2024.01.24
骨董品
2024.01.24
「実家にあるあの壺って、高く売れるのだろうか?」
「そもそも壺の買取ってあんまり聞かないなあ…」
壺に関して、このような疑問をお持ちの方も少なくないのではないでしょうか。
基本的に、高く売れる壺は有名な作家が作ったものや、年代物の壺と言われています。この記事では、高く売れる壺の特徴や、どんな壺なら売れるのかを解説していきます。さらに、高く売るコツもお伝えしていきますので、所有されている壺を少しでも高く売りたいと思われるのであれば、ぜひご一読ください。
目次
壺は人類の文化を語る上で欠かすことのできない骨董品の内のひとつです。日本では縄文時代にはすでに壺というものが存在したと言われ、甕(かめ)とともに主要な器のひとつとして活用されていたようです。壺と甕の形はよく似ているので区別するのが難しく、同じものとして扱われることも少なくありません。実際の定義としては首の口径によって呼び方が変わるとされており、腹径の2/3以上を甕、2/3未満のものを壺と呼ぶのです。この定義を基にしたとしても、一目見ただけで壺か甕か区別するのは簡単ではないことがご理解いただけるのではないでしょうか。
現在では、美術品やインテリア、社会的地位の象徴として世界中で人気となっている壺ですが、壺の価値はいったい何を基準に定められているのでしょうか。
壺の価値は一般的にはその壺がつくられた産地や作家、時代によって決まると言われています。また、保存状態の良いものは価値が上がり、高額で取引されることも少なくありません。産地や作家、時代などが、どのように壺の価値を決めるのか具体的に見ていきましょう。
基本的に、有名な産地で作られた壺であれば、高い価値がつけられることが多いと考えていいでしょう。そのくらい、産地は壺の価値を決める最大の要素となっているのです。日本で有名な壺の産地としては、次のような産地があります。
海外で作られたアンティークな壺もまた、高価買取が期待できる骨董品です。中でも中国や朝鮮半島で作られた壺や、西洋アンティークの壺は日本でも人気が高く、高額取引されています。中国や朝鮮半島の壺が高額で買取される背景として、中国の市場では偽物が多く出回っていることが挙げられます。本物の壺を買い求める中国人が日本で中国の壺を買うことが増えているため、中国人好みの壺は高価買取が期待できるのです。一方、西洋の壺もまたアンティークとして高い人気を誇っています。中でもフランス人作家である「ドーム」の作品や、ドイツの名窯(めいよう)「マイセン」、イギリスの陶磁器メーカー「ウェッジウッド」などは買取価格も高価です。これらのメーカーの名前は皆さんも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。世界中で人気のある西洋の壺はコレクターも多く、オークションでもかなり高額で取引されることがあります。有名な作品でなくても高額で買い取られる期待が持てます。
どんな作家によって作られた壺なのかということも価値を大きく左右します。中でも井上萬二(いのうえまんじ)・金城次郎(きんじょうじろう)・徳田八十吉(とくだやそきち)などの人気国宝に認定された作家の壺は、世界的にも高い価値を認められ、高額で取引されることは間違いないでしょう。また、人間国宝を辞退した河井寛次郎(かわいかんじろう)の作品も高い価値が認められています。
壺の価値は、作られた時代の影響も大きく受けます。江戸時代や明治時代に作られた壺は、現存数が少なくなっているため、貴重な壺として高額で取引されることも少なくありません。一方、江戸時代より前に作られた壺は、さまざまな用途で使われていたことで、傷や汚れが目立ち、価値が高くなりにくい状態です。
壺を高く売るためにはコツがあります。コツを知らないまま査定を受け、相場よりかなり低い価格で買い叩かれてはせっかくの大切な壺が台無しです。大切な品を手放すのですから、正しい価値を見極めてもらい、買取価格アップを目指しましょう。
重くて割れやすい壺は、査定に出すのも簡単ではありません。ネットの簡易査定などを利用して、いくつかの業者の相見積もりをとるようにしましょう。壺の作品名や作者、傷の状態などを入力するだけで簡単に査定を受けられます。相見積もりの中でもっとも高額だった買取店に詳しい見積もりを依頼すれば、高価買取が期待できます。
相場を知らずに査定を受けると、査定金額が安いのか高いのかが分からず、結果としてかなり安い価格で買い取られてしまったなどということになりかねません。事前に買取相場を調べておくと、安い買取価格に気づくことができます。少しでも高く売却するためには、査定前に買取相場を調べておくことが肝心です。
骨董品全般に言えることですが、壺には箱や証明書、鑑定書などの付属品があるので、これらをまとめて査定に出しましょう。価値の高い壺であれば単体でも高価買取が予想されます。しかしコレクターの中には、付属品も一緒に手に入れたいと考える人が少なくありません。付属品をそろえておくと、買取価格が数万円アップすることもあります。査定を受ける時には付属品も一緒に出しましょう。
なるべく早めに売却することも高く売るためのコツです。壺をどんなに丁寧に保管していても、湿気や紫外線などの影響で年月とともに劣化してしまいます。今がもっとも良い保管状態であると心得、使わない壺は早めに売却することをおすすめします。
もし所有の壺に傷があったり破損していたりしたとしても無理な修理はおすすめできません。素人が知識を持たずに修理してしまうと、かえって価値を下げてしまうこともあります。かといってプロに修理を依頼すれば修理代が高くなり、買取価格を上回る恐れがあるので、傷や破損が気になったとしても、そのままの状態で査定を受けるのが無難です。
破損や汚れが気になる壺でも買い取ってくれる業者はあります。もちろん、破損や汚れの状態にもよるので、査定を受けてみないと売却できるかどうかはわかりませんが、傷や汚れが気になる壺でもまずは査定に出してみましょう。思いもよらぬ値段がつくかもしれません。
ここでは国内でも特に横浜市における壺の価値について解説します。
長崎や神戸と並び、古くから港湾都市として栄えてきた横浜市は、外国人居留地や外国人墓地などがあることで有名な港町です。輸出入が盛んで、横浜は「異国情緒漂うおしゃれな街」として人気があることは皆さんもご存じの通りです。昔から海外の壺が輸入されてきたため、横浜市は他県と比較しても希少な壺が多く残っている可能性がある街です。そのような歴史的背景の影響を受けてか、横浜に住んでいる方達には特に壺にこだわったコレクターも多く、高額取引が期待できる街とも言えます。昨今は宅配買取や出張買取なども積極的に取り入れている業者は少なくありません。近所の骨董品屋さんやメルカリなどのインターネットショップを利用するのではなく、横浜にある買取業者を選んで査定に出してみてもいいかもしれません。
ここでは壺を所有している美術館のご紹介をしていきます。
明治5年に開館した日本最初の博物館です。日本を中心にした東洋のさまざまな国や文化の美術作品、歴史資料、考古遺物などを収蔵しており、その数は11万件以上に及ぶとされています。主に所蔵品と寄託品で構成される総合文化展(常設展)は日本文化の歴史をたどるさまざまな美術品を展示していますが、ここに重要文化財である「色絵月梅図茶壷」が展示されています。作家の野々村仁清は丹波出身で、京焼色絵陶器の完成者として有名です。茶壷に多くの優れた作品を残しており、狩野派風の月梅図を描くこの壺は仁清絵茶壷の代表作と言われています。
根津美術館は、東京都港区南青山にある美術館です。東武鉄道の社長などを務めた実業家・初代根津嘉一郎(1860~1940)が蒐集した日本・東洋の古美術品コレクションを保存し、展示するためにつくられた美術館で、国宝7件、重要文化財88件、重要美術品95件が含まれています。コレクションの大部分は初代根津嘉一郎の旺盛な蒐集の成果で、晩年、自ら青山と号して茶の湯を楽しむ中で集めた茶の道具の数々もコレクションの重要な柱となっています。中国・東晋時代の「青磁鶏口壺(せいじけいこうこ)」、北斎~隋時代の「緑釉貼花文大壺(りょくゆうちょうかもんおおつぼ)」、15世紀朝鮮時代の「粉青沙器牡丹文扁壺(ふんせいさきぼたんもんへんこ)」18世紀朝鮮時代の「青花秋草文壺(せいかあきくさもんつぼ)」などがあります。
MOA美術館は昭和57(1982)年に静岡県熱海市に開館した美術館です。ここには野々村仁清作の「色絵藤花図茶壷」が展示されています。仁清の作品の多くは茶道具で占められているのですが、その代表作と言われるものがこの作品です。この色絵藤花文茶壺は、仁清の茶壺の中でも最高の傑作として名高く、京風文化の象徴的作品とも言われています。
この記事では、高く売れる壺の特徴や、どんな壺なら売れるのかを解説しました。また、高く売るコツについてもお伝えしました。産地や作者が有名な壺や中国・朝鮮半島の壺、西洋アンティークの壺は、国内外で人気が高く、探し求めるコレクターも多いことから高価買取が期待できることがご理解いただけたのではないかと思います。壺を高く売るためのコツもお伝えしました。売却検討される方の参考になれば幸いです。