2023.11.13

ジャスパー・ジョーンズとは?作品と買取額

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ジャスパージョーンズは、20世紀のアメリカの画家です。
ネオダダやポップアートの先駆者として知られています。彼の作品は、既存のイメージや記号の反復を用いて、多彩で複雑な作風です。

この記事では、20世紀ポップアートの巨匠の代表作と彼の作品の査定、売却額などを紹介していきます。

  ジャスパー・ジョーンズとは?

ジャスパー・ジョーンズの経歴

ジャスパージョーンズは1930年にジョージア州オーガスタに生まれました。少年期をサウスカロライナ州で過ごし、サウスカロライナ州立大学で美術を学びました。1949年にニューヨークのパーソンズ美術学校に入学し、徴兵されるまで美術を学びます。1952年に除隊後、ニューヨークに戻り、ロバート・ラウシェンバーグと出会い、様々な仕事を共にします。1954年頃から国旗、数学、標的などを題材とした絵画作品を発表します。

1958年に美術商のレオ・カステリがジョーンズの才能に惚れ込み、初個展の開催をオファーしました。個展では、ニューヨーク近代美術館(MoMA)の館長であるアルフレド・バルが4点の作品を購入しました。この個展で代表作の「旗」(1954年ー1955年)が初めて展示されました。現在でも、各シリーズとも人気があり、ポップアート先駆者と呼ばれています。

  ジャスパージョーンズの代表作

旗シリーズ(1954-1955年)

このシリーズの中では、星条旗をキャンバスの全面に描いた「旗」(1954年-1955年)が最も有名です。

この作品はジョーンズの作品の中でも、最初期にあたる作品で美術史の中では、ネオダダやポップアートの代表的な作品の一つとされています。
ジョーンズが星条旗を描く対象にした理由は「シンプルで分かりやすいアメリカな幾何学デザインと複雑な象徴的意味合いの両方を持ち合わせた身近な二次元オブジェクトだったから」だそうです。

他にも星条旗を白一色に塗りつぶした「ホワイトフラッグ」(1955年 メトロポリタン美術館所蔵)は、蜜蝋を使ったエンカウスティーク技法で筆跡を残し、絵画とオブジェの境界をあいまいにしています。
星条旗の縞模様の下には蜜蝋で塗り固められた新聞紙がコラージュされています。
この作品は、アメリカ国旗という象徴的なイメージを色彩から切り離し、形やテクスチャーに注目させることで見る者の認識や感情に影響を与えようとしました。

また、国旗という政治的な意味合いを持つものを白く消去することで当時の冷戦などの社会状況への批判も含まれていると考えられています。
このシリーズの中でもう一つ有名な作品が「スリーフラッグス」(1958年 ホイットニー美術館)です。
この作品は、3つの星条旗をそれぞれキャンバスに描き、それを重ねて構成している作品です。3つのキャンバスを重ねることにより、平面の星条旗にキャンバス自体の奥行きが加わって自分の方に星条旗が飛び出してくる印象を受けます。

なお、キャンバスが重なっている部分は隠れて見えないようになっています。3つの星条旗が重なって1つになっている斬新な作りでジョーンズの作品の中でも人気の高い一品です。この作品は、3つのキャンバスを重ねて作成されているので絵画とも彫刻ともいえる絵画と彫刻の境界があいまいな作品です。

標的シリーズ(1955年以降)

標的シリーズは、1955年から1960年代にかけて制作されました。

ダーツの標的(ターゲット)を題材としたシリーズです。このシリーズは「旗」シリーズのイメージを追及するなかで誕生し、ジョーンズは得意とする「エンカウスティーク」という蜜蝋を使った手法や「ステンシル」という型を使った手法が多く使われています。

この時代の代表的な作品が「4つの顔のある標的」(1955年 ニューヨーク近代美術館)と「石膏の型のある標的」(1955年)です。この作品は、キャンバスに青と黄色の標的(ターゲット)を描き、キャンバス上部の仕切りに人間の鼻から下をかたどった石膏がはめ込まれた作品です。

キャンバスの奥行きにあったサイズの石膏を配置することで、二次元で平面的な絵画に空間性や物質性といった三次元の要素を持たせています。ジョーンズは同性愛者だったが、この時代は同性愛者への理解はあまりなく、生きづらさを感じていたことへの表現といわれてます。

「石膏の型のある標的」(1955年)

この作品は、「4つの顔のある標的」の鼻から下を型どった石膏がはめてあった場所に鼻から下の石膏だけでなく、耳の形の石膏や足、男性器などをかたどった石膏がはめてある作品です。キャンバスに板を付け、標的の赤に近い着色にすることで、キャンバス自体も作品の一部だということが強調された作品です。

数字シリーズ(1958年以降)

数字シリーズは、ジョーンズが数字としての意味を無視し、文字としての形に着目した作品群です。

「白色の数字」(1958年)

この作品は、キャンバスに白の絵具で0から9までの数字を描いた作品です。この作品でジョーンズはステンシルという金属板を切り抜いて作った型を使う技法を用いて製作しました。

この技法を用いることで数字を描くという反復作業を正確なものにし、キャンバスの下地が見えるように描かれています。また、この作品では蜜蝋を厚く塗り絵に立体感を出すということも行っています。

「0〜9」(1961年)

この作品は、0から9の数字を重ねてキャンバスに描いた作品です。

ジョーンズは数字の持つ意味よりも数字の形に強く興味を抱いており、この作品でもその部分が感じ取れます。ぱっと見ただけではどんな数字が描かれているのか分からないのですが、目を凝らして見ると確かに0〜9の数字が重ねて描かれていることが分かります。

配色の特徴としては、数字同士の輪郭が交差した部分で区切って別の色を配置していることが分かります。

地図シリーズ(1961年以降)

地図シリーズは、アメリカの地図をキャンバスに描いた作品群で友人のロバート・ラウシェンバーグにアメリカの地図をもらったことがきっかけでした。

「地図」(1961年)

赤、黄色、青などの色を使ってキャンバスいっぱいにアメリカの地図が描かれている作品です。この作品は、キャンバスを立てて描かれているため地面に向かって滴る絵具の軌跡が作品の中に数多く残されています。これは、偶然性の音楽を生み出した、ジョン・ケージの影響があると言われています。

「地図」(1967年ー1971年)

この作品は、上記の作品と同じ名前ですが、キャンバスの形がデザイナーのバックミンスター・フラーが考案したダイマクション地図の展開図の形になっています。ダイマクション地図とは、多面体に地球を投影して作られた地図です。

ニューヨークのアトリエで5年の製作期間をかけて作成されました。なお、この作品は完成後に一度手直しされています。

フォルス・スタート(1959年ー1961年)

この作品群は、色や形によって表現された文字や数字を組み合わせて、視覚的な混乱や矛盾を生み出すことを試みています。ジョーンズの作品群の中でも希少で高値で取引されています。

「フォルススタート」(1959年)

この作品は、キャンバスに青や黄色、赤の絵具を使って描かれています。黄色が塗られた場所に赤い色でイエローと書かれていたり、赤色が塗られた場所に赤い文字でブルーと書かれています。

フォルススタートという作品名に込められた意味は、見ている者の期待や認識を裏切るということです。ジョーンズは、色や形というイメージの関係を問い直しています。

言葉や数字などは通常、何かを指し示すものとして使われていますが、ジョーンズは事故言及的なものとして扱っています。つまり、言葉や数字は自分自身を表現するだけであり、それ以外の何かを表現するものではないということです。

ジャスパー・ジョーンズ作品の売却と買取り額は?

ジャスパージョーンズ作品の売却査定をしてもらう方法は下記2つが一般的です。

  • 美術品買取専門店に依頼する
  • オークションに出品する

美術専門店に依頼することのメリットは下記の通りです。

  • 作品の相場や状態に合わせた買取価格を提示してくれる

美術品専門店は、作品の状態や市場の相場などを適切に判断して、妥当な金額を付けてくれます。

  • 対応が丁寧。

美術品専門店は、美術品に対する敬意や愛着を持って対応してくれます。売り手の気持ちを考えた対応や値付けをしてくれます。

デメリットは下記の通りです。

・予想以上に安い査定額になることがある。

作品の相場や状態によっては自分が想像していたよりも安い値付けになることがあります。人気のない作家の作品は安い価格になってしまうことがあります。

・自分で色々な業者に連絡をして査定額を聞かなくてはならない。

美術品専門店の場合、売り手が納得する価格を調べるためには、複数の業者に自分で連絡をしなければなりません。

オークションに出品することのメリットは下記の通りです。

・高額で売れる可能性がある。

売却したい作品に複数の購入希望者がいて、競り合った際に相場よりも高く売却出来ることがあります。

・様々な業者の買取額をその場で聞くことができる。

多くの業者が会場に来ているので、複数の業者の買取額を一度に知ることができます。

デメリットは下記の通りです。

・手数料が高い。

オークションでは、買い手も売り手もオークション会社に手数料を支払わなければなりません。

手数料は落札金額の何%と設定されていて、落札額が高額になるほど負担が大きくなります。

・落札されないことがある。

出品した作品が評価されなければ、買い手が現れずに売却できない場合があります。

ジャスパージョーンズの買取額の代表例を紹介します.

作品の希少性や状態などによって値段は変わりますが、代表的な買い取り額は下記の通りです。

・「間違った始まり」(1959年)→ 18億5000万円

・「旗」(1966年)                   → 33億1000万円

・「旗」(1958年)                   → 120億円

  まとめ

ここまで、ジャスパー・ジョーンズの経歴や代表作、作品の査定方法、買取額を紹介してきました。
ジョーンズは、ネオダダやポップアートの先駆者として、有名な作品を数多く世に出してきました。

その作品の多くが美術館で鑑賞することが出来ます。
ジャスパー・ジョーンズの作品を売却しようと考えている方はいま紹介した方法で売却すれば高額な買取額が付くかもしれません。

ここまで読んでいただきありがとうございました。



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