2024.11.22
作家名
2024.11.22
仲衿香(なか・えりか)は、1994年生まれ、若い力に満ち満ちた期待のアーティストです 。
現代社会に当たり前に存在している、企業のロゴであったり、ソーシャルネットワークサービスなどで使用される様々なアイコンをモチーフとし、アクリル絵具を用いた厚塗りが特徴のアーティストです。
世の中は目まぐるしく移り変わっています。あるものは消え、消えてしまえばまた何かがそのスペースを埋めていきます。
彼女は、目まぐるしいスピードで生まれては消えていってしまう記号をアート化し、アートに閉じ込めるという活動をしています。
今回は、そのような仲衿香のアートを深堀します。
目次
仲衿香は1994年長野県に誕生しました。
2019年には、東京造形大学絵画専攻を卒業します。
「CAF賞2018」で白石正美賞を受賞。
「Not Found」(SH GALLERY、東京、2021)など個展を意欲的に開き、また、「biscuit gallery first anniversary exhibition『grid』」(東京、2022)などグループ展を多数開催しています。
一見、仲衿香のアートは難解だと感じる方々も多いのかもしれません。
アートには、時として読み取るためのコツも必要であるからです。
仲衿香のアートは、目の当たりに存在している記号、ロゴ、自然風景、ごくごく日常な事物などを、日記のような気軽な気持ちで切り取り、アートに落とし込んでいます。
従来のアーティストたちが、日常の景色をアートに落とし込んで保存をしてきたような感じで、仲衿香も、現代社会に生まれては即消えて行ってしまうような記号を、アート化して保存しています。
絵具を支持体に厚塗りさせていくことで、絵具は、自分自身の予測をどんどん超え出てしまい想定外の動きをすることがあります。
描いている自分自身は支持体と一致しなければならないはずなのに、相反して生まれる自分自身と支持体とのズレが……。そのズレこそ、仲衿香はアートの魅力だとも語っています。
仲衿香は、若いアーティストであるからこそ、簡単に伝統的絵画形式を破壊・裏切ることができ、その生まれる瞬間と偶然をストレートに表現することができ、主体が不在したアートは、鑑賞する人たちに強烈なインパクトを与え、かつ、限りない好奇心、イマジネーションをかきたてていきます。
現代社会に生まれては消滅していくであろう記号を落とし込み、保存したつもりでいるものの、アートは、仲衿香の期待を裏切っていってしまうことも多々あります。
現在、仲衿香のアートを見てくれている人たちは、おおかた仲衿香と同じような気持ちで仲衿香のアートを見てくれていたとしても、十年後仲衿香のアートを見た人たちは、おそらく現在見ている人たちと違う気持ちで仲衿香のアートを見ていることでしょう。まさに、そこにアートのふがいなさがある訳ではなく、アートの気まぐれさであり、面白さだと語っています。
仲衿香は、個展「SLEEPING JIVA」を開催しました。
個展「SLEEPING JIVA」では、今までは現代に存在している記号をどう保存すればいいか……という視点でアートを誕生させてきたのですが、次の試みにシフトし、「保存されなかったアートをどう生かせばいいか」ということに挑戦しています。
Internet Explorer(インターネットエクスプローラ)をモチーフとし、木枠が組まれたパネルに対して壁画を制作し、次には、制作した壁画はチェンソーで無残に破壊され、再構築されたアートが誕生しています。
木枠を外れたアートは、果たしてアートの域をとどめていることができるのか……。
今後、そのようなアートがどのような生き方をしていくのか……。
そこから何が起こるのか……。
全くもって未知数であり、もはや仲衿香の管理の領域を超え出てしまったのかもしれません。しかし、それでも、そこには新しい挑戦への萌芽のようなものを感じとることができます。
アートがどんどん化石化してしまうことよりも、滅茶苦茶であったとしても、生きる兆しがあるアートの方が全然魅力的に感じられるのではないでしょうか。それもアートの在り方であり、主張です。
記号であるからわかりづらいと思ってしまう人たちも、マンガのヒーロー「ブラックジャック」ならわかりやすいですし、仲衿香のアートを理解するためのいい機会が私達に与えられたのかもしれません。
この個展では、手塚治虫が晩年を過ごした東京都東久留米市にあるブラック・ジャックのキャラをデザインしたマンホールを、仲衿香のオリジナリティーあふれたタッチでアート化した作品を中心に展示しています。
この個展について仲衿香自身、このようなコメントを残しています。
「What are we ______ for?」というタイトルは、ブラック・ジャックの「ちぢむ!!」というストーリーの中に登場する、「医者はなんのためにあるんだ」というセリフのオマージュだということです。
まさに、ブラックジャックというマンガの大きなテーマと言ってもいいかもしれません。ドクターの存在を問う言葉は、いかにも普遍な言葉という印象をもつのかもしれません。
しかし仲衿香自身はそうとは考えておらず、不況であったり、戦争、震災、またAIの発達……などと言った時代の変化や、自分自身の置かれている状況によって受け取り方はフレキシィブルに変わると言っています。
仲衿香がブラックジャックとのコラボで誕生させたアートは、仲衿香ならではの厚塗りの質感によって、本人とアートの関係にもズレが生まれ、仲衿香が求めているものとは違うものをそれぞれの時代、見る人たちが感じ取っていきます。
だから、「What are we ______ for?(______は何のためにあるのか)」なのです。
アートは、やはり仲衿香だけで成立するものではなく、仲衿香とアートにも乖離部分があり、乖離している部分を、それぞれ鑑賞している人たちがストーリーを作り、つなぎとめていくことになります。そのような意味では、鑑賞している人たちも、「What are we ______ for?(______は何のためにあるのか)」をそれぞれが埋めるアートを創造している参加者と言っていいでしょう。
landscape of the web #7では、Googleの検索エンジンのソースコードをモチーフにして、HTMLの記号が羅列しアートが作られています。
記号とは、私達に何を日頃もたらしているのでしょうか。
記号とは意味そのものであり、意味の存在しないものは記号ではありません。ある特定の機能であったり内容を、わかりやすく表現するための図形や符号などが記号です。記号で表現することで人たちは視覚的に内容を共有できるようになります。
Googleの検索エンジンのソースコードもまさにそれにあたり、記号によって、大事な意味が示されています。
しかし、例えばプログラミング言語は次々と新しいものが登場して、現在とても重要視されているものの、数年経過すれば使い物にならなくなってしまうようなプログラミング言語も出てきてしまうかもしれません。
記号は、現在瞬間を生きている人に意味を伝えるものであり、次世代を生きる人たちに理解してもらうことを保証している訳ではありません。
現在、最重要されている記号も、数年後にはゴミ化してしまうかもしれません。
仲衿香は、そのような実際には危うい存在である記号を、アートの中に閉じ込め、まずは絶対化を目指しているのです。
しかし、アートの中に閉じ込めるものの、100%絶対化ができたのかといえば、アートは、仲衿香自身も裏切っていきます。
アートと仲衿香の間にはズレが生まれてやがて仲衿香にも予測不可能なものになっていきます。
landscape of the web #10では、厚塗りのうねる感じもインパクトがあり、現在存在しているテクニックはいずれ全部消えてなくなってしまう……寂しさ、不安感を描いているようにもみえます。
記号をアート化し、絶対化したかのような満足感は創作者の思い過ごしにすぎず、危うい空間をただ漂っている感じです。しかし、アート化した記号は消えていってしまうこともありません。その空間を永遠に漂い続け、鑑賞する人たちの脳裏よって、創造され生き続けていくことでしょう。
現在、仲衿香のアートを所有していて売却査定して欲しいと思っている方々もいらっしゃることでしょう。
仲衿香は、抽象的な意味を可視化させた図形を再構築するアーティストです。まだまだ若いアーティストであるため、将来に対しての期待値もあります。
仲衿香アートを、見る人たちがそれぞれの時代、いろいろな解釈の仕方をしていくのかもしれませんが、若い仲衿香は、客観者としていろいろな時代の意見を聞くことができる余裕もあります。まさに、それもアーティスト冥利に尽きると言っていいでしょう。
仲衿香のアートは、仲衿香自身で描いていることは間違いないですが、描いている自分自身をいつか離れていってしまうものです。
そして、アートはアートを所有している人たち、また鑑賞している人たちのそれぞれの思いで完成します。
そのような意味では、アートを所有している方々の役割もとても大きいです。
仲衿香のアートは、主としてパネルにアクリルで作品を製作、2.5D版画なども手掛けています。仲衿香自身が手がけたオリジナル作品は大量に流通不可であるため評価が高く高額売却査定に繋がりやすいです。
日常生活でよく目撃するアイコンであったり標識、看板などの作品は一般の人たちに親しみやすく、高価買取に繋がりやすいです。
「35.699281,139.771200」は、ごくごく身近な道路標識です。仲衿香の手より、厚塗りで表現されたアートは伝統的な絵画形式を否定し、新しいアート表現方法を確立しつつもあります。35.699281,139.771200の買取相場は、おおかた10万円~13万円です。
いかがでしょうか。今回は、仲衿香のアートについて、また買取情報について解説しました。
仲衿香のアートは、自己をも否定し、鑑賞する側とつながり、未来へと導いてくれるかのようなアートです。
マンネリ化した習慣の中、部屋の中に息詰まった感じをお持ちであれば、仲衿香のアートが新しい風を吹き込んでくれることでしょう。
現在、仲衿香のアートは、買取業者が意欲的に探しているということもあって、高額買取につながりやすいです。
仲衿香のアートを所有しているという方々は、売却査定を検討してみてはいかがでしょうか。