2024.11.22
作家名
2024.11.22
ジャン=ピエール・カシニョール(1935年7月13日 ~)は、フランス画壇を代表するアーティストです。
何気ない日常風景の中に、特徴的である帽子をかぶる女性が描かれている絵と言えば、「ああ、あのアートね」と思いつく方々も多いことでしょう。
カシニョールは、誰もが一度は遭遇したことがあるであろう、とても知名度の高いアーティストです。
また、憂いを帯びた女性の背景を彩る花々であったり、草木からはノスタルジックな雰囲気が滲み出し、甘美さであったり、哀愁のようなものを感じとることができます。
今回は、そんなカシニョールのアートを深堀します。
目次
ジャン・ピエール・カシニョールは1935年、パリの名が知られているオートクチュールの家に誕生します。
才能に満ち溢れたカシニョールは、既に17歳という年齢で、パリのルシー・クロッグ画廊において、はじめての個展を開催し、多くの人たちに注目されるようになりました。
その後、カシニョールは、シャルパンティエ・アカデミーパリ美術学校へ入学をします。
卒業後、フランス・パリを舞台とするだけでなく、ニューヨークにおいても華々しく活躍をしています。
また、カシニョールは、24歳という年齢で、サロン・ドートンヌ会員に推薦されています。
その後1960年から1962年までは兵役の時期もありました。
1964年には、パリのティヴェイ・フォコン画廊においてカシニョール展が開催されています。
実際には、まだ日本では無名だったのですが、日本の有名な画廊オーナーがカシニョールに目をつけたのもこの頃だと言われています。
その後、カシニョールは世界的に注目されるようになり、世界の様々な場所で個展が開催されるようになったのですが、そこに導いたのは、まさに日本の有名な画廊オーナーの功績があったからとも言うことができます。
カシニョールは、アートをアトリエだけで完成させています。
カシニョール曰く、アートを創造しているときは、おのずと頭の中から様々なインスピレーションがわいてくるものである。しかし、よく女神が肩の上に舞い降りてくる……などと言った言い方がされることがありますが、そんな感じではない……と。
カシニョールの頭の中には、様々な現実的な断片が存在します。アトリエでは、海辺であったり、庭の中……などといった情景の断片を書き写す作業をしているということです。カシニョールは、ある特定のモチーフについてだけ制作しているという訳ではないようです。
また、カシニョールのお気に入りの場所は、ノルマンディ地方のドーヴェルだということです。カシニョールにかぶれているという方々は、一度ノルマンディ地方のドーヴェルへ訪れ、どこの風景がアート作品に断片として落とし込まれているのか確認してみるのも楽しい体験ではないでしょうか。
また、カシニョールは、インタビューの中で、絵とは喜びの源である、私がみなさんに絵を通し幸福であったり、朗らかさをごくごく小片でも提供する事が出来たのであれば私にとってこれ以上の幸福はありません……とも語っています。
まさに、カシニョールは絵を通して、私達に幸せになることができるひとときを提供してくれていたのです。
カシニョールは、日本の人たちにも人気のアーティストであるだけでなく、世界の人たちが心地よいと感じているアーティストです。
世界の人たちには、様々な言語の違いがあり、宗教にも考え方にも違いがありますが、せめてカシニョールのアートでつながっているということができるのではないでしょうか。
カシニョールがよく描く大きな帽子をかぶった女性は、憂いを帯びたような表情が儚げに感じられ、しなやかなしぐさに漂っている雰囲気が甘美的美を滲ませています。
そのようなカシニョールのアートを、世界中の人たちが「いいね」といい評価してくれているのです。
また、カシニョールのアートには、時の移ろいの中に優美な女性がたたずみ、さらに悠々と時を刻む美しい自然が存在します。
世界中の人たちは、カシニョールのアートの中に時間の中に存在している人間のはかなさ、もの悲しさを感じ取っているのかもしれません。そして、人間よりも全然偉大なのは自然の方であり、人間は自然に対して屈服しなければならない存在です。しかし、そこには屈辱感など何も感じられず、カシニョールが描きだした美しい調和性を感じるばかりです。
20世紀のはじめ、芸術の都であるパリを目指して、世界中から若いアーティストたちが集結し、自由な生き方をし、かつ、それぞれアーティストたちの出身国の民族性を反映させたオリジナルワールドを創りだしてきました。
シャガールであったり、藤田嗣治、モジリアーニなどと言ったアーティストたちを総括し、「エコール・ド・パリ」と呼ぶことがありますが、実際には、まだまだ多数のアーティストたちが誕生しています。カシニョールもそのひとりです。カシニョールも、魅力あるエコール・ド・パリの流れを汲んだ現代フランス具象絵画の巨匠として世界中から注目を浴びることになります。
カシニョールのアート作品「さくらんぼのタルト」は、頬杖をついて物思いにふける女性像を扱っています。
まさに、カシニョールのアートだ!と思える作品ですね。
手つかずのタルトに、中は空のようにも見えるカップ、そして側に佇むワンちゃん……。ワンちゃんは、食べられていないままのタルトを気にしているかのような感じもします。
コーヒーだけは喉に通すものの、食べ物は全く手つかず、彼女は、食欲がないのでしょうか……。何か考え込んでいるかのような様子でもあり、女性からは憂鬱な雰囲気がします。
しかし、重々しい感じの憂鬱でもなく、穏やかな気候の中、彼女の重々しい気持ちもさらっと流されていくかのような感じです。また、さらっと流してくれるのは、そこを絶えず流れる時間なのかもしれません。
時間がさらっと流してくれるのであれば、それはそれで、やはり人生ってはかない……という気持ちにもなってしまうものです。
そう人生って、はかないものなのです。でも、生きている限りは人生を謳歌したいですし。憂鬱は憂鬱でもそれ以上の深みにはまらないことが大事です。
カシニョールのアートには、映画のワンシーンかのようなドラマ性を感じます。そして、鑑賞する人たちによって表情を変えることもし、魅力に満ち満ちています。
ワイングラスのアートでは、ワイングラスは比較して小さく描かれて、かえって女性の方が力強く描かれ、視線をこちらに向けています。
グラスの中身は空っぽのようですが、果たしてこの女性が飲んだのでしょうか。とすれば、ある程度酔っていることになります。それともそうではなく最初から空っぽだったのかもしれません……。しかし、それでもこの女性が着ている服からイメージして、彼女は赤ワインが好きなんだろう……ということまで勝手に想像してしまったりもします。
みなさんも良く知っているでしょう黒柳徹子さんは、何度もカシニョールのモデルとなるとともに、カシニョールの良き理解者の一人であったと言われています。
黒柳徹子は、カシニョールのアートについて、たくさんのアーティストが活躍している中で、どんなにたくさんのアートが溢れかえろうとも、その中にカシニョールの絵が点在すれば、専門家でなくたってすぐにそれを見つけ出すことが出来ると語っています。
女性が何気ない日常風景の中で佇んで、優雅で甘美、かつほど良い気品も感じさせ、瞳であったり、表情には憂い感じさせる……。そんなカシニョールの描く女性像に既に多くの人たちが魅了されています。
カシニョールのアートは、日本から火が点いたとも言うことができます。その理由には、日本は古くより美人画の伝統が存在し、土壌に根付く目が存在していたからかもしれません。
2013年11月にアメリカの大手オークション会社で開催されたオークションにおいて、カシニョールの60号の油彩が893,000ドルという高額で落札され話題となっています。1ドル120円で計算した場合1億716万円という価格です。
アーティストをお金で判断するのはどうか……?という意見もない訳ではありませんが。やはり金銭で順列を決めなければ基準が存在しないというのもアートの宿命のようです。
それぞれの方々が「このアートはいいね」と言っているだけでもいいのだと思いますが、もっと大きな力をもち、人を呼び寄せる力をもつものはやはり金銭の基準値です。
カシニョールのアートは、この作品だけでなく他の作品も世界的に高い人気と評価を得ており、買取額も高額で推移しています。
現在、ジャン・ピエール・カシニョールのアートを所有していて、売却査定して欲しいと思っている方々もいらっしゃることでしょう。
ジャン・ピエール・カシニョールが創造した油彩に対しては、比較して高額売却査定の価格がつく場合が多くあります。
一般的に言えば、カシニョールのアート作品で手に入りやすいのは、リトグラフなどと言った版画をあげることができます。
版画の場合、数十部から数百部刷ることもあり、積極的にリトグラフアートを制作していたことから手掛けた版画は、入手しやすい傾向があります。
また、エディションナンバー入りで、刷った部数が少なめで、カシニョールの手書きサインのあるアート作品は数十万円の売却査定額がつくことが多いです。
一方で刷った数が多く、また、版上サインであったり、サインがないリトグラフは数万円程度に売却査定額が下がることもあり、同じカシニョールの版画アートでも、内容により価値は様々です。
人気が高いアーティストは、それだけニーズが存在しているということができ、その作品の売却価格も高くなる傾向にあります。油彩だけでなく、リトグラフなどの版画でも同じことが言え、人気リトグラフの買取額は高め傾向です。
ただし、人気のあるアート作品でも、状態が良くないものであれば、それだけ売却査定額も下がってしまうことがあります。
長い年月経過してしまうことで、日焼けであったり劣化などが起こって状態は悪くなりがちになります。ですから、高額買取を期待しているのなら、日頃から湿度に注意したり、直射日光を避けるなどして、保管時の対応を意識してください。
いかがでしょうか。 今回は、カシニョールのアートについて解説しました。
カシニョールは、ズバリ、日本人の方々が好むようなアートなのです。日本人の方々が、海外の人たち以上にカシニョールのことを評価していることでしょう。
カシニョールのアートは、お部屋のインテリアとしてどのようなシーンでも上手く調和させることができるアートです。
現代ポップアートはちょっと……。優雅であったり、エレガントな雰囲気を求めている方々におすすめです。