2024.01.24
焼き物
2024.01.24
九谷焼は日本の陶器の中でも世界的にも人気のある焼き物として有名ですが、所有している九谷焼が実際にどれほどの価値があるものなのかは、ちょっと見ただけではわかりません。
「実家の蔵の中を整理したら出てきた器が九谷焼っぽいけれど、これはそもそも九谷焼なのだろうか?」
「鑑定費用って高いのかな・・・」
「どうしたらこれが九谷焼だということが分かるんだろう?」
など、九谷焼かどうかの判断ができずに困っている方は意外に多いものです。
当記事では次の事柄について説明していきます。
当記事を読むことで、皆様の所有している焼き物が九谷焼なのかどうか、またその鑑定方法や鑑定費用の相場を理解いただけます。
ぜひご一読ください。
目次
九谷焼を鑑定する大前提として「この焼き物は本当に九谷焼なのかどうか」の判断が必要です。
九谷焼かどうかを見極める前に、そもそも九谷焼がどんな焼き物なのかをお伝えします。
九谷焼は石川県南部を産地とする陶磁器です。
大胆な構図と華やかな雰囲気の中にも力強さを秘めており、柿右衛門や色鍋島、仁清と並ぶ日本の色絵磁器として人気があります。
1655年、加賀藩の命により九州の有田で陶器の技術を学んだ後藤才治郎が九谷村で開窯したのが始まりといわれている九谷窯ですが、およそ50年経った1700年代初頭に、九谷窯は突然閉じられます。
この50年のあいだに焼かれたものが「古九谷」とよばれています。
その後約100年後の1807年、加賀藩が京都から招いた青木木米が金沢の春日山で開窯して以降、加賀地域に開かれた多くの新しい窯が生み出したものが「九谷」です。
古九谷は、閉窯までの50年という短い期間に生み出された陶磁器なので、現存数も少ないがゆえに特に希少価値があります。
九谷以上の力強さを感じさせるところに独特の魅力がある焼き物といわれています。
古九谷、九谷の別なく、九谷焼は「上絵付け」を施しているのが特徴の色絵陶磁器です。本焼きした陶磁器の釉薬の上に顔料で模様を描き、もう一度焼成するのが「上絵付け」です。九谷焼では磁器質の白い土を使用します。この白い器の上に「呉須(ごす)」で藍青色の線描きをし、「五彩」と呼ばれる赤、黄、緑、紫、紺青の五色の絵の具を厚く塗りながらつくります。中には五彩のうちの赤を使わない「青九谷」や赤絵金彩の「赤九谷」と呼ばれるものもあり多様です。
所有の九谷焼を鑑定する方法について、順を追ってお伝えします。
その前にまず、鑑定と査定の違いをお話しします。
最近はテレビ番組などでも古美術の鑑定番組が放送されていますが、そもそも「鑑定」と「査定」は違います。
どちらも骨董品や美術品の価値や価格を決めるものですが、ひとことでいうと「鑑定」はそれが本物かどうかを見極めることで「査定」はその骨董品の買取額を決める行為になります。
ここでお伝えするのは「鑑定」方法であることをご理解ください。
所有の九谷焼が本物かどうかを見極めるにはいくつかのポイントがあります。その中でも、素人の方でも分かる可能性があるポイントを3つご紹介します。
所有の九谷焼本体に刻印があるかどうか、また共箱にサインがあるかどうかを確認してみてください。ちゃんと読めなくても大丈夫です。鑑定の場合、識別可能かどうかより、あるかないかが重要になります。これがあればまずは第一関門クリアです。しかし当然、サインですらすでに贋作であるおそれはありますので、サインや刻印があればすべて問題解決とはならないことをご理解ください。
特に九谷焼の場合、古九谷と九谷の2種類があるため、年代が確認できるかどうかは非常に重要なポイントとなります。年代については器本体ではなく共箱に書いてある場合がほとんどです。箱の記載内容を確認してみてください。
また、年代の見分け方のポイントとしては、古いものほど光沢が失われており、色あせてみえる、という点があげられます。ご自身でチェックする場合にはこの点にご注意ください。
使用されている素材が本物かどうかも見極めポイントのひとつといっていいでしょう。金属類については比較的本物かどうかがわかりやすいのではないでしょうか。わかりにくいのは宝石類で、素人目には本物かどうかを判別するのには非常に高いハードルがあります。また、高台をみて土の色によって産地を確認することもできる場合があります。
素人で鑑定するのにはあまりにもハードルが高い九谷焼。正確に鑑定をしていくなら、鑑定眼をもったプロにお願いしたほうが安心です。鑑定依頼をする場合、その方法についてご紹介します。
所有している九谷焼にある程度正確な情報が分かる付属物や鑑定書がある場合、専門の鑑定士ならその情報から鑑定ができます。できる限り詳細にお伝えする必要があります。
スマホなどで撮影した写真をそのままメールや郵送で送れば鑑定していただけます。その折には分かっているかぎりの作品の情報や、サインや刻印、判子の部分の写真、付属物の写真もあわせて送ってください。詳細が分かれば分かるほど、正確な鑑定が可能です。
鑑定してくれるお店や鑑定士のところに直接持ち込めば、その場で鑑定していただくことができます。その折には鑑定してもらう九谷焼本体はもちろん、付属物や資料をすべて持参してください。店頭持ち込みはその場で鑑定ができるので、早い鑑定を望む方にはいいのですが、梱包を厳重にしなければいけない上、付属物まで持ち込むことで運搬や移動に大きな負担がかかるので注意してください。持ち込む前に電話などでお店の方とアポイントを取っておかないと、行ったら担当者不在だったなどということになりかねません。アポイントと持ち込む品の情報は相手に伝えるようにしましょう。
店頭持ち込み同様、付属物まで含めて厳重な梱包をしなければならない点では宅配鑑定も手間がかかります。配達中は宅配業者に運搬の全てがお任せになるので、配達途中に大切な器が割れたり傷つけられたりするおそれがあります。どうしても宅配便を利用しなければならないのであれば、保険をかけておくなどの準備も必要になってきます。
ご自宅が相手にわかってもいい場合や、鑑定したい品が大きい、多い、重いなどの理由で持ち込みが難しい場合は出張鑑定を利用してみてください。電話などで要件を伝え、日時のアポイントをとれば、専門の鑑定者がご自宅まで来て鑑定してくれます。
鑑定はその品の詳細と市場価値とを明確にする行為です。所有の焼き物が九谷焼かどうか、その価値を正確に把握し、またその価値を保証するための行為ですから、鑑定していただくには鑑定料がかかります。鑑定料の相場についてお伝えします。
鑑定料は基本的には自由設定なので、一概にいくらとはいえないのですが、一般的には鑑定料の相場価格は1点あたり3万円~6万円と考えればいいでしょう。判別が難しい作品の鑑定料は高めに設定されていたり、鑑定と買取を一緒に行う業者では売却価格の10~20%という鑑定料を設定しているところもあります。2点目からは鑑定料を値引きする、買取が成立すれば鑑定料を無料にする、など業者によって様々なので事前に料金システムを確認しておくことをおすすめします。
鑑定後、その骨董品が間違いなく本物であると証明するものが「鑑定証書」です。鑑定してもらった際に「鑑定書」を発行してもらう場合、相場価格は1万円~3万円ほどです。
鑑定証書はその品が本物であることを証明してくれますので、これがあれば売却時の査定額はあがると考えてよさそうです。
売却益まで考えるのであれば、費用をかけても鑑定する価値はあります。
買取を前提に鑑定を検討するのであれば、買取業者の査定を利用するのもいいでしょう。たいていの場合、電話やメールでアポイントをとれば、出張査定であっても無料で来てくれますが、中には買取前提の業者もあるので注意が必要です。また、あくまで査定はその品物の買取額を決める行為なので、鑑定とは違うということを忘れず、あくまで鑑定の目安としてお考えいただく方がいいでしょう。
判別が難しい九谷焼はじめとする骨董品を鑑定する鑑定士ですが、特にそのために必要な資格というものは存在しません。鑑定士の方の多くは芸大や専門学校に通って知識を習得し、古美術商や美術館の学芸員などの仕事を通じて経験を積み、お客様からの信頼を得ている方が鑑定士になっていらっしゃいます。
鑑定の仕事は「信用の積み重ね」が一番大切です。たくさんの芸術品に触れ、審美眼を高めることが求められるのです。
本記事では、九谷焼の歴史に触れ、「古九谷」と「九谷」の違いをご理解いただくとともに、ご自身でもできる鑑定ポイントを3つお伝えしました。
また、鑑定と査定の違いを前提に、鑑定依頼の5つのパターンと鑑定相場、また鑑定証書の発行費用の相場についてお伝えし、適宜査定を活用していただくメリットも併せてお伝えしました。
九谷焼を鑑定するためにすべきことは次の通りです。
・九谷焼とはどんな焼き物なのかを理解する
・ご自身でも鑑定ポイントのチェックをする
・鑑定にも数万円の費用がかかることを考え、信頼できる業者とお付き合いする
世界的にも評価の高い九谷焼をより正確に鑑定し、皆様が所有している大切な美術品である九谷焼の価値を高めるためにも、美術品の鑑定に実績のある弊社にお声がけいただければ幸いです。まずはお気軽な査定からお任せください。皆様にとって納得できる取引となるよう、話し合いを進めてまいります。