2023.11.27

香月泰男の「シベリア・シリーズ」の魅力と買取査定・売却について紹介

Category

作家名

Tags

香月泰男は、昭和を代表する洋画家で、自らの戦争体験によって、「シベリア・シリーズ」を描いたことで有名です。

彼は、1949年から20年間にわたって「シベリア・シリーズ」を描きます。

香月泰男の描くシベリアの絵は、彼の体験と思いから「黒と黄土色」の世界に包まれているのが特徴です。57点もの多くの絵を描き、見る人に様々な思いを感じさせる作品となっています。

そんな独特な香月泰男の作風は、評価が高く貴重なものです。彼の作品の魅力と特徴について紹介していきます。

また、作品の売却ができるのか、買取査定はどのくらいなのかについても詳しく紹介しますので、参考にしてください。

香月泰男とは

1911年生まれで昭和を代表する洋画家の一人です。生まれ育った山口県大津郡三隅町(現・長門市)で生涯創作活動を行った人物です。ふるさとの自然や愛する家族を題材とした油彩画、パステル、版画などがたくさんあります。

また、1942年太平洋戦争で満州へ行き、1945年にシベリアで抑留された体験が制作活動に大きな影響を与えた人物と言えるでしょう。

1949年から20年間にわたって「シベリア・シリーズ」を描いた作品が有名です。

香月泰男は、独特の墨を使った素描画が特徴的と言えます。

黒と黄土色で描かれた世界、香月泰男の作品の特徴と魅力について、なぜそのような絵を描くことになったかを詳しく紹介していきます。

香月泰男の作品の特徴と魅力

香月泰男自身、「生きることは、私には絵を描くことでしかない。シベリアを描きながら、私はもう一度シベリアを体験している。 私にとってシベリアとは一体何であったのか。」と振り返っています。

1931年に東京美術学校に入学すると、若くして才能を評価された香月泰男です。

卒業後は美術教師となり、ゴッホや梅原龍三郎に憧れながら、オリジナルの作風を模索します。彼の戦前の作品は、明るい色彩と抒情にあふれた画風が魅力と言えるでしょう。ふるさとの自然を愛し、家族を題材とした絵が多くなっています。

そして、太平洋戦争に召兵されることになったことで、作風が一変します。1945年~1947年までの2年間極寒のシベリアでの抑留生活を経験。戦後しばらくは、動物や身の回りの風景などを明るいタッチで描いていた彼ですが、1949年に「埋葬」から始まる「シベリア・シリーズ」を20年間にわたって制作。シベリアでの飢えと寒さで死んでいく戦友の老兵たちを、描かずにはいられなくなります。そこから、黒と黄土色の世界が特徴となっていきます。

「シベリアのことなんか思い出したくはない。しかし、白い画布を前に絵具をねるとそこにシベリアが浮かび上がってくる。絵にしようと思って絵にするのではない。絵はすでにそこにある」と彼は言います。彼は、自らの記憶や衝動に押されながら絵を描いていたと言えるでしょう。

「戦争を体験することがなかったなら、単調に一生を費やしてしまうことになっていただろう。私の一生のど真中に、そのことがあったがために、私が私になり得ようとするのに役立つ。」と振り返ります。シベリアでの経験に真正面から向き合い、後半の人生をかけてそれを作品にしてきたことで、彼自身を模索した結果になりました。そのために、多くの人は、彼の絵に心を奪われてしまうものと言えます。

香月泰男の経歴を紹介

1911年山口県大津郡三隅町(現・長門市)に開業医の息子として生まれる。幼い頃両親が離婚し、厳格な祖父に育てられる。川端美術学校を卒業

1931年東京美術学校に入学、藤島武二の教室に学ぶ

1934年「雪降りの山陰風景」が国画会展で初入選

1936年美術学校卒業後、北海道庁立倶知安中学校(現・北海道倶知安高等学校)の美術科教師として着任。その後、山口県立下関高等女学校(現・山口県立下関南高等学校)に転任する

1939年梅原龍三郎、福島繁太郎の知遇を得る。「兎」で第3回文部省美術展覧会特選受賞

1942年太平洋戦争勃発により召集を受け、兵として満州へ

1945年ソ連に抑留され、シベリア、クラスノヤルスク地区のセーヤ収容所で強制労働に従事。これが原体験となり、その後の作品全体の主題・背景となる

1947年シベリア抑留から引き揚げ、下関高等女学校へ復職

1948年郷里の三隅へ戻り、山口県立深川高等女学校(後に大津中学校と統合し、大津高等学校となる)に転任

1949年「シベリア・シリーズ」の最初の作品「埋葬」を描き始め、以降20年間描く

1960年大津高等学校を依願退職。その後しばらくは創作活動に専念

1966年九州産業大学に新設された芸術学部油絵科の主任教授を委嘱される

1969年「シベリア・シリーズ」で第1回日本芸術大賞を受賞

1974年三隅町で62歳で死去

香月泰男の有名作品

・「兎|1939年」

28歳の頃に描いた作品で、第3回文部省美術展覧会特選を受賞しています。落ち着いた色合いの中にそれぞれの部屋にたたずむ兎3匹が描かれています。日常的な周りの景色も多く丁寧に描いている作品です。山口県の「香月泰男美術館」にある初期の頃の作品です。

・「シベリアシリーズ|1949年~1969年」

第2次世界大戦後に、自らのシベリア抑留体験をもとに57点の油彩からなる作品を制作していて、これらが第1回日本芸術大賞を受賞し、高く評価されています。

・「埋葬|1948年」(シベリア・シリーズ)

「シベリア・シリーズ」で最初に描いた作品です。顔に白い袋をかぶせられて埋葬される人、それを下を向きながら静かに埋葬する人が描かれています。様々なことを思わせる、静かな空気感を伝える構図です。色合いは割と明るいのですが、それだけに辛い風景と言えます。山口県立美術館に所蔵されています。

・「北へ西へ|1959年」(シベリア・シリーズ)

貨車に乗せられてどこに連れて行かれるのかもわからない、捕虜の顔が柵の中でたくさん集まっている作品です。自らの体験を描いたもので、暗い中に多くの人の必死の顔が描かれている印象的な作品で、山口県立美術館にあります。

・「運ぶ人|1960年」(シベリア・シリーズ)

油彩で描かれた作品で、「人が麻袋を運んでいるのではなく、麻袋が人間に運ばせているという感じだ。(中略)運搬機械と化した奴隷だった。」と彼自身が解説している作品です。画面いっぱいの真っ黒い麻袋の中に人の悲痛な顔が描かれている作品です。山口県立美術館所蔵となっています。

・「青い太陽|1969年」(シベリア・シリーズ)

「シベリア・シリーズ」で、晩年になって、色が少し使われるようになった作品です。20年間「シベリア・シリーズ」を描き続け、黒一色の中から、青い太陽が大きく描かれるようになってきた、少し安堵するような作品です。山口県立美術館にあります。

作品が見られる場所を紹介

「シベリア・シリーズ」の「朝陽|1965年」「〈私の〉地球」「絵具箱」などの原画が山口県長門市の「香月泰男美術館」にあります。晩年までの作品や、アトリエを復元したものなどが展示されているためそれらを一度に見ることができます。「兎|1939年」「椿|1960年代」なども見られます。

また、「埋葬|1948年」「ダモイ|1959年」「北へ西へ|1959年」「黒い太陽|1961年」「〈私の〉地球|1968年」「青の太陽|1969年」など有名な「シベリア・シリーズ」の作品が、出身地の「山口県立美術館」に多く展示されていてこちらもおすすめです。

そして、「水鏡|1942年」の作品が「東京国立近代美術館」にもあります。油彩で描かれていて、水槽の暗い中を男の子が真剣にのぞき込んでいるモノクロの色合いの作品が所蔵されています。「雪|1969年(シベリア・シリーズ)」の作品もあり、極寒の雰囲気を黒一色の濃淡で様々に表現しています。他の「シベリア・シリーズ」も所蔵されています。

また、「京都国立近代美術館」には、香月泰男の亡くなる年の1974年の版画作品として、街の風景や植物の版画が多く所蔵されています。

香月泰男の作品の売却は可能?買取査定はどのくらいなのか

香月泰男の作風は、シベリアでの抑留体験を題材にした「シベリア・シリーズ」の作品が有名です。

1950年代末には、黒と黄土色をメインにした作風が多くを占め、60年代以降も多くの油彩画を描いています。これらが、香月泰男らしい作品のため、売却する際にも評価が高く、高い買取査定となっています。

香月泰男の作品は多く出回っていますが、依然として人気です。油絵やパステルの原画は売却時も高くなっています。ただし、版画の場合は買取査定が一部以外は厳しい傾向です。

そして、具体的には売却時に高い買取査定となるのは、彼らしい「黒と黄土色」のインパクトのある絵です。「シベリア・シリーズ」の油絵は、多くは美術館に所蔵されているため、売却されるものは少ない傾向です。その他の植物や風景を描いたものは流通しており、買取査定は数10万円~数100万円となっていることから売却時の買取査定額に幅があります。

パステル・デッサンも暗いトーンで描かれたものの方が高額買取査定となっています。数10万円のことも多いでしょう。

版画では、「シベリア・シリーズ」の1969年に制作された4枚の連作「雪・窓」「運ぶ人」「雪」「避難民」が高評価です。「母子像」シリーズも人気があります。

まとめ

香月泰男の作品の特徴と魅力について紹介しました。

香月泰男は、山口県で長く画家活動を行った人物です。ふるさとの自然や家族などを描きましたが、太平洋戦争への召兵、シベリアでの抑留体験を機会に、「シベリア・シリーズ」を描くようになります。

作風は一変し、「黒と黄土色」の世界を描き始めます。「シベリア・シリーズ」を描くことで、彼が見つめたもの、絵として表現したものは、多くの人の心を打つでしょう。いろいろ考えさせられる作品が多くなっています。そのため、高い評価も得ている作家です。

今、高額で買取査定してもらえる所を探すのも良い方法ですし、もっと高く売れる状況を待って売却をすることも可能です。

ぜひ、紹介した香月泰男の魅力をよく知った上で、買取査定と売却について検討されることをおすすめします。



« »

この記事をシェアする

Category

Tags

この記事をシェアする

あなたにおすすめの記事

人気記事