2023.11.14

皆さんの食卓に並んでいる食器はどこのブランドですか?

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食器

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食器は和食、中華、イタリアンなど食べている料理ごとに食卓に彩りを与えています。

Baccarat(バカラ)、WEDGWOOD(ウェッジウッド)、Meissen(マイセン)など誰もが知る高級ブランドの多くは海外で生まれて育まれてきました。

「四季」を感じながら「品」を大切にしている日本人。私たちの国にも大人気ブランド「たち吉」があります。

この記事を読めば、日本の人気ブランド「たち吉」の特徴や歴史について深く理解できるのはもちろん、食器を収集していく際の参考や手放すときに高く買い取ってもらうための査定のポイントまで理解できます。

「たち吉」は宝暦2年(1752年)京都生まれの老舗和食器ブランド

 たち吉は令和4年(2022年)に創業270年を迎え、「永く使えて、飽きが来ない。」をコンセプトにした愛好家の多い老舗和食器ブランドです。創業当時からの伝統と繊細で丁寧な仕事で今もなお愛され続けています。最近では、シンプルで日常使いのできる食器として若い女性からの支持も受け、結婚式での引き出物としても人気です。

「たち吉」は町民に茶の湯の憧れと「器」の楽しさを伝える

 江戸時代の京の町民たちは茶の湯に憧れを抱き、「器」の楽しみ方を学んでいました。目利き揃いの京の町で創業者の塚本長九郎が創業したのが前身である「橘屋吉兵衛」です。当時、茶の湯は武士にとっての嗜みであり、京の町民にとっては憧れの趣味でありました。戦のない平和な時代が続いた江戸時代に、たち吉は町民たちに日常の喜びとして「器」を楽しむ文化を育んでいきました。

戦火をくぐり抜けた「たち吉」は大火事を転機に贈答品としての和食器ブランドへと変化

 明治27年(1894年)に屋号を「たち吉」と変更した後も、大正・昭和と幾度も京都は戦火に晒されました。創業時から京都四条富小路で営業を続けていた「たち吉」は昭和25年(1950年)に本店が隣家からの失火により焼失してしまいました。創業200年を目前として、質の良い和食器を扱っているブランドとして20代の女子から絶大なる人気を誇っていた時の出来事です。大火事を契機に、当時の経営者の冨田忠次郎の手によって「たち吉」は大きな転機を迎えることになります。

贈答品としての和食器を身近にする挑戦

大火事で本店を失ってしまった忠次郎は、被害を免れた和食器を闇市のように特売を行い再起を目指しました。当時高級だった「たち吉」の食器を手の届きやすい価格帯で販売したことで、「器」を楽しむことを学びました。特売で購入した若者の中には今でも愛好家として収集している方もいるようです。忠次郎は燃えてしまった本店を半年で再建し、陳列方法に工夫を凝らし、食器一式まとめて売るという販売方法も取り入れました。暮らしの中に「器」の楽しみを与え、「四季」と「品」を感じさせるたち吉。お世話になっている人にも使ってもらいたくなるように日常の食器から贈答品としての食器と変化していきました。現代では結婚式の引き出物としての需要を獲得したり、リサイクルした商品を創作したりと時代に即したブランドへと進化しています。

創作陶器へのこだわり 使う人と贈る人の心に寄り添うための商品開発

 当時の和食器店では、窯元から問屋が仕入れた商品をそのまま売るという小売店がほとんどでした。たち吉は窯元に使う人のことを考えた商品開発の提案を行い、独自の商品を作らせて売るという「創作陶器」という考え方を生みました。「使う人の心に寄り添って、日常に楽しさを与える和食器のお店になる。」という創業時の伝統を守りながらも、時代に合わせて努力を続けています。

日本人の「品」を追求するたち吉の特徴

日本人が昔から大切にしていた「品」や「繊細さ」は、たち吉の和食器では様々な場面で感じられます。

海外の観光客からお土産としても用いられて世界中に愛好家が増えています。たち吉の特徴について詳しく見ていきます。

日本全国の産地で作られる塗り物、焼き物、ガラス食器

たち吉では使う人の心に寄り添い「しみじみと心に通う贈り物」のコンセプトとして、創業地である京都府の京焼・清水焼だけでなく日本全国の窯元から滋賀県の信楽焼や岐阜県の美濃焼など北は北海道から南は長崎県までの陶磁器も取り揃えています。また東京都の江戸切子など陶磁器に限らずガラス食器まで様々な器や箸まで開発しています。

四季折々の顔を見せるたち吉の和食器たち

たち吉の商品には四季を感じさせるモチーフのものが多くあります。夏の暑さの中に涼を感じさせる「水音」は透明感のあるガラス食器を水面に見立て若葉から滴る雫を落として波紋を表現しています。秋の豊かな実りを感じさせる「粉引彫文」は草木をあしらって秋を表現するなど、山の幸や海の幸をいただくには最適です。

たち吉の人気シリーズ3選!

白菊

 たち吉の中でも一番のロングセラー商品です。白い菊の形の食器で、菊の文様をくっきりとした凹凸で表現しています。和食のみならず中華料理などの汁気の多い料理でも合わせることができます。華やかさと上品な雰囲気を醸し出せる食器として昭和58年から40年以上も愛され続けています。

鳥獣戯画

 三羽のウサギとカエルが織りなす物語の躍動感のある絵を紅や藍色の線で描かれた作品です。京都の右京区に伝わる国宝の絵巻物からユーモアのある場面を切り出しています。パッケージとしても動物がコミカルな動きで描かれており、ギフト用として人気があります。

匠の伝承

 全国の産地で作られている有名作家の作品が販売されています。職人が一つ一つ手作りで制作している為、生産できる数が限られています。高価で買い取られやすい、たち吉のシリーズです。

陶磁器以外にも漆器や茶器、ガラス食器などが取り揃えられています。

和食器の高価買取の査定ポイントはズバリ作家と窯!

作家

酒井田柿右衛門

 酒井田柿右衛門は肥前国の有田焼の陶芸家です。大和絵や花鳥図などを乳白色の陶器に暖色系の色彩で描かれる柿右衛門様式という陶磁器の作風を確立し、ヨーロッパなどにも輸出されマイセン窯などでも模倣品が作られるほどに有名です。酒井田柿右衛門は個人の名前ではなく、後継者が襲名する名跡です。初期の柿右衛門の作品が高価で取引されています。

今泉今右衛門

 今泉今右衛門は肥前国の有田焼の陶芸家。緻密な作風が特徴的な色鍋島という作風を確立した作家です。今右衛門の名前も個人の名前ではなく、後継者が襲名する名跡です。江戸時代には将軍家の献上品として採用され赤絵の調合や技術が一子相伝で伝えられています。

辻村史朗

 辻村史朗は奈良県の山奥に自宅と窯を作り今も作品を創り続けている陶芸家です。独学で陶芸を学び、ドイツをはじめ、イギリスやアメリカで個展を開催し世界中に愛好家のいる作家です。上の二人とは違い名跡ではなく、作家本人がいなくなってしまうと作品は今後生産されなくなるため今後価値が上がっていく作品とも考えられます。

美濃焼

 岐阜県東部の多治見市や土岐市などで1300年以上前から生産されている焼き物の種類です。日本全国で生産されている6割以上が美濃焼を言われており、丈夫で日常使いされることも多く、その希少性の低さから高価で買取されることは少ない窯です。

伊万里焼

 伊万里焼は高級陶磁器の一種として有名です。有田焼の一種であり初期の古伊万里と中期以降の伊万里焼とに分類されます。古伊万里は江戸時代に作られ骨董品としての価値のある作品のことを指します。朝鮮で作られた陶磁器の技法がとりいれられており、その美しさや希少性からヨーロッパの王国貴族からも愛されて世界中に熱狂的なコレクターがいます。明治以降の伊万里焼は柿右衛門様式や鍋島様式で生産されています。一般に流通されている伊万里焼は中期以降の伊万里焼を指すことが多いです。丁寧な仕事と鮮やかな色彩から骨董品としての価値がなくても高価で買取をされる商品です。

備前焼

 備前焼は岡山県備前市を産地とする陶磁器であり、日本六古窯の一つです。釉などを使わず窯変によって生み出される同じものがない模様が特徴です。陶磁器としての歴史は古く鎌倉時代から備前焼が生産されており茶の湯の道具としての地位を確立しました。安土・桃山時代に茶道の発展とともに備前焼の価値は上がっていきました。派手さはないが飽きが来ない陶磁器として今でも使われています。

「たち吉」の和食器を高価で買い取ってもらうポイント4選

たち吉の和食器の特徴や和食器の高価買取のポイントである作家や窯について学んできました。和食器の買取依頼をする前に少し気を付けるだけで高く買ってもらうポイントを紹介します。

食器をきれいにする。

 たち吉の魅力は、日常使いできる実用性と見た目の美しさです。日常使いをしていれば多少なりとも傷がつきます。それでも、丁寧に使用していれば未使用品でなくても買取してもらえます。使用済みのものであれば目立った汚れを落としておきましょう。未使用品であっても軽く水洗いをしてきれいにしておくと買取事業者の査定価格も上がります。また、水洗いする際はタワシなどで傷がついてしまうとせっかくの美しさが台無しになってしまうので、やわらかい布やスポンジで丁寧に洗うことをおすすめします。

付属品もつけて売る

 たち吉の食器は贈答品として開発されている為、公式の店舗で購入する場合は、シリーズごとに箱のデザインを変えていたり、サンドペーパーなどの付属品や商品説明の冊子が同封されていたりします。使う人のことを考えられた「たち吉」ならではの特徴的な心遣いです。捨てないで取ってあるならば、付属品もまとめて販売すると高価で買い取ってもらえます。

同じセットはまとめて売る

 たち吉の食器は、夫婦茶碗や茶碗と湯呑などセットでまとめて販売されているものが多くあります。たち吉の食器を使って食卓に彩りを与えてもらいたいとの「たち吉」の思いからセットで販売されています。長年使っていると割れてしまったり、欠けてしまったりしているときはしょうがないですが、購入時と同じセットで揃っているならばまとめて買取依頼した方が高価で買取してもらえます。

専門の鑑定士がいる買取事業者に依頼する

使用済みの食器は買取できない商品も数多くあります。買い取り事業者の中には、たち吉の食器とわからず一枚10円程度の査定が出されることもあります。せっかくのたち吉の食器を買い取りしてもらうのならば、専門の鑑定士がいて正しい評価をしてもらえる買取事業者に依頼をすることをおすすめします。

まとめ

本記事では「たち吉」の歴史を見ていきながら、商品に対する思いや特徴についての解説をしていきました。和食器を高価買取してもらう際の査定のポイントや「たち吉」の食器を高く買い取りしてもらう際のポイントについてもまとめました。海外の高級食器と比較しても劣らない日本の職人の生真面目で丁寧な生産と、使う人と贈られる人の心に寄り添った商品開発、販売方法にまでこだわりを持つ老舗食器ブランドの「たち吉」は世界に多くの愛好家がいる商品です。その商品を手放すのなら少しでも高く引き取ってもらいたいと思うはずです。その手助けにこの記事が役に立てたら幸いです。弊社では食器専門の鑑定士も在籍しておりますので、売却をお考えの方は是非お気軽に弊社にお問い合わせください。



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