2024.01.24
像
2024.01.24
仏像めぐりのツアーが頻繁に行われたり、仏像関連の本が多く出版されたり、また、仏像に関連した展覧会が開催され、100万人もの人たちが訪れたりと、世間の仏像の関心度の高さをうかがい知ることができます。
また、仏像は、買取専門店に持ち込みすることで、鑑定・査定され高額で買取されることがあります。
果たして、鑑定士は、仏像のどのような点に注目しているのでしょうか。
今回は、これから仏像を買取してもらうという方々のため、鑑定・査定の方法を解説します。
ぜひ一読ください。
目次
まずは、鑑定・査定の下準備として、仏像が何かを正しく理解することも大事です。
仏像は何から作られているのでしょうか。
仏像は、いつもキラキラ輝いている存在であるため、金属製であると思っている方も多いでしょう。
確かに、仏像は、銅の表面に金メッキされたようなものも作られています。しかし、日本において圧倒的パーセンテージを占める仏像は、木で作られたものなのです。
日本以外の国のことを言えば、金属の仏像だけではなく、石でできた仏像も登場しています。
また、日本では、奈良時代には漆(うるし)でできた仏像、土でできた仏像も登場しています。
土でできた仏像があると言えば、驚く方もいるかもしれません。しかし、実際に国宝となっているもの(當麻寺金堂の弥勒佛坐像)もあります。
石の仏像は、パキスタンのガンダーラ地方や、インドのマトゥラー地方、また、中国、朝鮮半島あたりで盛んに作られてきた歴史があります。日本でも石の仏像が受け入れられた時代はあるのですが、ごくごく限定的です。東大寺南大門の仁王像の裏に、大きな石の獅子像を見つけることができます。
銅の仏像は、仏像というものが伝来した6~8世紀あたりに登場しています。ただし、純粋100%の銅製のモノではなく、錫であったり鉛が混じり、その表面は金をうすくメッキし光り輝くような仏像の出来栄えとなっています。
昔から金はとても貴重であるため、比較的安価でできるメッキの技法が取り入れられています。
漆(うるし)の仏像は、日本では奈良時代には登場しています。土で作った土台、木で作った土台があり、その上におがくずなどとともに漆を混ぜ(木屎漆(こくそうるし))、漆にひたした布を張り重ね作り出していきます。
日本で一番多い仏像のタイプは、木の仏像です。飛鳥時代には、クスノキ製の仏像が多く、次第に時代は流れ、カヤやヒノキへと素材は変化していきます。
かつては一木造(いちぼくづくり)と呼ばれる、像の多くをひとつの木から彫り出す作業をしていたのですが、平安時代には、複数ある木から、仏像を作り出す寄木造(よせぎづくり)の技法が登場しています。
仏像の種類にもいろいろあります。こちらも押さえておきたいポイントです。
如来(にょらい)は、釈迦(仏教の開祖)が悟りを開いた姿だと言われています。
・阿弥陀(あみだ)如来
・釈迦(しゃか)如来
・薬師(やくし)如来
・大日(だいにち)如来
あたりは、仏像の中でも最高位に位置付けられ、貴重な仏像として知られています。
如来の特徴は、螺髪(らはつ)と呼ばれる「パンチパーマ」の髪の毛です。
菩薩(ぼさつ)には、悟りを求める者という意味あいがあり、仏陀になることを目指し修行している者たちのことです。人間も悟りを求めて修行を積めば如来になれるという希望があります。
・観音(かんのん)菩薩
・弥勒(みろく)菩薩
・文殊(もんじゅ)菩薩
・地蔵(じぞう)菩薩
と言ったものが菩薩の面々です。
明王(みょうおう)は、如来の教えに従わない者たちを救おうとする仏像です。明王は、普段怒りの表情をし、動的ポーズをとっています。「お不動さん」と呼ばれる不動明王が一般的です。
炎を背中にまとった勇敢な姿には圧巻されますが、本当は心優しい仏だと言われます。
天部(てんぶ)は、守護神的存在の仏像です。仏教を信じようとする心を邪魔しようとする者たちから守ってくれています。
・毘沙門天(びしゃもんてん)
・大黒天(だいこくてん)
・弁財天(べんざいてん)
・韋駄天(いだてん)
・帝釈天(たいしゃくてん)
あたりが天部として知られています。
昔から存在している仏像は、仏師(ぶっし)という人たちが作っています。日本でも多くの仏像が作られてきました。それは、仏像が日本に伝わってすぐのことです。
日本においての仏師という人たちのルーツは、仏教が伝来するとともに、中国や朝鮮半島から移住してきた職人集団だったようです。
奈良時代になれば、国営の仏像を専門的に作る施設が作られるようになり、より意欲的に仏像が作られることになります。
仏師を尊敬する弟子たちも多く誕生し、師匠から技術を学びどんどん仏像が盛んに作られることになります。
また、奈良の大仏など巨大な仏像があるのですが、そのようなものは多額の資金も必要ですし、仏師だけの力でどうにかできるものではありませんでした。そこで、資金を募ったり、土木作業を依頼したりと国民たちも仏像作りに巻き込んだ作業が行われていました。
仏像を買取専門店に持ち込みすることで、高額買取が期待できることがあります。
買取専門店でまず仏像に対して鑑定士が、本物か偽物かを判別していくことになります。
鑑定士は、
・年代
・作者
などの要素で、買取価値のある、つまり本物の仏像かどうかを見極めていきます。
その仏像がオリジナルか偽物かを見極めるために、鑑定士がまずしていることは、本物の仏像をよく見ることです。
江戸時代、両替商に丁稚奉公(でっちぼうこう)として入れば、まずは日々純金の小判を嫌と言うほど見せられたと言います。純金の小判の重さであったり、肌触りなどと言ったものをじっくりと直に見て、それから混ぜ物を入れた小判を見れば、どの程度混ぜ物が混入しているのかがわかると言います。それを可能とするためにも気が遠くなるほど本物をじっくり見る必要があります。
仏像を鑑定する際には年代や作者だけでなく、素材も大事な要素です。一般的な仏像の素材としては、木材であったり、銅など金属、また、石材や粘土、漆などが使用されています。また、それ以外の素材が使われることもあり、白檀や金などのような価値の高い素材で作られている場合は、より高値買取を期待することができます。
特に、金の相場は日々変動するため、買取してもらう場合には、高騰しているタイミングを狙うといいでしょう。
また、買取専門店では、鑑定士が、保存状態がどうなのかを見極めていきます。やはり腐敗していたり、錆びているようなものであれば、買取額は期待通りではないこともあります。
普段からうっかりミスなどで仏像を壊してしまうことがないように、慎重に扱うことを心がけるといいでしょう。そもそも安易な扱いは、バチが当たってしまうかもしれません。
また、独自の間違った方法でお手入れをすることで、逆に仏像を傷めてしまうリスクもあるため、むやみやたら掃除するのも控えたいです。
どうしても汚れが気になるときはホコリをサッと払い落とす程度に留めておくといいでしょう。
そもそも仏像という存在のほとんどが古いものであるため、時間が経過すれば劣化してしまうものです。そのあたりは鑑定士も理解できていることであるため、充分考慮した買取額が提示されることもあります。
それでもより高く売りたいと思えば、できるだけ早く鑑定・査定してもらう気持ちも大事です。
また、箱など付属品がある場合は、それらすべてをセットの状態で鑑定・査定してもらうことも高値で買取してもらえる大きなポイントです。
箱に落款が押してあるものであれば、鑑定士が年代や製作者、本物なのか偽物なのかをスムーズに判別・鑑定することができるようになります。
骨董品の説明書の中には、筆書きで素人目ではこんなものが役に立つのだろうか?と思ってしまうような難解なものもあります。しかし、そのようなものでも、もちろん鑑定士の目から見ればとても役立つ資料です。決して安易に捨ててしまうことのないように。
また、何点も仏像を含めた骨董品がある場合には、まとめて鑑定に出すことでより高値で買取される可能性があります。
仏像を鑑定・査定してもらうとき、実は業者としっかり交渉することも効果的なのです。交渉能力にも関与しますが、交渉次第では初めに業者から提示された査定額よりも、大幅にアップするケースも少なくありません。
鑑定士による仏像の鑑定は絶対であるかもしれませんが、査定ではそれぞれの買取業者の販路などの事情もあるため、それぞれバラバラの買取額がつきます。
仏像の買取価格をアップさせるための手法のひとつが、他の買取業者の買取価格と比較することです。たったひとつの買取業者だけでは、その業者がつけた査定額に正当性があるものかわかりにくいことがあります。
頑張って複数の店舗で鑑定・査定をしてもらうことで、実際にどの程度の買取価値があるのか、比較して答えを見いだすことができます。
いかがでしたでしょうか。今回は、仏像の鑑定・査定方法などについて解説しました。
仏像を買取専門店に持ち込みすれば、鑑定士がその仏像を鑑定・査定します。
鑑定士によって、その仏像の買取価値が決定されます。
鑑定士は、様々なポイントから、鑑定し、査定額を提示します。
また、その仏像が価値あるものだと鑑定されたとしても、それぞれの買取業者によって、査定額は違いがあります。
仏像を買取して欲しいと思っている人たちも、そのあたりのことまで理解して、複数鑑定・査定を依頼するなど努力をしてみることをおすすめします。