2024.11.22
作家名
2024.11.22
「リカルド・ゴンザレス」は、メキシコ出身、ニューヨーク在住のグラフィックデザイナー、アーティストです。
「レタリング」であったり、「タイポグラフィー」、「カリグラフィー」、「書体デザイン」などの分野を得意としています。
祖父の影響をもとに、ニューヨークのクーパー・ユニオンで書体デザインを学んだ経験のあるリカルド・ゴンザレスのアート作品は、文字の美しさが際立った書体で描かれています。
また、リカルド・ゴンザレスは、「It’s a living」として活動するアーティストです。
自己の思想をもち、誰もが受け入れやすいデザインに挑戦しています。
今回は、そんなリカルド・ゴンザレスのアートを深堀します。
目次
「It’s a living」とは、そのまま「生きている」ということです。まさに、リカルド・ゴンザレスは、「生」が自分自身の思想であると語っています。
リカルド・ゴンザレスの発表するアートは、生の思想に従い、自分自身の生き方を表現するアートです。
個展「A Day in the Life」では、美しくて、シンプルな書体で描かれたリカルド・ゴンザレスの作品が巨大なスケールの壁画、また、ブランドのロゴ、広告、ストリートで見かけるようなステッカーに至るまでバラバラな方向性で発表されています。
そこに共通して存在するのは、まさに、「It’s a living」であり、リカルド・ゴンザレスの哲学です。
「A Day in the Life」というワードは、1960年代活躍したジャズ・ギタリスト、ウェス・モンゴメリーのアルバムにインスパイアされたということです。
人生はまるでジェットコースターのようなもの。たった1日の間にもいろいろな事件が起こります。
そんな毎日はハッピーで祝福すべきものである。
それが生きていることの意味です。
リカルド・ゴンザレスは、この個展でファイバーボードをレーザーカットした厚みのある半立体であったり、スティールを使用した立体作品など、はじめての試みにも挑戦しています。
「In My Lifetime」と題された個展では、アートを作る繰り返しの行為を通し自分を見つめ直し、「人生の意味とは何か」を追求したアート作品が展示されています。
カラフルな色調の作品が多いリカルド・ゴンザレスですが、この個展ではモノトーンの作品が揃って、見る人たちを、リカルド・ゴンザレスのより深い哲学の世界へ連れ去っていくかのようです。
リカルド・ゴンザレスのアートを紐解くために、まずは「タイポグラフィ」と「カリグラフィー」の意味をとらえておきましょう。
リカルド・ゴンザレスのアートは、タイポグラフィ、カリグラフィーの基盤の上にたつ、そして、タイポグラフィ、カリグラフィー以上の何ものかです。
タイポグラフィとは、文字を美しく配置するための技術のことを言います。タイポグラフィは最初、活版印刷であったり印刷物の文字の体裁を整える技法という意味あいで使用されていました。しかし、いまは、文字組みにおいての視覚的なもの全般を示すことが多くなっています。
もっとわかりやすく言えば、タイポグラフィは、読みやすさであったり、美しさまでを考慮し、文字を並べていくことを言います。
さらに、タイポグラフィにはもう一つの違う意味があります。それは、リカルド・ゴンザレスがしているように、文字自体をアート的に表現することです。実際問題、現在はタイポグラフィで意味をリサーチすれば、こちらの方が重視される傾向にあるのかもしれません。
英字を入れれば大抵のものはおしゃれになります。それは、日常生活にも浸透していることなので、理解することは決して難しいことではありません。
歌謡曲の歌詞で突然、英語が登場することにも共通する点があります。日本語であれば、意味、響きに対して老人から子どもまで精通して、いろいろなイメージが既にこびりついていて、生活感が滲み出しなかなかおしゃれとは言いがたい面もあります。しかし、そこに英語の歌詞が登場すれば、多くの人たちは意味がわからないでしょうし、わからないことで新鮮な風が吹き込まれることになります。
意味がわかっているという方々でも、響きによって異種の風が流れているのを感じられるでしょう。
タイポグラフィの基本原則は、英語、漢字の異種文化が共存したときもキレイにそろえることです。
相対的に漢字は大きく、英語や数字は小さく見えます。例えば漢字と英語を同じ程度の大きさに見せたいと思えば、英語をちょっと大きくするなどと言った工夫がされています。
そして、タイポグラフィの基本は、崩すことです。
斜体にするだけでも、容易に文字に動きを与えることができるでしょう。
また、字間であったり行間をあけることで、ゆったりとした印象を相手に与えることができます。
一方でカリグラフィーは、専用のペンであったり平筆などを使用して、文字を装飾的に美しく見せるための技法のことを言います。
日本で言えば、カリグラフィーは、書道の世界により近いと言っていいかもしれません。
リカルド・ゴンザレスが祖父から学んだのは、そのような日本的文化であったのかもしれません。
リカルド・ゴンザレスは、アーティストかデザイナーか
リカルド・ゴンザレスの個展などで彼のアート作品を鑑賞していると、もちろんそれはゴッホであったり、ムンクとも違い、インテリアにもマッチさせることができるおしゃれ感もあり、「これはアートではなくデザインなのではないか……」と思うこともあるのではないでしょうか。
リカルド・ゴンザレスを有能なデザイナーと思えば、それも間違いということはできないですが、一方で有能なアーティストであるという見方も当然あります。
みなさんもいい機会なので、リカルド・ゴンザレスの作品を目の前にして、これはアートなのかデザインなのかをじっくり考えてみるといいかもしれません。
答えはひとつではありません。それぞれの方々が思っている意見が正解とも言っていいでしょう。
私達は、デザインという言葉を日常生活で当たり前のように聞き、その意味を真剣に考えることもなかったりするのではないでしょうか。
「デザイン」とは日本語で言えば「設計」という意味をもつ言葉です。もっと具体的に言えば、形、色、配置などの装飾を工夫することであり、また、必要とされる機能・特性を熟考し、構成を組むことです。
デザインは、周りに存在するものと差異をもたらすことを目的とし、おしゃれであるものだったり、個性的なものが構想されていきます。
デザインの本質は、ただ見た目がいいというだけでなく、見る人たちや使用する人たちのニーズにも対応する必要があり、作者の意図が入り込む余地は二の次と言っていいでしょう。
そのような意味では、リカルド・ゴンザレスの作品には、リカルド・ゴンザレスの思想、哲学が存在し、それが優先されるためにデザインとはいいがたい面はあるのかもしれません。
デザインは、あえて言葉だったり、行動では示すことができない何かであるととらえることができます。
アートもそのような意味では同じです。
しかしアートは、デザインと比較して自分の価値観や世界観・感情などの主観的な見方を表すことを目的としています。
アーティストの自己表現や問題提起が、見る人の感情を刺激したり、社会に影響を与えたりすることもあるでしょう。
デザイナーの方々は、お客様のリクエストに沿い物事を設計、意匠を凝らすことをしていきます。ですからデザインを作る人たちは、完成形だったり、作業過程の中で何らかの制限を受けてしまうことでしょう。
しかし、アートの場合は、自己表現することがゴールです。ですからデザインとは違い、外部からの制限がかかることは基本ありません。
結論を言えば、リカルド・ゴンザレスの作品は、デザインではなくアートです。それはリカルド・ゴンザレスの作品に、思考、自己の哲学が存在しているからです。
しかし、思い切りアートなのかといえば、「なんだか違う……」という感想もお持ちでしょう。
リカルド・ゴンザレスのアートは、依頼主の希望によって自由自在に変化するアートのような感じもし、ちょっとお部屋のインテリアにしようと思えば、すんなりどのようなお家でもしっくりきてしまうようなアートです。
それを現代アートという言い方をしてもいいのかもしれませんが、それはデザインにより近いアートであり、ちょっと薄めのアメリカンアートです。
リカルド・ゴンザレスのアートは、まさに暮らしを豊かにしてくれるようなアートです
たとえば、このようなお家の空間づくりに、リカルド・ゴンザレスのアートが採用されています。
あるインテリアデザイナーのもとに、立地や、建築、デザインにある程度制限がある中、お客様からは、「海の見渡すことができるリゾートホテルのようなお家にしたい」というリクエストがあったということです。
そこで、デザイナーが提案したのは、リカルド・ゴンザレスのアートです。
お客様曰く、インテリアに対し予算はいくらかかっても大丈夫ということでしたが、お客様が、企業オーナーとして活躍している方であったこと、身近な人たちとのコミュニケーションを求めていることなどを垣間見ることができたため、周辺の条件や建築、おしゃれなリゾートを演出するビジュアル構成よりも、アートを軸として、インテリアをすすめようと判断したということです。
アートを取り入れる判断は、デザイナーがお客様に対してアートを受け入れてくれるであろうと見たからです。
アートを受け入れてくれるからこそ、生活そのものにもっと深みが生まれるのではないだろうか。
それこそが豊かな生活ということができます。
そして、お客様がアートという言葉を口にしたというわけでもないのに、デザイナーの方から、「アートにしませんか?」という提案をしたと言います。
立地的には田舎であって、リゾートホテルと言った実現は環境的にもほど遠い……。それを、家具などでデザイン的に対処することも可能なのかもしれませんが、何か陳腐なものになってしまう恐れがあります。陳腐化させないのがインテリアデザイナーの役目でもあるのですが。
しかし、アートを取り入れた空間であれば、ぐっとテーマを明確にすることができ、すべてが解決したような気持ちになることができたということです。
そこで選ばれたアーティストが「リカルド・ゴンザレス」です。
あえてリカルド・ゴンザレスを起用したのは、ストリートを気軽に歩いているような感じのフリーでカジュアルなライフスタイルをアートに抽出することができるからです。
また、リカルド・ゴンザレスのアートが作品自体、海を連想させる作品ではないのですが、たとえばスプレーで描いたフォントの遊び心と知的作業によって美しく形を変えたストリートアートのインスピレーションが、お客様が家族であったり友だちと自由な時間を過ごしていく中で、マイライフを謳歌することができ、かつ事業の躍進へもつながるのではないかと判断したからだと言います。
現在、リカルド・ゴンザレスのアートを所有していて、売却査定して欲しいと思っている方々もいらっしゃることでしょう。
リカルド・ゴンザレスのアートは、主にアクリル絵具で製作され、アーティスト自身が手がけるオリジナル作品は一度に大量流通できないため評価が高く高価売却査定につながりやすいです。
「FEELINGS」は、よく見ればたくさんのFEELINGSという文字列を見つけることができます。FEELINGSでは書体を何層も重ねて、グラデーションをつけ、おしゃれなアートになっているからです。
リカルド・ゴンザレスは、現在注目の現代アート作家なので、今後の価格上昇も予測でき、高額買取を期待することができます。
いかがでしたでしょうか。今回は、リカルド・ゴンザレスのアートについて解説しました。
リカルド・ゴンザレスのアートは、カジュアル、かつ、おしゃれで品格もあって、ちょっとリッチに過ごしたいという方々のニーズにもばっちり合ったインテリアとも言っていいでしょう。
みなさんも、お部屋にリカルド・ゴンザレスのアートを取り入れ、ちょっと優雅な生活をしてみてはいかがでしょうか。
デザインのような、アートのようなリカルド・ゴンザレスの作品は、今後もニーズが高くなることが予測されています。そんなライト感覚のアートが、難しいことを考えたくもない現代社会に受け入れられているようです。