2024.01.19

日本刀は、どう鑑定・査定されている? 方法を解説

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刀剣

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かつて日本刀と言えば、戦いの武器以外何ものでもないものだったのかもしれません。日本刀で戦うこともなくなりましたが、現在、存在意義を失ったのかと言えばそうではありません。

日本刀はまさに買取価値が存在し、様々な買取専門店では、高額査定がされています。

日本刀は、現代において、どのようにして価値が決められているのかも、気になるところではないでしょうか。

今回は、そのような方々のため、日本刀の鑑定・査定の流れを解説します。

ぜひ一読ください。

日本刀には鑑定・査定価値が存在している

 現代社会において、日本刀はもはや人を斬るための道具ではありません。しかし、日本刀がなんの意味ももたらさなくなってしまったのかと言えばそうではなく、現在では、日本刀はアートとして高く評価付けされています。日本刀としての評価は「鑑定」や「査定」されることで決定されることになります。

国が鑑定していることもある

 日本刀は、一体どのような人たちが鑑定・査定しているのでしょうか。

日本では、日本刀を日本の長い歴史の中で継承されてきた国民的財産としての見方をし、文化財という認識をしています。

日本刀の中でも、特別重要性が高い文部科学大臣から指定を受けたモノは、重要文化財という扱いとなり、その中でももっと価値の高い日本刀は、国宝としての扱いとなります。

また、国宝に準じたアート的価値を有しているものは重要美術品としての扱い方がされています。

*1950年に文化財保護法が制定されたことによって、重要美術品の多数は、重要文化財の扱いとなっています。

公益財団法人「日本美術刀剣保存協会」

 日本刀の正しい価値を鑑定している機関には、公益財団法人「日本美術刀剣保存協会」があります。

公益財団法人「日本美術刀剣保存協会」は、信頼性の高い機関であるため、まさにここでホンモノの価値ある日本刀だと鑑定されれば、それをニセモノの日本刀だと疑う余地はありません。買おうと思っている人たちも、安心して取引と向き合うことができるでしょう。

このようにして、信頼できる国であったり、機関によって守られることによって、日本刀の価値も高いまま温存されてきました。

公益財団法人「日本美術刀剣保存協会」では、日本刀の鑑定を行い、所在を明確にし、重要視されている刀剣に対しては、図譜の作成をすることで整備・管理をしています。

日本刀剣保存会

 NPO法人である日本刀剣保存会でも日本刀の鑑定を行っています。

日本刀剣保存会は、文化遺産である日本刀を後世に伝え、日本文化の振興を促進するため生まれた団体として知られています。

月に一回、刀剣の鑑定会が開催され、鑑定書の発行が行われています。

日本刀の鑑定の区分

 国がらみで日本刀を鑑定する場合、区分は、

  • 重要文化財
  • 国宝
  • 重要美術品

となります。

また、日本美術刀剣保存協会による鑑定区分は、

  • 重要刀剣
  • 特別重要刀剣
  • 保存刀剣
  • 特別保存刀剣

となります。

重要刀剣とは、平安時代から江戸時代あたりにかけて作られた日本刀の中で、特別出来がよく、保存状態も優れているものに与えられます。国指定の重要美術品と同じ程度の価値があると言ってもいいでしょう。

特別重要刀剣とは、重要刀剣の中でも特別出来がよく、保存状態がいいものに与えられます。国指定の場合の、国宝同レベルの価値があります。

保存刀剣とは、江戸時代までに作成されている在銘の日本刀で、傷があったり、補修はされているもののそれ程美的価値を損なわないモノに与えられています。無銘の日本刀であったとしても、クオリティー、保存状態が良く、制作された年代であったり、国・系譜が読み取れるものも対象となっています。

特別保存刀剣とは、保存刀剣の中でも、特別保存状態が良く、出来のいい日本刀です。

鑑定書が発行される

 日本刀は鑑定されることで、鑑定書が発行されることになります。国宝に指定された日本刀には「国定指定書」が発行、重要文化財に指定された日本刀には「重要文化財指定書」が発行されています。

また、公益財団法人・日本美術刀剣保存協会が発行しているモノには、「認定書(現在は廃止)」や「鑑定書」「指定書」と言ったものがあります。

さらに、日本刀保存協会など民間の鑑定機関においても鑑定書が発行されています。

どのような日本刀が高く査定されている?

 あなたが売ろうとしている日本刀は、ニセモノであると判断されれば、買取がされない可能性もあるかもしれません。その買取価値は、鑑定・査定されることで決定します。日本刀の価値は、以下のような基準によって決定されています。

無銘であれば価値は下がる

 日本刀は「在銘」か「無銘」かで鑑定されることになります。鑑定士の方々は、銘を確認すれば、誰が作った日本刀なのかを知ることができます。

無銘であればおのずと査定価値が下がってしまうことになります。また、在銘の場合は、それがホンモノであるのかニセモノであるのかを追求していくことになります。

日本刀といえども価値あるものに装ったニセモノが流通しているため注意が必要です。もちろん、熟練した鑑定士の鑑定眼は、ニセモノの日本刀を厳しく見抜いていきます。

在銘の日本刀に対しては、ホンモノかを見極めるために銘に記されてある作者名であったり、日本刀が作られた国や流派などを軸として、作者の作風と一致しているか、また、その時代の作柄であるか……あたりを審議していきます。

無銘の日本刀でも価値は存在している

無銘の日本刀でも全く価値が存在しないということではありません。

無銘の場合は、鑑定士は銘をつきとめるための作業をしていくことになります。日本刀をおおかた古刀期(1596年以前)のものであるか、新刀期(1596年以降)に属するモノなのかに分け、刃の状態を見ます。そのときは日本刀に特殊なライトを照射し、刃紋をチェック、また、作られた国、流派・作者を推測していきます。

刀装も査定のチェックポイント

 刀装も査定のためのチェックポイントです。刀装とは、柄や鞘あたりの部分のことです。そのような場所の状態を、しっかり鑑定・査定し、作られた当時の形を維持しているかどうか、保存状態はどうか……などと言ったことを確認していきます。

「茎」(なかご)の確認

 「茎」(なかご)とは、日本刀を持つときに直接触ることが許された部分のことです。柄の中に込めるという意味あいから、そのような名前になったようです。茎は、作り手であったり、作者、エリアによって特徴があり、そのようなことをしっかり鑑定することで、流派あたりのことまでを知ることができます。

また、鑑定士が重視してみているのは茎の錆です。日本刀が作られて既に百年以上経過するような茎は、おおかたは錆びています。その錆は、実は安易な偽銘の防止にも貢献していたのです。

日本刀に格付けが存在している

 また、日本刀は、クオリティーによって格付けがあります。

「最上大業物(さいじょう おおわざもの)」は、日本刀の中でも特に切れ味が鋭くて、優れた日本刀です。

「大業物(おおわざもの)」は、最上大業物ほどの日本刀ではありませんが、切れ味が鋭く、優れた日本刀です。

「業物 (わざもの)」は、上等物レベルで、切れ味の鋭いクオリティーの高い日本刀です。

「準業物(じゅんわざもの)」は、並程度の日本刀です。

そして「なまくら」は、包丁よりは鋭いとしても、日本刀としての評価は、ちょっと物足りないレベルのモノです。

査定額がかなり高い日本刀もある?

 無銘の日本刀は査定してもらっても買取してもらえないのでは……と思っている方々もきっといらっしゃることでしょう。

しかし、日本刀は、無銘だとしても、査定額が高い場合もあります。

もちろん、銘があるものに比べ、買取価格は低くなってしまうことは避けられない問題なのかもしれません。しかし、鑑定・査定では、日本刀の状態もしっかりチェックしているため、有名な刀工の日本刀であったとしても、状態が悪いことで、かなり査定価値は下がってしまうことでしょう。

逆に、無銘な日本刀であったとしても、いい状態が維持されていることで、~数十万円程度の高額査定・買取を期待することができます。

ただし、買取店によっても対応も大きく違うため、本気でお持ちの日本刀を買取してもらいたいと思えば、複数のお店で査定を依頼することがおすすめです。

日本刀はニセモノだと査定額はつかない?

 いろいろなものを買取してもらっている方々がいらっしゃることでしょう。その多くは、ニセモノだと鑑定されれば、買取されることはありません。

日本刀にはニセモノが多くある

 日本刀には、ニセモノも多くある認識も必要です。贋作者というものが存在し、そのような人々は、薬品を使い人工的に錆色を茎に付加したりします。

しかし、一見良く出来た偽銘工作であったとしても人工の錆色は、厳しくチェックし見抜けるため、錆色の知識は大切だと言われています。

日本刀には、本物を見分ける厳しい目を持っている目利きが多くいます。しかし、それは、日本刀には、多くのニセモノが存在していることを明らかにしているようなものです。

日本刀をしっかり管理しようとするモチベーションが高まるほど多くのニセモノが今後も登場してきてしまうことでしょう。管理されることで、名匠の日本刀は、より価値を増していくことになります。名匠のものであれば、高く売れると判断すれば、高い費用をかけてでも、ホンモノに限りなく近いニセモノを作ろうという悪だくみもわいてくることでしょう。そのような過程において贋作者たちにも、相当高い技術が身についてしまうことになります。

最悪なことに刀匠と呼ばれる人たちの中にも、経済的な事情から贋作に関わってしまう人もいます。

日本刀は鑑定書があれば安心と言った見方もされているのですが、そもそもその鑑定書自体もニセモノであるのかもしれません。

日本刀はニセモノでも買取されることがある

 日本刀はニセモノでも高価査定し、買取されることがあります。もはや、ニセモノであったとしても、そこに贋作者の技術が集結しているからとも言っていいのかもしれません。

そして、ニセモノの日本刀であったとしても、切ることができれば、それは紛れもなく日本刀なのです。価値はそうとう下がってしまうでしょうけど、そのようなものでもいいから、インテリアとして飾りたいと思っている方々もいらっしゃることでしょう。

まとめ

 いかがでしょうか。今回は、日本刀の鑑定方法について解説しました。

日本刀は、国や機関によって管理され、ホンモノか、ニセモノかを見極めそこに査定価値が生まれることになります。

日本刀がしっかり管理されることによって、価値はおのずと孤高なものになっていくことでしょう。

一方で必然的に登場してしまうのがニセモノの日本刀です。買取専門店では、そのような日本刀でも高額買取することがあるので、不安なものでもぜひ一度査定してもらってみてはいかがでしょうか。



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