2024.01.24
刀剣
2024.01.24
「越前康継(えちぜんやすつぐ)」という名を聞いたことがあるでしょうか?
越前康継の越前とは、福井県北東部の「越前国」のことです。
そして、越前康継は、江戸時代の頃、関東地方の武蔵国(東京都、埼玉県、神奈川県の一部)でも作刀を始めたため、その刀工のことを「康継」、康継の祖のことを「越前康継」と呼ぶようになりました。
※通称は「下坂市左衛門」(しもさかいちざえもん)
越前康継の名を用いた刀工は、武蔵国では12代、越前国では10代も続き、貴重な刀工の技や伝統を受け継いでいます。
越前康継の刀は、全体的な取引数は減少しているものの、現在も継続して取引されています。
現にネットオークションでも取引事例があり、数十万円の価格で落札されています。
越前康継の作品も骨董屋や古道具買取専門店での査定、買取を行っています。
大切に飾っていたけれど、不要になってしまった刀、古屋敷に保管されていた昔の品物など、廃棄処分する前に買取相場の目安、売却の際の注意点についてしっかりと押さえておきましょう。
越前康継は、ブランド価値のある刀を作っていたため、専門家による丁寧な鑑定を依頼すると、思わぬ高値がつくことも多いことを知っておいてください。
本記事では、大切に保管していたけれど、不要になってしまった越前康継の作品の買取相場、できる限り高値で売るコツ、保管やお手入れの方法、売却時の注意点などについて、有益な情報を含めてわかりやすく解説します。
目次
越前康継は、1554年に近江国(現滋賀県)生まれました。
名前は下坂市左衛門です。
江戸時代の越前国・武蔵国の刀工としてその名を馳せました。
1596年から福井県北部の越前に移住し、徳川家康の次男、越前北ノ荘藩主結城秀康のお抱えの鍛冶職人となりました。
その後、家康・秀忠によって江戸での鍛刀を命じられました。
その時、徳川家康から「康」の字を賜ったことで「康継」と改銘しました。
そして、葵の御紋を作刀の茎に切ることを許されました。
この章では、越前康継の簡単な経歴について解説しています。
越前康継の出身は近江国・坂田郡(現滋賀県米原市)とされています。
越前康継は、現在の岐阜県大垣市で作刀をしていた「赤坂千手院派」の刀工であった実の父親(美濃赤坂千手院広長)から作刀の指導を受けていました。
そして、鍛刀術をひと通り学んで習得した後、諸国を遍歴して修行を重ねました。
越前康継は、文禄年間(1593〜1596年)において、官位「肥後大掾」(ひごだいじょう)を受け取っていたため、初期のこの時期に作られた刀については、「肥後大掾下坂」の銘が入っています。
「関ヶ原の戦い」直後の1600年(慶長5年)9月に、越前康継は、福井市にある福井城城主として入国した徳川家康の次男「結城秀康」(ゆうきひでやす)から作刀の腕を高く評価されて、40石を給されてお抱え刀工になったことが知られています。
また、1606年(慶長11年)には、結城秀康に推薦され、江戸幕府の御用鍛冶にもなりました。
そのとき、徳川家康から直接「康」の字を賜り、「康継」と改銘することになりました。
「康継」が正式な刀工名となったことがきっかけで、「徳川家」の家紋として誰もが知る「葵の御紋」(あおいのごもん)を切ることが許されました。
それ以後、越前康継といえば「御紋康継」(ごもんやすつぐ)や「葵下坂」(あおいしもさか)と呼ばれるようになりました。
また、越前国と江戸との間で、隔年勤務が命じられるようになったため、江戸と越前国の両方に、康継を名乗る刀工が生まれるようになりました。
江戸と越前国の康継を見分けるには、同工の表記を見てください。
例えば、「江戸〇代」や「越前〇代」のように、活動地域と何代目であるのかの情報が記載されています。
初代は、非常に優れた技量の持ち主であったため、「大坂の陣」で焼けた名刀の再刃にも携わったことが知られています。
蘇った名刀の一部は次の通りです。
当時の初代の名刀は、「豊臣秀吉」も収集した名品も数多く存在し、「大坂の陣」においては大坂城落城の折に焼かれてしまいました。
このように、越前康継は研究熱心な刀工であったことから、名刀の再刃のほか、名刀の模作も鍛造していました。
また、南蛮貿易で入手した「南蛮鉄」を素材とした模作もいくつか見かけることがあります。越前康継は、初めて南蛮鉄を使用した人物としても知られています。
三代目継承のときに、「二代越前康継の嫡男」と「二代越前康継の弟・四郎右衛門」との間で継承争いが起こりました。
最終的に「三代越前康継」は嫡男が継いで江戸系を名乗り、弟・四郎右衛門は越前系を名乗ることとなり、「越前三代」と呼ばれました。
越前康継の家系は、この時に江戸系と越前系に二分されてしまいました。
どちらの家系も明治時代の11代目までは続きました。
しかし、両家には嗣子がなかったために断絶してしまいました。
この章では、越前康継の刀についての解説や評価を行います。
越前康継の場合は、三代目以降は江戸系と越前系に分かれてしまうため、同じ刀工でもかなり評価が異なりますのでご注意ください。
康継の場合は、初代と二代の出来が特に優れています。
康継の作風は、少し難しい表現による評価となりますが、大変巧妙な仕上がりです。
地鉄(じがね)は、板目肌(いためはだ)に柾目(まさめ)が交じっています。
刃文は、広直刃(ひろすぐは)又は互の目乱れ(ぐのめみだれ)になっています。
さらに、足(あし)・二重刃(にじゅうば)・喰違(くいちがい)・打除け(うちのけ)も入っています。
康継が持つ独特のほつれ刃が交じり、沸出来(にえでき)となり匂口(においぐち)明るいとされています。
特に切れ味に影響する物打ちは、飛び焼き交じって覇気があるため、大変素晴らしい作品です。
初代、二代とも康継は、両方とも力量が素晴らしく、業物(わざもの)の刀を作っていました。
添える拵えにも青貝鞘に赤銅魚子の秋草金具の拵が使用されていたりすると、さらに名品であると評価されています。
越前康継の買取相場もありますが、骨董屋や刀剣の専門家によって大きく評価が異なるため、実際に個別に鑑定を依頼したほうがその時点での現在価値がよりはっきりとします。
2023年9月24日現在の情報によると次のようになっています。
「刀 康継」は18件の商品の出品、直近30日の落札件数は6件、平均落札価格は134,573円です。
新品参考価格 8,279円
オークション平均価格 直近30日:134,573円
この章では、自宅などで大切に保管していた越前康継の作品を高価買取してもらうために、重要となるポイントについて簡単にまとめています。
越前康継に限らず、日本刀は、単なる武器ではありません。
日本固有の製法で作られており、海外からのコレクターにも高い人気のある高価な工芸品です。
また、歴史的な評価が与えられた日本刀には、「重要文化財(重文)」の指定を受けたものがあり、そのうち、「世界文化の見地から価値の高いもの」は「国宝」の指定を受けています。
国宝に認定された日本刀は、貴重な文化財として博物などで保管されており、数億円の価値があります。
例えば、最も高価な日本刀といえば、岡山県瀬戸内市の備前長船刀剣博物館にある国宝「太刀無銘一文字(山鳥毛)」で5億円とされています。
日本刀は、刀の種類や状態で価格が決定します。
長さによって種類が分かれており、数万円〜購入可能です。
骨董品なら公益財団法人日本美術刀剣保存協会が発行する「鑑定書」があると査定額が高くなります。
鑑定書のランクは次の通りです。
価格相場の目安 | 解説 | |
特別重要刀剣 | 500万円〜 | 最も高いランク |
重要刀剣 | 100〜500万円 | |
特別保存刀剣 | 30〜500万円 | |
保存刀剣 | 10〜100万円 | 骨董の価値はあるが多少傷あり |
人間国宝の作品 | 200万円〜 | 人間国宝認定の職人 |
現代刀 | 数十万円〜 | 1876年廃刀令以降の作品 |
越前康継の作品を買取する業者は数多く存在します。
初めての日本刀買取なら、日本刀に関して豊富な買取実績実績のある業者がおすすめです。
越前康継の作品を正しく評価ができる日本刀買取業者を選びましょう。
業界でどの程度の実績年数があるのか、買取実績数、具体的事例などを参考にじっくりと探してください。
コンプライアンスを重視し、警察、法律家、国税庁などと連携しながら、モラルの高い取引が可能かどうかも業者の良し悪しを判断する大切なポイントです。
即日出張査定買取・持ち込み買取などに柔軟に対応しているかどうかも重要なポイントです。
また、自宅などの指定の場所において、査定〜契約完了までが可能で、その日に現金が手にできるかどうかも確認しましょう。
引っ越しや遺品整理などで時間がないときでも、その場で現金払い可能なら、後日面倒な手続きの手間や時間も必要としません。
ただし、買取額が高額になる場合は、指定の銀行口座振込入金にも対応していることを確認しましょう。
無料査定のみならず、出張料や査定料、キャンセル時のキャンセル料も全て無料の買取業者を推奨します。
査定額がそのまま受け取れるのかどうかもよく確認しましょう。
荷物の不着・破損が心配なら、宅配キットも無料で利用可能で運送保険もついている買取業者もあります。
最後に越前康継の作品の買取時の注意点について簡単にまとめました。
日本刀の売買には「銃砲刀剣類登録証」が必要です。
銃砲刀剣類所持等取締法に則り、未登録品・模造刀の買取りはできないので十分にご注意ください。
登録証が無いまま所持を続けたり、売買を行ったりすると、違法です。
速やかに、所轄の警察署の生活安全課へ電話で連絡してください。
登録証の取得や内容の変更には、次の3つのケースがあります。
刀剣類が美術品に該当するかどうか、といった教育委員会の審査なども含めて、登録証取得には半年ほどかかることがあります。
刀剣1点毎に審査手数料・再交付手数料などが必要です。
日本刀以外にも、当時納められていた外装(拵え)、鐔(つば・鍔)・縁頭(ふちがしら)・小柄(こづか)・目貫(めぬき)などの金具も買取対象となることが多く、査定額に影響します。
本記事では、越前康継の値段はいくら?買取相場や高く売るコツ、査定買取で注意すべきこと!と題して、詳しく解説いたしました。
これから越前康継作の刀剣の作品の査定・買取を検討している方は、この記事をご参考にしていただけますと幸いです。
もし、今お持ちの越前康継の作品の査定・買取を検討している方がいらっしゃいましたら、ぜひ弊社にもお問合せください。