古伊万里焼の魅力って何でしょうか？

この日本が世界に誇る磁器は、約400年前の有田が起源です。

特に、江戸時代の作品は「古伊万里」と称され、世界中で愛されています。

古伊万里が世界中から絶賛される理由

その人気の秘密は17世紀に遡ります。当時、中国の政治的混乱で磁器の生産がストップ。そこでオランダ東インド会社が、中国磁器の代わりに古伊万里焼をヨーロッパに持ち込んだのです。

ヨーロッパでは、宮殿や城を豪華に飾るために、大きくて華麗な磁器が求められていました。特に「柿右衛門」スタイルの磁器が大ヒット。乳白色の背景に繊細な絵が描かれ、王侯貴族から熱狂的な支持を受けました。この影響は、ドイツのマイセン窯まで広がりました。

1680年代以降、ヨーロッパの王侯貴族は東洋文化に傾倒し、大型の壺や瓶が大量生産されました。17世紀後半にヨーロッパに渡った伊万里焼は、ただの高級品ではなく、ステータスシンボルとしても位置づけられました。

初期の伊万里焼は白と青のシンプルなデザインでしたが、ヨーロッパでは「大きさ」と「華やかさ」が求められました。その結果、青、赤、金といった鮮やかな色に、豪華な絵付けがされた巨大な作品が多く輸出されました。

古伊万里焼は、磁器の輸出が一時的に停止したことが発端で、その美しさで世界に名を馳せたのです。

日本独自の技法

日本独自の技法が古伊万里焼の魅力の一つです。たとえば「染付け」や「色絵」といった手法があります。

初期の伊万里焼は、白い背景に青色で描かれたデザインが主流でした。このスタイルは「染付」と呼ばれ、シンプルながらも美しい絵柄が多く、中国の磁器からの影響が見られます。また、厚く塗られた釉薬（ガラス質のコーティング）のため、作品には指跡がしばしば残っています。さらに、重ね焼きする際にくっつかないように、砂が底部に付着しているのも特徴です。

技術が進化した後期の作品には、これらの特徴は少なくなりますが、アンティーク愛好者にはこの初期の特性が「古拙の美」として評価されています。

古伊万里焼は、多様なデザインと形状から多くのコレクターを魅了しています。各作品が持つ独自の美しさにより、コレクションの楽しみは尽きることがありません。

このように古伊万里焼は美しさ、独特の技法、歴史的価値、国際的評価、そしてコレクションの楽しみなど、多面的な魅力を持っています。

これらが絶妙に組み合わさり、古伊万里焼は今も多くの人々に愛され続けています。

古伊万里焼の価値を見るポイント

古伊万里焼は、その美しさと歴史から多くの人々に愛されています。

しかしその価値をどこでどう判断すればよいのでしょうか？

高く買取される古伊万里の特長

古伊万里焼の価値を見るポイントとしては、製造時期と様式が鍵となります。

その中でも江戸時代初期のものは高い価値があります。

古伊万里焼は、製造時期によって価値が大きく変わりますが、特に江戸時代初期に作られたものは非常に高価です。

1610年代～1630年代に作られたものは「初期伊万里」と呼ばれ、歴史的価値と希少価値が高いです。

次に色彩が鮮やかで花鳥図が精緻な柿右衛門様式についてです。

1660〜1690年頃に多く作られた柿右衛門様式は、赤・緑・黄・青などの色彩で鮮やかで精緻な花鳥図を描いているのが特徴です。柿右衛門様式は世界的にも評価が高く、価値があります。

豪華な配色と金彩が特長の金襴手様式について説明します。

1690～1740年頃に登場した金襴手様式は、白磁に色絵付けと金彩で文様を表す豪華な配色が特徴です。金襴手様式は、各色に焼成を重ねる独特の製法があります。

金をはじめとする多彩な色を使うため、手間と時間がかかるのが特徴です。そのため、陶芸界では最も難易度の高い様式とも評されています。

古伊万里焼の買取価格を高める3つのポイント

古伊万里焼の買取価格は、いくつかの要素によって大きく変動します。

以下に、買取に際して特に注意すべき3つのポイントを詳しく解説します。

保存状態が重要

保存状態は買取価格に直接影響を与える重要な要素です。

磁器が割れている、欠けている、または色が褪せている場合、その価値は大幅に下がります。

理想的には、湿度と温度が一定の場所で保管することが望ましいです。特に、柿右衛門様式や金襴手様式などの色鮮やかな作品は、色の鮮度が価値を左右するため、紫外線から遠ざけることも重要です。

製作時の共箱があるとプラス評価

古伊万里焼が製作された当時に付属していた共箱（ともばこ）があると、その価値は高まります。

共箱は作品の真正性を証明するものであり、保存状態を良く保つ役割も果たします。共箱が手元にある場合は、それを明示することで買取価格が上がる可能性が高いです。

陶印の有無もチェックポイント

陶印は、作品がどの時代やどの作家によって作られたのかを示す重要な証拠です。

特に、江戸時代初期のものや柿右衛門様式、金襴手様式など、歴史的価値と希少価値が高い作品には、陶印がしっかりと刻まれていることが多いです。陶印が確認できる場合、それは買取価格にプラスとなる要素と言えます。

以上の3点をしっかりと確認し、買取店に持ち込む前に自分自身で状態を把握しておくことが、高価買取の秘訣です。

偽物を見分けるための3つのポイント

伊万里磁器は、古い陶磁器の中でも特に人気があります。しかし、その人気ゆえに偽物も多く出回っています。

専門家は色々な複雑な方法で伊万里磁器を鑑定しますが、初心者には難しいものも多いです。そこで、初心者でも簡単にできる３つのポイントを紹介します。

表面のテカリを確認

古伊万里焼は時間が経つと、自然なやわらかな光沢が出てきます。新しい磁器は表面が明るく輝いていますが、古くなるとその輝きが控えめになります。これは、長い時間が経つことで表面が自然にすり減っているからです。

新品のようにピカピカと輝いているものは、偽物の可能性が高いです。特に、江戸時代初期の作品などは、その時代ならではの落ち着いた光沢があるはずです。

形状の歪みに注目

古伊万里焼は手作りであり、製造過程で温度ムラが生じることが多いです。そのため形状には自然な歪みが存在し、形が完全には整っていません。

もし作品が完全に均一な形状をしている場合、それは工業製品である可能性が高く、偽物である可能性があります。

チェック方法は簡単です。皿を横から見て、縁が曲がっているかどうか確認します。形が整っているものは偽物の可能性が高いです。

表面の小傷をチェック

本物の古伊万里焼は長い間使われたり保存されたりしているため、表面に自然な小傷がたくさんあります。これらの傷は自然に散らばっているのが普通です。

一方、傷がきれいに並んでいたり、傷が全くないものは、偽物である可能性が高いです。

特に、傷がわざとつけられたように見える場合は、要注意です。

このように、傷が故意につけられたように見えたり、または傷が全くない場合は、偽物である可能性が高いといえます。

以上の3つのポイントをしっかりと確認することで、古伊万里焼の真贋をより確実に判定することができます。

購入や買取の際には、これらの要素を念入りにチェックしましょう。

知っておくと役に立つ裏技の鑑定方法

ここでは、あまり知られていない鑑定方法についてご紹介します。

これを知っておくだけで、偽物を見分けるのが上手になります。

目跡をみると偽物がわかる

「目跡（めあと）」とは何か知っていますか？

これは、皿などの陶磁器を作るときに使われる小さな支えのことです。

例えば、皿を作るとき、高温で焼くと皿が柔らかくなってしまいます。そのため、皿の中央部分が下がってしまうことがあります。そこで、この「目跡」という支えを使って、皿がきちんと形を保てるようにします。

この「目跡」をよく見ると、本物と偽物を見分ける手がかりになります。

古い本物の「目跡」は、何百年も使われているので、触っても全然ひっかかりません。

でも、新しい偽物の「目跡」は触るとちょっと鋭い感じがします。

なぜこれが大事かというと、偽物を作る人は、このような細かい作業を面倒くさがるからです。だから、この「目跡」をチェックする方法は、今のところはかなり有効です。

もし次に陶磁器を買うときがあれば、この「目跡」をチェックしてみてください。それが本物か偽物か、ちょっとした手がかりになるかもしれません。

初心者が古伊万里のコレクションを始める際に知っておくこと

知識をつける

古伊万里についての基本的な知識を身につけましょう。歴史や特徴、種類などを理解することが大切です。

予算に合わせた状態で、少しずつコレクションを増やしていけば、古伊万里焼に関する知識も自然に深まります。この知識が、後に高額な古伊万里を購入する際の判断基準となり、失敗を防ぐ役割も果たします。

少額からスタートする

最初から高額な品を狙うのではなく、少額の古伊万里の収集から始めましょう。

例えば、柿右衛門様式や金襴手様式など、高額な作品を狙う前に、初期伊万里や比較的手頃な価格のアイテムから始めることができます。

購入先を工夫する

オークションサイトやアンティークショップなど、購入先を工夫することで、予算に合った良質な一品を見つけることができます。

信頼性のある販売元を選ぶことで、偽物を避け、長期的に楽しめるコレクションを築くことが可能です。

コレクションは一生の楽しみとも言えます。

無理なく、そして確実に素晴らしいコレクションを築くためには、予算と知識、そして購入先の選び方が重要です。焦らず、自分のペースで楽しむことが最も大切です。

まとめ

古伊万里焼の陶器は、その美しさと歴史的価値から高く評価されています。

しかし、その価値を正確に評価するためには、保存状態や陶印、そして目跡など、多くの要素を考慮する必要があります。

これらのポイントを押さえ、賢いコレクションを始めましょう。