、多くの名工が輩出されました。また、輸出産業も発展したことから、九谷焼は海外にも進出しはじめます。「ジャパン・クタニ」と称される金彩や赤絵が施された華やかな作品が欧米に輸出され、人気を博しました。

③          多種多様な作風

九谷焼は窯元によって作風、技法が全然違うという特色があります。それぞれについてお伝えします。

吉田屋風

九谷焼の代表的な作風のひとつで伝統画風「時代絵」のひとつです。赤を使わず青(緑)・黄・紫・紺青の四彩を使い、日本画的要素を含めた柔らかい画風が特徴です。

赤を全く使わないことから別名「青九谷」ともよばれ、古九谷を最も受け継ぐ作風ともいわれています。

点描などの模様のほかに小紋を地紋様風にして、器物全面を絵の具で塗り埋めた、重厚さのある作風で独特の雰囲気があります。

飯田屋風

唐人が題材になっていることが多い飯田屋風は、赤を使った細密描法が取り入れられています。

金で華やかに彩られた金彩の作品が多いのも特徴です。

伝統画風「時代絵」のひとつで、赤により綿密に人物を描き、その周りを小紋などで埋め尽くし、所々に金彩を加えてあります。

じっくり鑑賞しているとひきこまれそうになる、言葉では言い表せないほどの赤絵細密描画です。

よくいわれる「赤絵細描(あかえさいびょう)」というジャンルがこれになります。

赤絵具は古九谷でも使われていましたが、絵画のようなデザインに使われるようになったのは再興九谷の時代です。その後、明治時代に入って金や銀を加えた技法が手法になりました。

木米風(もくべいふう)

古九谷が廃窯されてから約百年後、加賀藩営で金沢に春日山窯が開かれた時に、京焼の名工・青木木米の指導によりつくられたのが木米風です。

全面に赤をほどこし、人物を主に五彩を使って描き込む、中国風の上絵を取り入れた手法でつくられた器となっています。

伝統画風「時代絵」のひとつでもあり、人物でも特に子どもや老人・仙人などをたくさん描き、赤で塗りつぶしているのが特徴です。

庄三風(しょうざふう)

伝統画風「時代絵」のひとつであり、古九谷・吉田屋・赤絵・金襴手のすべての手法を間取り方式で取り入れ、これらを和絵具に洋絵具を加え綿密に描き込んだ彩色金襴手です。

明治以降の産業九谷の主流となった作風で、色々な画風を楽しめる絵柄はそろえられています。現代に近い時代の作風で洋絵具も使用されることから、もともとの九谷焼にある重厚感が薄れ、少し軽めの雰囲気があります。

九谷焼には珍しいことですが、分業での絵付けが取り入れられています。あまり絵付けが得意でない人や初心者の人が縁の部分を描き、絵付けがうまい人や上級者が人物や鳥獣・草木を描くなど、分担して作業することができます。

永楽風(えいらくふう)

伝統画風「時代絵」のひとつで、永楽和全による京焼金襴手手法を取り入れています。

全面を赤で下塗りし、その上に金のみで彩色した豪華絢爛な作風でありつつ京焼風な洗練された美しさもかもしだしています。

飯田屋風との違いとしては、飯田屋が白地に赤絵を描くのに対し、永楽では赤地に金彩を彩ります。

また、木米風にも赤地はありますが、木米風では唐人物や仙人を上絵具で描くのにくらべ、永楽ではこれらを金絵具で描き、龍や鳳凰などが多く描かれ、それらを唐草文や瓔珞文で装飾している点が違います。

その絵柄から縁起物の印象があり、永楽風はお正月の蓋物や酒器(徳利・盃)には最適です。

九谷焼のその他の手法として、青の色絵具のみで描かれ、大胆な構図の絵柄が特徴の「青九谷」や、細かな青や白の点を盛り上げていく「青粒」「白粒」という、熟練職人による手法、金箔や銀箔をのせてから焼きしめることで独特な模様を作り出す金彩・銀彩技法や、表面をさまざまな花で敷き詰めたような模様を描く花詰など、さまざまな技法があります。

まとめ

九谷焼は、その器がつくられた時期により「古九谷」「九谷」「産業九谷」に分けられ、古いものほど高額で取引されていることが分かりました。

また、その作風と技法の多さから、ひとくちに「九谷焼」というくくりでは表現しきれない、個性にあふれる作品が多いこともご理解いただけたかと思います。

九谷焼がもつ歴史と個性ゆえに、高額に取引されていることが多いのも納得できるお話かと思います。

加賀百万石の伝統が生み出した、豪華絢爛で華やかな美しさと魅力あふれる九谷焼は、多くの人の心をつかんで離しません。

九谷焼に魅力を感じ、大切にされている皆様にも、またこれから九谷焼を所有したいとお考えの皆様にも、九谷焼の査定から実績のある弊社にお声がけいただければ幸いです。まずはお気軽にお問合せください。皆様にとって価値ある取引となるよう、話し合いを進めてまいります。



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