2024.01.24
絨毯
2024.01.24
ペルシャ絨毯を購入してみたいとお考えの方、またはペルシャ絨毯に興味はあるものの「高級そうで手が出そうにない」「日本の部屋に合うのかな」、などといった不安や心配をお持ちの方はいらっしゃいませんか。そもそペルシャ絨毯という名前は、誰しも一度くらいは聞いたことがあると思いますが、それがどのようなものなのか、知っていますか。
ペルシャ絨毯には、繊細な美しさと長い歴史があり、世界中で愛されている織物の最高傑作です。ペルシャ絨毯は、その高い品質と実用性、芸術的な価値により、古代から贅沢品として使われています。
ペルシャ絨毯の特徴のひとつは、その卓越した技術によって生み出される美しさです。ペルシャ絨毯は、高度で熟練の技術を持つ職人の手によって、1枚1枚丹念に制作されます。絨毯の美しさは、細部に至るまでの緻密さ、色、模様、そして織り方における繊細な手仕事の結果、現れます。また、ペルシャ絨毯は、その耐久性も特徴のひとつで、高品質な素材と丁寧な手仕事がそれを実現しています。ペルシャ絨毯は、しばしば世代から世代へと受け継がれ、年月が経つにつれてさらに価値を高めていく逸品なのです。
目次
ペルシャ絨毯と呼ばれるものには、次の2つの要素が入っていなければなりません。1つは、イラン国内で製造されたものであること。2つ目は手織りの絨毯であること。これらどちらか1つでも欠けているものは、ペルシャ絨毯とは言えません。
ペルシャ絨毯の歴史は、古代ペルシャ(現在のイラン)まで遡ります。紀元前に制作されたと考えられているペルシャ絨毯の起源となるものが発見されており、幾千年という、想像もできないほどの長い時間を経て、今なおその伝統が受け継がれているのです。イランは、古代ペルシャの時代から、様々な王朝によって統治され、現在のイラン・イスラム共和国へと発展してきました。ペルシャ絨毯は、いつの時代も芸術品であり贅沢品として、多くの宮殿や寺院、邸宅を彩り、シルクロードをはじめ、国際市場でも高く評価され、取引されてきたのです。
ペルシャ絨毯の最盛期は15001年代〜1600年代、サファヴィー朝の時代です。現存していて、ペルシャ絨毯として確認されているものの多くは、この時期のものです。これらの貴重な絨毯は、ヨーロッパの美術館や博物館で鑑賞することができます。
ペルシャ絨毯の条件の1つは、イラン国内で製造されたものであるということです。イラン以外にも、トルコやアフガニスタン、パキスタンやウズベキスタンなど中央アジア各地や中国、インドなどでも似たような絨毯が作られていますが、それらはペルシャ絨毯とは呼べません。
さらに、イラン国内には数多くのペルシャ絨毯の工房があり、その正確な数は把握されていないほどです。産地だけでも数十箇所から、数え方によっては数百あると言われています。ペルシャ絨毯はその産地によって、デザインや色調、柄などに異なる特徴を有しています。これは、地域ごとに異なる歴史的背景や文化的要素が絨毯に影響を与えた結果です。
さらに、ペルシャ絨毯がペルシャ絨毯であるための条件は手織りであるということです。ペルシャ絨毯には、織りだけでなく、その前にはデザイン画を作成し、原毛であるウールを洗い、染色し、糸を縒るという工程があります。その後、織りの工程に入りますが、この工程には最低でも半年、デザインやサイズによっては数年という長い年月を要します。一目、1ミリかそれにも満たない大きさの目を人の手で織り、長さ90センチ~300センチにもなる絨毯を織っていくこの過程はペルシャ絨毯の要と言えます。さらに織り終わった絨毯は、洗って乾燥させ、形を整えてようやく完成します。
これほどまでに、手間と時間をかけて制作される絨毯ですから、高価な贅沢品として認められるのも当然だと言えるのではないでしょうか。
ペルシャ絨毯は、今やひとつのブランドとして確立された伝統的芸術品です。アパレル関係を始め、どんなものでもブランド品の人気が高まればそれに類似した商品やコピー商品が出回り始めます。ペルシャ絨毯も例外ではありません。ここからは、本物のペルシャ絨毯と偽物の絨毯をテーマに解説していきます。
前述の通り、ペルシャ絨毯と名乗るための条件は「手織り」であることです。それが、イランおよびペルシャ絨毯の伝統と技術の継承を象徴する要素でもあります。
産業革命以降、イギリスでは機械織り絨毯が制作されるようになりました。もちろん、これは時代の流れに伴い、機械化が進んだ結果であり、人を欺く目的で制作されるものではありません。
その中で、イギリスのウィルトシャーという町で18世紀ごろから作られ始めた織物にウィルトン織りというものがあります。このウィルトン織り絨毯は、高密度で耐久性にも優れた絨毯で、機械織りの中でも高級だと言われています。また、グレードや柄、デザインが豊富で、そのデザインによってはペルシャ絨毯と間違えられることもあります。
機械織りの絨毯と手織りの絨毯の違いは、形に歪みがあるかどうかです。機械で織られた絨毯は、歪みがなく、その線がまっすぐであるのが特徴です。一方、手織りの方には多少の歪みが生じます。また、フリンジにも違いがあります。フリンジがある場合、ペルシャ絨毯では経糸がそのままフリンジになるのに対し、ウィルトン織りはフリンジを本体に縫い付けてあります。
なお、近年、イラン国内でもヨーロッパから輸入した機械で作られた絨毯が制作されていますが、これはイランで制作されていますがペルシャ絨毯とは呼ばれません。
機械織り絨毯は、そもそも人を欺く目的で制作されたものではなく、一般に流通している絨毯やカーペットは機械織りが主流であり、何ら問題ありません。しかし、これらの絨毯が、あたかも本物のペルシャ絨毯であるかのように宣伝され、販売されていることが問題なのです。オンライン通販や、オークション、フリーマケットサイトにはこのような模造品がペルシャ絨毯として出品されている場合があるため、注意が必要です。
機械織り絨毯で、デザインや柄がペルシャ絨毯のようであれば、売る方も買う方もそれを「ペルシャ絨毯」として売買したとしてもそこに悪意はない場合もあるかもしれません。しかし、中には、本物のペルシャ絨毯に、ブランド化された工房のサインが入れられたものがあります。これは、有名な工房の名前を利用した悪質な手口です。イランには数十、数百というペルシャ絨毯の工房がありますが、その中でもそれぞれの産地ごとに有名な工房が存在します。それらの工房の名を騙って販売される絨毯は、本来の絨毯そのものの価値が高くとも、偽のサインが施されたばかりに、価値が下がってしまうということもあり得ます。
ペルシャ絨毯には、模造品が流通しているということはお分かりいただけたでしょうか。では、ペルシャ絨毯は、一体いくらの値段で取引されているのでしょうか。 ペルシャ絨毯の値段は、サイズやノット数(織り目の数)、素材(ウールかシルクか)など、様々な要因によって異なります。
サイズによって値段が変わるのは、本物のペルシャ絨毯は手織りのため、サイズが大きくなればなるほど、時間と手間がかかるからです。
ノット数とは、絨毯の織り目のことですが、ノット数が多ければ多いほど、目が詰まっていて手触りもよく、高品質であるとされています。織りの回数が多いため、その分丁寧な手仕事であると言えます。したがって、ノット数が多くなると、値段も高くなります。
ペルシャ絨毯の素材は、主にウールとシルクの天然素材です。逆に、素材が化学繊維である場合には、偽物である可能性が高いでしょう。日本では、高級感のあるシルクが人気で、値段も高い傾向にあります。しかし、シルク製はデリケートで摩擦に弱いという特性があるため、毎日食事をして汚れる可能性があり、椅子を出し入れすることが多いダイニングテーブルの下に敷いて使うのには向いていないかもしれません。また、ウールだからシルクより質が劣るなどということもありません。
さて、ペルシャ絨毯に興味をお持ちの方なら、インターネットで検索したり、実際の店舗へ足を運んだりしたことがあるでしょう。そこで「半額セール」「70%OFF!」というような広告を目にしたことはないでしょうか。またはオークションサイトやフリーマーケットサイトで1万円~数万円という商品が目に留まったことはありませんか。
本物のペルシャ絨毯をお求めの場合は、このような法外な値引きやあまりに値段の安い商品には注意が必要です。なぜなら、本物のペルシャ絨毯は小さいものでも10万円以上はするのが普通だからです。
では、本物のペルシャ絨毯を買うにはどうすればいいのでしょうか。
まずは、ペルシャ絨毯は「イランで製造された、手織り絨毯」であるということを念頭に置いておくことです。イラン以外で製造されたものは、それが手織りであれ、機械織りであれ、ペルシャ絨毯とは呼ばれません。また、手織り絨毯であっても、イラン以外で作られたものもペルシャ絨毯とは呼ばれません。
次に、ペルシャ絨毯を実際に自分の目で見ることです。ペルシャ絨毯は非常に奥が深く、素人が一朝一夕にその良し悪しを判断するのは至難の業でしょう。したがって、インターネットを通してペルシャ絨毯を購入するのは避け、実際に自分の目で見て、自分が気に入るものを探すことが大切です。
日本では、有名な産地や工房名を掲げて販売する業者が多くあります。もちろんそれらの産地や工房は生産量も多く、有名であることにはそれなりの理由があるでしょう。しかしながら、イランには、数十以上の産地があり、数えきれないほどの工房が存在します。また、日本では人気がないけれども、海外では人気のデザインや色調などもあるでしょう。ですから、ペルシャ絨毯を選ぶ上で、最も大切なのはその品物を自分が好きかどうかではないでしょうか。名前やブランドで選ぶのではなく、色やデザイン、手触りなどを自分で確かめて選ぶことです。ペルシャ絨毯は決して安い物ではありません。また、丁寧に使えば、次の世代まで受け継ぐこともできます。だからこそ、自分が気に入ったものを探すだけの価値もあるのではないでしょうか。
ここまで、ペルシャ絨毯の特徴とともに、本物と模造品の違いや値段について解説してきました。本物のペルシャ絨毯を見極めるためには、やはり実際に多くの実物を自分の目で確かめる必要があるでしょう。そして、産地やブランド、格安の値段などに左右されることなく、自分が好きだと思える絨毯を探すことが大切です。
弊社でも、ペルシャ絨毯を取り扱っておりますので、ペルシャ絨毯の購入や売却をご検討の場合は、ぜひ一度お問い合わせください。